黒猫の遊歩あるいは美学講義(黒猫シリーズ1)


『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(森晶麿著/ハヤカワ文庫JA)★★★★☆

黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)
黒猫の遊歩あるいは美学講義 (ハヤカワ文庫JA)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2013年9月刊。初出は早川書房2011年10月刊。
エドガー・アラン・ポーの作品や様々な文学・芸術作品をモチーフとした謎に、大学教授「黒猫」と彼の付き人の女性が挑む連作短編ミステリー。
正直、色々と教養が足りず理解できたとは言えないのですが(難しかった・・・)、さらさらと流れるように紡がれる物語に惹き込まれるし、「講義」も謎もとても面白かったです。
まぁ私としては黒猫と〈私〉の関係が好みだったので、もうそれだけで読む価値があったと言えるかも。

☆あらすじ☆
でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられた青年、川に振りかけられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す映画監督、楽器なしで奏でられる音楽……。日常のなかにふと顔をのぞかせる、幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は、美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしてゆく。
第一回アガサ・クリスティー賞受賞作!

以下、ネタバレありの感想です。

 

24歳にして大学教授となった美貌の天才青年「黒猫」と、常に彼の傍にいて物語のワトソン役を演じる付き人の女子大学院生〈私〉
〈私〉の研究テーマがポオにあるためか、彼の作品になぞらえた様々なミステリーが語られていきます。

 

作品の方向性としては冒頭の黒猫の言葉が全てを表している様子。

「僕が行うのは美的推理であって、導き出された真相が美的なものでなければその時点で僕の関心は失われる。美的でない解釈が解釈の名に値しないように、美的でない真相もまた真相の名に値しない」(17頁)

黒猫は美学を研究する学者であり、彼の美に対するこだわりはその「謎解き」スタイルにも及んでいきます。
そして「黒猫」の名の表すように、彼の推理は一見するとふらふら寄り道をしているかのように、遠回りをしながら真実を導き出していくのです。
本当に、結論に至るまでの過程の長いこと・・・・・・(;`・ω・)
その過程に作品解釈などの黒猫の素養がぎゅぎゅっと詰め込まれているわけで、その様子はまさに「講義」といった感じ。
難解ではあるものの説明自体はすんなりと読めるので、ポーの作品は「黒猫」と「モルグ街」くらいしか記憶にない私でも予想以上に楽しむことができました。

 

肝心の謎解きは、先に引用した黒猫の美意識が反映しているかのように、どこか詩的で情緒的。
哲学めいた真相も多く、解き明かされても「結局どういうこと?」となったりもしたのですが、不思議と面白いんですよね。
ただ第2話「壁と模倣」と第5話「頭蓋骨のなかで」は正直こんな謎解けるか!と頭を抱えましたけど。
真相もかなり気味が悪かったのですが、それはさておき自己同一性が揺らぐような話って読んでいて不安な気持ちになるのは私だけでしょうか。

あと第3話「秘すれば花」ですが、あの時〈私〉に一体何が起こったのか気になりすぎて夜も眠れません( ꒪д꒪ )

 

ミステリーとして楽しめていたのか自分で不安になる感想になってしまいました。
でも私として読んでとても満足。

黒猫の講義が面白かったこともありますけど、たぶん黒猫と〈私〉のテンポの良い会話劇の部分が私にとって魅力的だったのが大きいかな。
黒猫と〈私〉の微妙すぎてムズムズする距離感も最高でしたし。
なんだよ最後のあれ・・・・・・万華鏡にそんな意味が・・・・・・こんなの萌えるしかない!ε٩( ºωº )۶з
ミステリーの読み方としてどうかと思いますが、恋愛小説みたいな楽しみ方ができた作品でしたw

 

2巻も引き続き読んでいこうと思います。
ちなみに、このシリーズ、黒猫と付き人の〈私〉の本名はこのまま明かされないのでしょうか。

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