CtG ゼロから育てる電脳少女3


『CtG〈クレイドル・トゥー・ザ・グレイヴ〉ーゼロから育てる電脳少女ー3』(玩具堂著/角川スニーカー文庫)★★★★☆

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ (3) (角川スニーカー文庫)
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前巻の感想はこちらから
CtG ゼロから育てる電脳少女2 | 晴れたら読書を

2015年7月刊。
完結巻です。
打ち切りなのかもしれませんが、この世界の一部を「断章」として切り取った作品としては綺麗に完結していると思います。
伏線もあらかた回収しているようですしね。今回もとても面白かったです。

☆あらすじ☆
突然、ハルハの“母親”を名乗った女の子・日下秋理。あの手この手でハルハに近づく秋理は、遊にも強引に接近する。それが美遥と冬風のライバル心を刺激して、ついには四角関係に!?そんなある日、ハルハが眠りついたっきり、起きなくなってしまう。遊たちは調査を開始するが、そこで秋理の隠された秘密、そして全人類を巻き込む衝撃の事実を知ってしまい―!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

今回は、ハルハの母親を名乗る日下秋理の登場により、遊の日常に波紋が広がっていく、というストーリー。

最終巻となってしまったのは残念ですが、秋理によってシリーズの数々の謎が明かされていく物語はとても面白かったです。

 

なぜCtGにおいて新世種の実験が行われているのか。
そこに隠された真相は予想通りといえば予想通りですが、これについては「いずれ訪れる未来の出来事」ということで収めてしまいましたね。
3巻ではそこまで話を広げることはできないし、遊たちがそれに立ち向かうというのも何だかしっくりこないし(問題が大きすぎて)、妥当な落としどころだったと私は思います。

 

むしろこのシリーズがずっと問題として提示してきた「人工知能に心はあるのか」「人工的に生まれた存在は人となりうるのか」というSF的なテーマに終始したのは非常に良かったです。

今回は、そのテーマをさらに発展させた形で、「姿形が同じであれば、それは同じ存在であるといえるのではないか」という問題も浮かび上がってきました。

 

スペアとして作り出され、「生き残った方のクローン」である秋理。
人工的に生み出された新人類であるハルハ。

彼女達を「秋理」「ハルハ」たらしめているものは何なのでしょう。
自分が自分であると定義するものは何なのか、アイデンティティの問題は深く考えると頭が痛くなります。
人間ですら難問なのに、作られた存在のアイデンティティはどこに求めるべきなのか。

 

暴走する秋理の哀しい事情も切なかったのですが、壊れた水鉄砲を「ハルハとおんなじ」だと言い「おとーさんとおかーさんがいれば、なんどでもハルハになれるんだ」というハルハの言葉が一番胸にエグりました。情報の同一性が自己の同一性だと言い切るハルハが、途端に憐れな存在に見えて仕方ありませんでした。

 

ですが、それに対して遊が与えた答えがとても温かいもので安心しました。
他者とのつながりの中で育まれていくのが「自分」なんだろうなぁ。良いなぁ。あの答えはとても素敵でした。

 

今回の騒動については収まったものの、遊を巡る三角関係については、・・・・・・まぁ決着つけられませんよねw
私としては美遥を押したいところですが、冬風が強すぎてなぁ・・・・・・(´・д・`)
なんですか、あの途中の連携プレー。ネトゲ嫁が空気になっちゃったじゃないですか(´;ω;`)

 

それでも遊が美遥とハルハとの親子関係を大事にしていこうとする想いが伝わってきて、とても胸が温かくなりました。
遊ママもきっとそれを望んでいたのでしょう(ややこしいことになってしまったのは想定外だったようですがw)

 

大筋の伏線は回収し、遊たち「家族」の答えを出したところで完結。
この世界の「断章」の物語としては十分だと思います。とても良いシリーズでした。
玩具堂さんの次回作にも期待しますヾ(*˙︶˙*)

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