ボーパルバニー


『ボーパルバニー』(江波光則著/小学館ガガガ文庫)★★★☆☆

ボーパルバニー (ガガガ文庫)
ボーパルバニー (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年9月刊。
バニーガールが首を切り落としにやって来る、という摩訶不思議な幕開けを決めるサスペンス&バイオレンスな1本。
凄かったです。好きか嫌いかと言えば決して好きな物語とはいえないはずなのに、最後まで夢中になって読みました。
登場人物の誰の感情も理解できず(最初に首落ちて死んだ彼くらいかな)、ただひたすら破滅に一直線な狂気に翻弄されてしまいました。
いやー・・・・・・疲れたぁー・・・。

☆あらすじ☆
今宵も、バニーガールがやってくる。――3年前、とある6人組が、中華系マフィアの金庫番一家を強襲し、3億円を強奪した。その事件は、闇にのまれ、以降ニュースに取り沙汰されることもない。それから波風の立たぬ生活を送っていた俺たちだが、ある日仲間うちの一人が、繁華街の路地裏で首を切られて死んでいた。心当たりは、もちろんあった。愉快犯で、たまたま仲間が殺されただけ、そんなことも考えた。だが、同時にまた一人、仲間が消えた。完全に、クロだった。狙われているのは、俺たちだった。そして、街には不思議な噂が流れ始める。バニーガールが、殺しに来る、と。華奢な見た目を装った、バニーガールが襲いに来る、と――。決して犯してはいけなかった罪を、きっと犯してしまったのかもしれない。その贖罪にはもう遅く、しかし罪を受け入れるにはまだ早い。俺たちは、この理不尽な死神から、逃げたり立ち向かったりしながら、緩やかに死んでいく。――そして今宵も、彼女はやはり、やってくる。ピンヒールを優雅に履いて、レオタードに身を包み、真っ白な髪の綺麗な顔で、ご丁寧に赤いグラサンまでかけている。そうだ、彼女がやってくる。バニーガールがやってくる。

以下、ネタバレありの感想です。

 

中国系マフィアのブラックマネーを横取りし、3億の金を手に入れた6人の男女。そのうちの一人が謎のバニーガールに首を刎ねられ、別の一人は行方不明。バニーガールの襲来はマフィアの差し金なのか?その正体は一体??という感じのストーリー。

 

なのですが、正直予想していた雰囲気とは全然違っていて驚きました。

 

まず、バニーガールに襲われている主人公(?)サイドが、予想以上に悪質な犯罪者グループ。
彼らの目的は「大金」そのものにはなく、そこに付随するそれぞれの快楽やら何やらを追及した結果というのがおぞましい。これは恨みを買っても仕方ありません。

さらに、バニーガールに襲撃される段階になっても、全く恐怖心を持っていないところがひたすらに不気味。
実際に自分の仲間を殺したバニーガールが目の前に現れ、攻撃を仕掛けてきても、そこに多幸感すら見出してしまうのだからタチが悪い。
「簡単に殺されるつもりはないけれど、その幸福を追求するためなら別に死んでも構わない」という考えが透けて見えるのが怖すぎでした。
正直、得体の知れないバニーガールそのものよりも、破滅願望を垂れ流す彼らの在り方のほうが私には何倍もホラーにみえます・・・・・・。

 

主人公サイドが予想以上に理解不能なサイコ揃いだったこともあって、じゃあバニーガールの方は一体どういうつもりで彼らの首を刈り取っているのか?と、読んでいるうちにむくむくと気になって仕方なくなっていきました。
もしかしたら、(正道から外れてしまっていても)彼女の行いは彼女にとって「正義」なんじゃないかなー、みたいな希望もちょっとあったりして。

 

が、彼女もまた紛れもなくモンスター。

 

3年前の事件があまりにも凄惨だったので、てっきり復讐譚的な方向に進むと思っていたのに。
全然そんなことはありませんでした。これっぽっちも。

最後の最後に語られるバニーガールの「普通」な思考
こんなに異常な行動をしてバケモノっぷりを見せつけるのに、その思考はあまりにも「普通」でニュートラルなのです。誰かに対して何らかの強い思い入れとかすらないんですよ。仇討ちという理由はあれど、それは彼女にとって強い感情ではないようでしたし。
だからこそ、この物語の狂気性をより引き立つのですが。

 

なんなのもーこれー。怖いよー・・・。

 

もっと分かりやすい理由をください・・・・・・「それなら仕方ないね」と思えるストーリーをください・・・・・・。
こんな理解を拒むような狂気を見せつけられて、私の混乱しきった感情はどこに持っていけばいいんですか!!(´;ω;`)

 

・・・・・・いやいや、この理不尽さと不可解さが良いのですよね。うん。たぶん。なかなか読めるタイプの作品ではありませんから。

本当に、最高に奇妙で狂った読後感でした。重ねて言うけれど、凄かったです。

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