犬と魔法のファンタジー


『犬と魔法のファンタジー』(田中ロミオ著/小学館ガガガ文庫)★★★☆☆

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19)
犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19)

2015年7月刊。
これは私が望んだファンタジーじゃない!(血涙)
いやまぁ面白かったんですけどね。
就活×ファンタジー。だけどかなり現実寄りの物語。
祈られて祈られて祈られて、そうして心を折られる主人公の姿になんだか視界が歪みます・・・・・・

☆あらすじ☆
未踏の地を夢見て、若者たちが冒険の旅に出たのも、今は昔。冒険なんて、時代遅れもいいところ。今の若者の夢は、無事に就職すること。主人公・チタンは一生安泰の宮廷務めを目指し就職活動中。しかし、なかなか採用されず苦戦続きでやさぐれていた。そんなチタンの前に現れ、冒険という悪の道に誘う中年男・ケントマ。しかし、今時、冒険者など流行らない。食べていけない。冒険者の才能がある、としつこく誘うケントマから逃げ回るチタンだったが……。
さえない大男、あまり美しくないエルフ、そして一匹の白い犬が織りなす「ファンタジー世界」の青春とは?

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは魔法があり、魔物がいて、冒険者も存在するファンタジー世界。
しかしそんな剣と魔法の世界に生きるのは、就職活動に悩むごくごく普通の大学生たちなのです

 

ファンタジー×就活とは聞いていましたが、驚くほど普通に就活してる大学生の日常がそこにはありました。
商社を手当たり次第に受け、その進捗をTwitter(ヒウィッヒヒー)につぶやき、ストレスを溜めては同回生と飲み、時間が空いたらサークル(組合)に顔を出す。

なんだこれ!?
本当に紛う事なき普通の大学生活じゃないか!

用語などをファンタジー世界に馴染むように整えてはあるものの、どれもあっさり連想できるものばかり。ネットもLINEもあるとか。既読無視とかヤメロ頼む。

 

主人公チタンが祈られまくった末に、自分の存在価値を信じられなくなる様子とか。
オタサーの姫が上位女子の前に逃げたり、勝負する場所を下げて自尊心を守ろうとするところとか。
就活組と進学組の隔たりとか。
意識高い系大学生の意味不明さとか。

あれもこれも簡単に連想できるものばかり。

 

違うんだ。私が読みたいファンタジーはこれじゃないんだ・・・・・・もっと夢と希望に溢れて、はなくてもいいけど現実を思い出さない話の方が好きなんだっ(´;ω;`)
じゃないと現実逃避できないじゃない!!

 

そんなことをウダウダと考えていたせいで、ちょっと読むのに時間がかかってしまいましたが、物語として普通に面白かったと思います。
面白いから途中で投げられず、最後までメンタルをがしがし削り取られながら読みきりましたよ(꒪ཫ꒪; )

道に迷い価値に悩むチタンの姿に共感しつつ、最後の騒動を経てチタンが自分の適性を見出すところはカタルシスがあって良かったです。

 

・・・・・・カタルシスあったよね?

 

彼の道の先にはケントマがいて、そのケントマは楽しそうだから・・・・・・良いんですよね?ね?

 

いやどうだろう。わからない。私にはわからないよ・・・・・・(´;д;`)
ここらへんで考えるのをやめることにします。人並みに生きるのって、実は本当に大変ですよね。

 

しかしこの話、ファンタジーにする必要はあったのでしょうか?
ファンタジー要素をうまく活かしていたとは思いますけど、別にまるっと省いても問題ないような気がします。
まぁ純度100%の現実的小説だったら、途中で心折れて読むのをやめていたかもしれない。だからこれで良かったのでしょう。はい。

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。