王女コクランと願いの悪魔2


『王女コクランと願いの悪魔 Ⅱ』(入江君人著/富士見L文庫)★★★☆☆

王女コクランと願いの悪魔 (2) (富士見L文庫)
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前巻の感想はこちらから
王女コクランと願いの悪魔1 | 晴れたら読書を

2015年6月刊。
「王女コクランと願いの悪魔」は富士見L文庫が世に送り出した最高の名作だと思っているのですが、まさかの続編。
恐る恐る読んでみましたが、1巻とはまた違う雰囲気の面白さがありました。
1巻の直後からスタートし、今までとは質の違う苦難がふたりを襲う物語。
それは、おとぎ話のような「物語」の中にいたコクランとレクスが、血の通った「人間」として歩き始める物語でもあるのです。
1巻よりコクランが歪んでないか?と戦慄しつつも、この不穏な薄暗さと前途多難なストーリーは好みです。
ラストに少し物足りなさを感じたものの、恐らく3巻が出るのでしょう。期待してます。

☆あらすじ☆
「君が好きだ。コクラン。…愛しているんだ」
悠久の時を彷徨い続けた悪魔と、孤独の運命を受け入れ続けた王女。奇跡によって逃れられぬ虚無から解き放たれたレクスとコクランは、あらためて出逢った。しかしレクスは捕らえられ、コクランの知らぬ間に後宮から追放されてしまう。離ればなれになっても、三度出逢おうとする二人。それを阻むのは、どこまでも深い後宮の闇と、初めて知る後宮の外の世界だった―。
「めでたし、めでたし」のその先に、真の恋物語は始まる。

以下、ネタバレありの感想です。

 

悪魔から人間に戻ったレクス。奇跡に感極まって涙するコクラン。
甘やかな空気に包まれたふたりは、しかし後宮の現実によってすぐに引き離されてしまう・・・・・・というところから2巻はスタートします。

 

まさに「めでたし、めでたし」の続きを描く物語といったところ。
「続き」なんで、状況は引き継がれます。

 

レクスが人間に戻ったところで、不義の子コクランをとりまく四面楚歌な状況は変わらず、味方もなし。
悪魔の力を失ったレクスは牢に入れられ、後宮から放り出され、あっという間に貧民街の住民へ。

 

現実がシビアすぎます(꒪ཫ꒪; )
ハッピーエンドのその先は地獄でした、なんて・・・・・・悪い夢だよ・・・・・・

大好きな絵本を目の前で破り捨てられたような気分です。それくらいショック。
それでも、「おとぎ話」の先を進むコクランとレクスの姿に目が離せなくなっていくのです。

 

過酷な現実が次々と襲ってくるなか、(読者にとっても)救いとなるのは、コクランとレクスの間に確かに生まれた愛
もう一度出会えることを信じ、そのために二人はそれぞれのなすべきことを行動に起こし始めるのです。

 

・・・・・・まぁ、そういう、希望に向かって進む物語のはずなんですが、読んでいてとても辛かったです(´;ω;`)

 

レクスはまだ良いんです。
人間の身に慣れていないために、最失敗を繰り返し最下層へと落ちてしまうレクス。
とはいえ、「悪魔」であった頃の知識は彼の武器となりうることは分かっていますし、陽気なレクスの物語は窮地にあってもどこか明るさのあるものでした。

 

一方でコクランはまずい。
元々何も持たず、何も望まず、死さえ受け入れていたコクラン。
そんな彼女が、初めて手にした「レクスとの愛」に必死になるのは当然です。そのために生きようとするのも、また当然。
持ち前の賢さを十分に発揮し、コクランは敵ばかりの後宮で生き残ろうと必死にあがくのです。

その必死さが、見ていて本当に痛々しい。
手段を選ばず、相手も自分も傷つけながら、ただレクスだけを求めるコクランを見ているのが、私には辛くて辛くて仕方がなかったです。

 

レクスと出会ったことでようやく人間らしくなったと思っていたのに。
その「人間らしさ」こそがコクランを追い詰めているように見えて、哀しい気持ちで胸が詰まりそうでした。
生きようとするから、苦しい思いをしなければならないんだよなぁ・・・・・・(´・ω・`)

 

思えば、1巻の物語はまさしく「おとぎ話」だったわけですよね。
孤独な王女さまと願いを叶える悪魔が、鳥籠の後宮で出会い、恋に落ちる。
そんな文字通り夢のような「物語」の中において、主人公である二人もまた「物語の中の住人」でしかなかったわけです。

 

しかしこの2巻では「物語」という虚像は砕かれ、容赦のない現実が「物語」の中にいたコクランとレクスを「人間」へと追い立てるように変化させていくのです。
それとも、「物語の中の住人」が「人間」になったからこそ、現実が真正面から壁として認識されるようになったのでしょうか。

 

いずれにせよ、悪魔の力を失ったレクスと、運命に立ち向かうことを決めたコクランの物語はここで終わりません。終われません。
ラストシーンでようやく再会が叶っても、二人をとりまく困難な現実は何も変わっていないのですから。

 

・・・・・・いや、ほんとに何も変わってないですし、物語は終わってませんよね???

 

コクランはやっぱり「不義の子」で敵は多く、今も綱渡りの後宮生活。
レクスは孤児院という居場所を手に入れたものの、文なしの貧民のまま。

 

キノンやアイネたちとの関係については、崩壊寸前のところでなんとか修復の兆しが見えた、という感じでしょうか。
コクランが「人間」となるべく歩き始めたなら、レクス以外の人間関係もしっかりと向き合って欲しいですね。

男娼の話はちょっとよく分からなかったものの、あれはあれで良いのかな?

 

うーん、ハッピーエンドじゃ、ないですよね?
てことはハッピーエンドを書くまで続くってことですよね!?

 

せめて傷つき疲れたコクランの心を、レクスがしっかり癒すところが読みたい!!(血涙)

再会シーンは焦らしに焦らしただけに、超良かったんですけどね。
無意識に甘えるコクランめっちゃ可愛かったですし、そんな彼女ドキドキしながら愛でるレクスにも萌え転がりました。
あそこでコクランは癒されてると言われればそうなんでしょうけど(微不満)

 

ハッピーエンドの先を描く物語としてはとても面白かったものの、ここで終わってしまうのはいかにも消化不良。
ぜひ、この再会の直後から始まる3巻をお願いします!

Twitterでこう書いてるってことは3巻発売はありえるわけですよね。
本当に本当にお願いします(>人<;)

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