貸出禁止のたまゆら図書館


『貸出禁止のたまゆら図書館』(一石月下著/富士見L文庫)★★★☆☆

貸出禁止のたまゆら図書館 (富士見L文庫)
貸出禁止のたまゆら図書館 (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年9月刊。
デビュー作「女装王子」シリーズはハイテンションラブコメでしたが、こちらはほんわかと優しい空気が素敵なあやかし日常モノ。
妖怪が宿る不思議な本と、それによって引き起こされた奇妙な事件を描く連作短編です。
家族に対して拗ねてしまった女子高生と、彼女に過保護な狐さんの関係がなんだかとても可愛いかったです。
狐さんの方は若干ストーカーの素質がありそうなので、是非その個性を伸ばす方向で←

☆あらすじ☆
閑静な山奥にひっそりと佇む≪たまゆら図書館≫。千穂は一冊の書籍を手に取ったことで、本に憑く妖怪・白火と出逢う。「藪の中」「伊豆の踊子」……本に願いを込めた人と、その想いを糧に生きる儚きあやかしの物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

弟の体調を優先する家族に対して、鬱屈とした感情を抱えていた女子高生千穂
引っ越し先の田舎で、偶然「たまゆら図書館」に迷い込んだ千穂は、そこで手に取った1冊の本に共感したことから、狐の妖怪白火をはじめとする「書妖」に関わっていくことになる、というのが本作のストーリー。

 

本に取り憑いた妖怪が、その物語や登場人物に同調した人の願いを受けて、本の内容を現実に再現する、というのは面白い設定だと思います。シリーズ化したらもっと色んな文学作品モチーフの事件が起こるのかもと思うとワクワク。そんな本を集めた図書館が舞台であることも含めて、とても好みでした。

 

特に1話めの「藪をつついて蛇を出す」は、ミステリっぽい雰囲気をだしつつ「誰が嘘をついているのか」ではなく「嘘をついているような状況になった原因は誰の願いか」という展開になることで「書妖」の特徴がわかりやすい1編でした。
同調者の願いに応えた形とは言え、なんというややこしいことをしてくれたのか。書妖自身の意思はわかりませんが、彼らの存在は結構トラブルメーカーな様子。

それにしてもあのお姉さん、絶対金にがめついか虐待とかの不都合な事実を隠そうとしていると思っていたのになぁw 私なら・・・

 

2話めの「春に降る雪」は、雪景色の風情がとても素敵でした。
老夫婦の思い出の景色かぁ。老夫婦好きとしてはあの夫婦の話をもっと聞きたかったかも。思い出に浸るおばあさんの姿は寂しいけれど、あんな風に優しく振り返る過去があることは少しうらやましく感じます。

そういえば、このへんから葦田さんにタヌキ親父感が出てきていてニヤニヤw
葦田さんは千穂をどうしたいのかな?そもそも葦田さん何者??

あと、どうでもいいことなんですが、たまゆら図書館って「貸し出し禁止」じゃなかったんですね。タイトル??

 

3話めの「或る踊子の夢」は、夢破れた結花の姿に共感して苦しかったです。そしてこの短編の結末はとても切ない。良いキャラしてると思っていたところだったのに・・・・・・。

結花がそうでしたが、同調者でなくなると書妖って見られなくなるんですね。ある意味当然か。
千穂が白火たちを見ることができているのも同調してるからですし、彼女もいつか結花みたいになってしまうのでしょうか。あ、でも「友達になりたい」って感情だから白火と縁切りしたくならない限り大丈夫なのかな?

 

各短編も面白かったのですが、キャラもなかなか。
千穂と白火の関係はムズムズしてとても好みでしたw
ただ白火はちょっとネットリ系というか粘着質っぽいので扱い間違えると大変そう( ´ ▽ ` )

白火が千穂を甘やかして執着するのは、千穂が同調者で恩人だから?
惹かれ合うものがあったからこそ「同調」したわけで、結花の前例を思うなら、この先もっと甘い雰囲気になることを期待できそうな予感が!

 

そういえば、白火は図書館から出られない以上、大きく活躍するのが難しいヒーローですが、そこは癒やしのマスコット福助がフォローしてくれていました。愛嬌で。福助可愛いかったー( ´艸`)

 

そもそも白火がなぜ図書館の中に封じられているのかは、まだ曖昧にしか明かされていないので気になります。人間不信の理由とか。
ぜひシリーズ化してそこらへんを掘り下げてほしい。
ということで続編に期待します!

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