彼女は戦争妖精9


『彼女は戦争妖精〈ウォーライク〉9』(嬉野秋彦著/ファミ通文庫)★★★★☆

彼女は戦争妖精9<彼女は戦争妖精> (ファミ通文庫)
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前巻の感想はこちらから
彼女は戦争妖精8 | 晴れたら読書を

2011年8月刊。
シリーズ完結巻。
とても面白かったです。伊織という主人公は、ブレることなくそのキャラを貫き通した男だったなぁ、としみじみ思いました。

☆あらすじ☆
半年前、あの荷物を取け取っていなかったら。余計な同居人にも、襲いかかる刺客にも悩まされることはなかっただろう。恋をすることも、その相手を守るために人を斬ることもきっとなかっただろう。それまでのように、一人静かな毎日を過ごせていたに違いない。しかし―それでも伊織は思う。自分とクリスは出会うべくして出会ったのだと。たとえ向かう先が、“妖精の書”の残酷な導きだとしても、必ず家族を守ってみせると―。伊織とクリス、最後の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

ついに最終巻。

常葉が伊織への恋を忘れなかったのは意外でした。しかもキャラが少し変わっているw
嫉妬深さを隠せない恋する乙女になってしまった先輩。それだけ戦いの中にあった彼女は張り詰めていて、そこから解放されたってことですよね。そう思うと切ないけれど、これで良かったと思えます。

 

決着の時を迎えた薬子・エルク組との戦い
まさか最終的にここまで実力に差がつくとは・・・・・・。薬子は薬子で自分の人生に抗っていた女性だったわけですが、彼女の場合、力を手に入れたことが悲劇だったような気がします。あと、男を見る目がないと思う。エルク・・・・・・。・゚・(*ノД`*)・゚・。

 

最後の決着をつける前にさつき関係を整理したのには少し笑ってしまいました(全然整理できなかったことにも!)
さつきは結局何だったのか・・・・・・この物語で彼女は一般人とロードの境目をふらふらしていて、そのスタンスが最後まで変わらなかったのが特異なキャラクターだったように思えました。ある意味、物語的に伊織を日常につなげ続けていたのは常葉ではなく彼女だったような気がします。常葉は戦友的ポジションである以上、伊織にとっては非日常に近い場所にいましたしね。
うざヒロインだったし、常葉には完敗しているけれど、彼女は彼女なりに役目を果たしていたのか。

 

それと、私のお気に入りのけんちゃん&まーちゃんコンビ。
ちゃっかり一番良い形で脱落してるw
スパムサンドに対する伊織の辛口コメントはやっかみがちょっぴり入っている気がします(;`・ω・)

 

そしてラスボスとなったシリー・ウォーク。
ここまで「クソ親父」の称号にふさわしいクソ親父もめったにいませんよ。本当に最後まで父親らしさを見せず、最後まで伊織の憎悪の対象であり続けた男でした。
父殺しという、ある意味で後味が苦すぎる結末でありながら、達成感を損なわせないのは彼のキャラクターあってこそですよね。
伊織にはお疲れ様でしたと言うしかないです。

 

このシリーズは、最初の頃から結末がどうなるのかハラハラしながら読み続けた作品でした。
「楽園」に向かえばクリスとは別れ、途中で負けてもクリスとは別れる。クリスの結末がどうなるのか怖かったのです・・・・・・。
で、この表紙を見て「もしやクリス消失エンドか!?」とびくついていたのですが、比較的幸せな終わり方に落ち着いてくれてホッとしています。

結局、伊織たちの戦いは続くわけですし、世界がどうなるのかも分からずじまい。
ですが、こういう余韻の残し方は嫌いじゃないです。クリスと伊織の関係が失われてしまうよりはよっぽど良い。

 

綺麗に伏線を回収し、因縁にケジメをつけつつも、「先」を残す余韻が素晴らしい最終巻でした。
このシリーズを手にとって良かったです。
嬉野さんの作品は、次回作にあたる「黒鋼の魔紋修復士」の完結巻がもうすぐ発売されるので、そちらもとても楽しみです!

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