『とある飛空士への誓約8』(犬村小六著/小学館ガガガ文庫)★★★★★
とある飛空士への誓約 8 (ガガガ文庫)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
前巻の感想はこちらから
2015年6月刊。
いよいよ次巻で完結です。最高に物語が高まっています。
が。
・・・・・・ちょっともう、胸が詰まりすぎて辛いんですけど(´;ω;`)
☆あらすじ☆
ウラノスに対抗するため、第二次イスラ艦隊と共闘の道を選んだエリザベート。セントヴォルト帝国作戦司令部の中枢を担うバルタザール。ウラノス女王ニナ・ヴィエントを支えるミオは、情報収集のために潜入した後宮において最高司令官デミストリの秘密を知ってしまう。そして慧剣皇王国では、かぐらが軍事クーデターをもくろむが、それは皇王を守護する実兄との対決を意味していた…。「愚かしさがこの状況を生んだなら、さらなる愚かしさで決着をつけよう」。敵味方に分かれたエリアドールの七人は残酷な時代の中心で再会を果たす―
以下、ネタバレありの感想です。
前巻ラストのカル登場で大興奮だったのですが、カルが本当にカルでなんか感動が吹き飛びました(`・ω・´)
天然炸裂。清顕とイリアの関係を突っ込んでいくとことか、「お前、頼むからもう喋るな!」と頭叩きたくなりましたww
そんな冒頭のほのぼのとした空気が、全部を読み終わると遠い昔のことのように感じてしまうなんて。
それくらい濃密な第8巻でした。
まずエリザベートことセシルはイスラ艦隊支援のための資金繰りを画策。
そのために、セシルはついにバルタへの切り札を使うのです。
あの手紙がこんなところで役立つとは!!!!
エクトプラズム化したバルタがシュールすぎて笑いましたw
だからお前証拠に残すなと(ry
とはいえ、セシル的には思惑半分機長への思いやり半分に仕返し加味といったところでしょうね。
諜報活動中にバルタの過去を知ったからこそ、どうにかしてやりたいって思ったんじゃないかな。
そこで一石二鳥も狙うあたりが「妖怪」なんでしょうけど(;・∀・)
お膳立てはあったとはいえ、バルタの鬱屈した祖父への感情がここでようやく昇華し、彼はまた一回り大きな人間になったのでしょう。
相変わらず思考回路は三枚目ですが、それでもやはりバルタは格好いい男です。
それにしても、レニオールとバルタはそっくりですね。似たもの同士すぎてバルタの未来を見た感すごい。
一方のプレアデス側では、クレアたちに大きな変動が起こってしまいました。
予想以上に政変が早すぎる。
クレアは捕まり、仲間は散り散り。ミオはイグナシオと共に逃げ延びるも手詰まり。
もはや外部からの助けがなければどうにもならない事態ですね。
クレアが変態の魔の手に落ちる前になんとか間に合って欲しいところ。
気になるのはハチドリの動向ですが・・・・・・一体どこで何をしているのか(´・ω・`)
そして、8巻を読む前から気がかりだったのは、前巻から不穏な空気を撒き散らしていた慧剣皇王国のかぐら側。
クーデターとか、もう、絶対やばいでしょ・・・・・・と思っているうちに、あっという間にクーデター完遂。
泣きたくなりました。
それでも前巻を読んでる内は「うやむやになって助かるのでは」と楽観視していたのですが、実兄を手にかけた時点で「ああ、もう戻れない」と絶望。
かぐら自身の悲壮な決意もひしひしと伝わり、後半は読みながらひたすら泣いていたような気さえします。
自分の死を覚悟したかぐらが望んだのは、バルタを指名しての休戦交渉。
人生で最後の、ほんの一時の逢瀬。
恋人のじゃれ合いのように言葉を交わし、「会えなくても、ずっと、一緒にいるよ」と笑って別れる。
・・・・・・今、表紙をまともに見ることができません。涙腺が弱ってる。
何が辛いって、かぐらがやったことは皇王の死を隠蔽した正真正銘の国賊を殲滅したことだったってことですよ。
なのに責任をとらなければならないなんて・・・・・・
悔しいとか哀しいとか寂しいとかグルグルと感情が渦を巻いて、今は、ただひたすら辛い。
それでも、かぐらの功績によって第二次多島海戦争は終結。
ミオがフィオに託した情報によって、ウラノスとの戦争にも希望の光が見えてきました。
魔犬と海猫まで揃いましたしね。あそこは胸が震えました。
魔犬はおそらく息子なのでしょうけど、そう考えると二機の模擬空戦は感慨深いなぁ・・・・・・
いよいよ次巻で完結です。
エリアドールの七人の運命がどうなっていくのか。
ここまでの飛空士シリーズ全体の総決算も間近ですね。
辛い試練を乗り越えて、ハッピーエンドを願うばかりです。実はまだかぐら生存エンドを期待してたり。
9巻の発売が心の底から待ち遠しいですヾ(*˙︶˙*)