魂織姫 運命を紡ぐ娘


『魂織姫 運命を紡ぐ娘』(本宮ことは著/講談社X文庫ホワイトハート)★★★☆☆

魂織姫 運命を紡ぐ娘 (講談社X文庫ホワイトハート)
魂織姫 運命を紡ぐ娘 (講談社X文庫ホワイトハート)

2015年8月刊。
紡ぎ女だった少女が、王と神のための機織りの巫女に選ばれる物語。
静かに時間が流れていく落ち着いた雰囲気の作品ですが、今回は内容的には完全に序章。
それでも丁寧に描かれた世界観は没入感が抜群で、とても良いファンタジーになりそうです。
前半は製糸、後半は機織りという感じに一枚の布ができあがる過程の描写も細かく、読んでいて面白かったです。
ラストがかなり気になる終わり方をしていて、おそらく話が大きく動き出すのは次巻からなのでしょう。
この魅力的な世界を余すところなく描ききるシリーズに育ってほしい新作でした。

☆あらすじ☆
その国の名は白国。繊維産業を主とするこの国には、天蚕から糸と紡ぐ技術が受け継がれていた。だが、繊維産業に関わる者たちの仕事は過酷だった。糸を紡ぐのは、近隣から集められた幼い少女たち。男たちは畑を耕し家畜を飼って食料を生産したり、土木兵役につくのだ。
安渓村の水華は、今年もまた父兄につれられて紡ぎ場に向かう。一個の繭から、太すぎず、細すぎず、より均一で長い糸を生み出すのは、なかなか難しい。水華は丁寧だが仕事が遅く、監視官からいつも注意をうけていたのだ。ある日、紡ぎ女たちが一斉に工場長に呼び出される。そこに現れたのは、白国の若き皇帝だった――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

他国にはない天蚕の技術を持ち、繊維産業により栄える白国。
その産業を下から支える紡ぎ女のひとりが、主人公の水華です。

 

前半は、厳しい製糸工場の様子が丁寧に描かれていきます。
紡ぎ女たちの辛くて過酷な日常は、読んでいて息が詰まるほど。
嫉妬と偽りの恋に振り回される紡ぎ女たちの姿が不憫で仕方ありませんでした。これでしかお金を稼げないとはいえ・・・・・・。

 

そんな水華の日常は、中盤から一転。
後半は、王に機織りの腕を買われた水華が、女神「魂織姫」に仕え、王と神のためにだけ布を織る「織姫」となっていく姿が描かれていきます。
ただし、巫女という名で神域に閉じ込められ、そこでひたすら機織りをしていくだけなのですが・・・・・・。
巫女と王族しか入れない神域で毎日毎日たったひとり。
これは製糸工場とは別の意味で過酷だなぁと思っていたのですが、意外と水華が平気そうで安心しました。むしろ製糸工場の時よりも生き生きしているような。機織り楽しそう。これが巫女の資質なんでしょうね。

まぁ、実のところひとりじゃなかったというのもあるんですが。

 

終始、静かな雰囲気をまとって、水華が糸を紡ぎ、機織りをする姿を描いていった本作。
今回は世界観の描写、伏線の設置に留まる序章的なストーリーでしたし、物語が動き出すのはおそらく次巻からなのでしょう。

物語の鍵を握っていそうなのは、ある一人の紡ぎ女の死。

身籠もって、自殺した水華の親友暁燕の何が起こっていたのか。彼女の想い人は誰だったのか、何を狙っていたのか。

ラストで真相を知っている様子の男が登場しましたが、この騒動が織姫となった水華にどんな影響をもたらすのかは気になるところです。

 

もちろん、水華の恋も気になります。
いまだ恋を知らない水華は、誰に想いを寄せることになるのでしょうか。
本命は王様?後半はほのかに甘い雰囲気を漂わせていましたが、王様は政略結婚間近だしなぁ。あと織姫は男を作ったらダメなのもネック。
もうひとり、暁燕の兄晃成もどう出るのか楽しみです。三角関係になるのかな??

 

水華自身も、ものつくりに夢中になる純粋さと素朴さが魅力的な主人公でしたし、これはなかなか良いファンタジーになりそうな予感。
没入感がとても好みだったので、続刊にも期待しています!

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