路地裏バトルプリンセス1


『路地裏バトルプリンセス』(空上タツタ著/GA文庫)★★★☆☆

路地裏バトルプリンセス (GA文庫)
路地裏バトルプリンセス (GA文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年2月刊。
第6回GA文庫大賞優秀賞作。
コスプレ×ステゴロという異色なストリートファイトもの。まず、主人公が女装コスプレ男子という時点でかなり異色です。
路地裏で繰り広げられるアウトローな「血闘」。そこで敗北し、主人公に弟子入りを志願してきたひとりの少女。少女との出会いは、戦いをやめたはずの主人公を再び路地裏バトルの世界に誘うことになるのです。
ストーリーの予想外な重さに驚いたものの、登場人物それぞれが抱く「血闘」への複雑な想いが面白い作品でした。

☆あらすじ☆
「その制服……あなたが相手ですね」
ある夜、路地裏で高校生の日月は、姿を偽り腕を競う路上格闘技≪血闘≫に身を賭す一人の少女と出会う。彼女のその――金のツインテールに改造セーラー服姿は、全ての敵を「一撃」で沈め頂点に至り、そして消えた伝説のランカー≪魔王少女≫のもの。ところが日月は――そんな≪魔王少女≫を「一撃」で沈めてしまう!
「いるもんだな……ニセモノって」
何故なら――!?
――この地には、魔王少女が現れる。そんな噂が流れ出して一年。本物の一撃に憧れる少女が、戦うことを辞めた少年と出会うとき、≪血闘≫に新たな伝説が刻まれる!! 白熱の路上バトルアクション、開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

小柄な男子高校生日月朋晶の正体は、路上格闘試合「血闘」の伝説的トップランカー「魔王少女」
すでに魔王少女であることを辞めていた日月の前に、「魔王少女」のコスプレをした少女が現れたことから物語が始まります。

 

二代目魔王少女を名乗る久留宮來未に弟子入り志願され、紆余曲折あって彼女の師匠であることを引き受けた日月。
日月の女装コス趣味を知る丁田小町の秘密を知ったり、オタク仲間の一野と衝突したりしながら、日月は來未の抱える暗く重い事情を知っていくことになる、といった感じに物語は進んでいきます。

 

作品の肝であるストリートファイトの熱さは素晴らしかったです!
バトルシーンは描写が細かくて迫力抜群。ステゴロは読んでいて楽しいので、血闘のシーンはもっと多くても良かったくらいですw

「血闘」の華やかさと熱さだけでなく、一野を配置することでその違法な部分をしっかり言及したのも個人的には好印象でした。

違法な暴力でしかない血闘で人は救われるのか。救えたとして、そもそもそれは血闘でなければならないのか。

この問いに対する明確な答えが出たわけではないと思います。今回、來未が救われたというのはあくまで結果論ですから。本当に彼女が正しさの中で救えなかったのかは疑問が残りますしね。
一野が言ってることは紛れもなく正論ですし、続刊でもこの問題は問いかけていくのでしょうか?

 

血闘そのものだけでなく、ストーリーもなかなかに面白いものでした。
特に終盤で明らかになる來未の事情は衝撃的。重すぎて・・・・・・。
民事不介入とか言ってましたけど、あれは普通にDVなんで警察沙汰にできますよ・・・・・・。そう考えると、やはり正しさの中でも救えたような気が。
まぁでも、彼女が長年押し潰されてきた矜恃を取り戻すためには、血闘しかなかったのかもしれませんね。

 

キャラも良かったです。
女装男子な日月も良いのですが、特に小町が好きです。可愛い!!無自覚に中二なところも可愛いww
メインヒロインは來未なのか小町なのか、それともダブルヒロインなのか。
來未はこのまま弟子ポジションとして、小町とラブコメしましょうそうしましょう。

もうひとり、出番は少ないのに強く印象に残った世良先生。おまわりさん、このひとです。事案だよコレ。

 

全体的に満足できる面白い作品でしたが、設定の甘さというか、腑に落ちない部分で引っかかってしまったのは少し残念でした。
最初から護身以外の目的で戦うことを忌避していたはずの日月が、なぜトップランカーに上り詰めるまで「魔王少女」であり続けたのか、とか。巻き込まれたにしてもちょっと違和感があります。逃げようがあった気がする。

他にも、來未を虐げてきた瞬迅を倒すクライマックスそのものは熱くて良かったのですが、そもそもこの人途中で小町に倒されてるんですよね。そう考えると、少し爽快感というか達成感には欠けてしまうような。小町が負けていればまだ違ったのでしょうけど・・・・・・。

 

そんな感じで粗い部分は気になりましたが、路地裏バトルにかける熱量が好みな作品でした。
2巻以降も読んでいこうと思います。次巻は日月の過去とかを掘り下げてくれるといいなー。

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