『毒蛇姫の宮廷菓子〈アントルメ〉』(葵木あんね著/小学館ルルル文庫)★★★☆☆
ルルル文庫 毒蛇姫の宮廷菓子(イラスト完全版)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
2013年6月刊。
すさまじく菓子テロラノベでした・・・・・・ケーキ食べたくなること必至。
5回の政略結婚で全ての夫に先立たれた美貌の王女。彼女の6人目の夫となるのは「野獣王」と呼ばれる勇猛果敢な若き国王。
二人のとある勘違いから始まる新婚生活は、最初はコメディたっぷりに、最後はお砂糖たっぷりのダダ甘ラブコメへ。
ちょっとしたシリアスをスパイスに、綺麗にまとまった良いラブコメだと思います。面白かった!
☆あらすじ☆
氷の魔女×野獣王のラブバトル新婚生活!?ユリアーニャは美人で無愛想な王女。高圧的な父の元で臆病に育ち、上手く笑えない。幼い頃から五回の政略結婚を重ねてきたが、すべて夫の頓死により実家に戻ってきた。まだ処女。夫が死んだのは彼女のせいでは…と噂されている。「氷の魔女」「美しい毒薬」などの異名を持つ。本当はすべてたまたまなのに…実は甘い物が大好き。でも厳格な父の手前、隠している。そんな彼女が今回、不退転の決意で嫁ぐのが、隣国の若き王・レオナルド。国を継いだばかりで後ろ盾が欲しい彼は、彼女の不吉な噂に怯えながらも政略結婚を受け入れる。戦場の勇者で大柄で強面だが、実は×××な趣味があり…!?お互いにお互いを内心怖がりながらも、なんとか始まる新婚生活は波瀾万丈で…!?
以下、ネタバレありの感想です。
結婚即死別という不幸な政略結婚を5回も繰り返し、その原因を押しつけられるかのように「毒蛇姫」とあだ名された王女ユリアーニャ。
彼女の6度目の政略結婚の相手は、〈死を呼ぶ黒鷲〉と恐れられた先代の面影を持つ隣国の国王レオナルド。
そんな2人の勘違いだらけの新婚生活を描くストーリーです。
お互いに本性を隠してスタートというのが楽しい。
特にレオナルドの隠れヘタレっぷりにはめっちゃ笑いましたww
怖いのを必死に我慢して強がって、そのせいでユリアーニャの変態M発言を引き出しちゃって、さらに恐怖する・・・・・・なんという可愛い負のスパイラル。
そんなレオナルドの隠してきた趣味。
この趣味のせいで夜中にケーキバイキングに行きたくて仕方なくなったんですが!!
ケーキ作りってハマると際限なく作ってしまいますよねーわかる。
レオナルドが作り出すお菓子の描写が本当に美味しそうで美味しそうで。予想以上の菓子テロラノベでした。誰か私にケーキを・・・・・・(꒪ཫ꒪; )
中盤で誤解が解けてからは、ユリアーニャとレオナルドのラブラブっぷりが加速して、お菓子じゃない糖分が大量投入されてニヤニヤが止まりませんでした(´∀`*)
自分が作ったお菓子をあれだけ可愛く嬉しそうにほおばってくれるお嫁さんに、レオナルドがデレデレになるのは仕方ないですね。素を出したユリアーニャは本当に可愛かったです。
新婚夫婦ラブコメとしてはかなり面白かったのですが、終盤以降の展開は割とシリアス。
ただ、母后の陰謀云々は最初から示唆されていたし、弟のバイオリンはわかりやすすぎる伏線だったしで、展開そのものに驚きはなかったです。もう一捻りしてくれても良かったかな。
わかりきった結論を導き出すまでの過程がちょっともたついていたのは残念。
とはいえ、前王夫妻の悲劇は切ないものでした。もう少し前王が素直になっていれば・・・・・・そこまで第二王妃を大事に想っていたならもっとやり方もあっただろうに。
最初の誘拐でこじらせたまま打ち解けることなく終わってしまった二人に悲しくなりました(´・ω・`)
甘い甘いラブロマンスに、ちょっと苦い後味が印象的な作品でした。
面白かったですヾ(๑╹ヮ╹๑)ノ”