乙女な王子と魔獣騎士


『乙女な王子と魔獣騎士』(柊遊馬著/電撃文庫)★★★☆☆

乙女な王子と魔獣騎士 (電撃文庫)
乙女な王子と魔獣騎士 (電撃文庫)

2015年6月刊。
第20回電撃小説大賞投稿作品を改稿した作品だそうです。
国王への復讐に燃える魔獣の少年と、国王の娘でありながら王子として育てられた少女。
騎士学校で出会ったふたりが徐々に惹かれ合っていく姿を描く、恋と復讐の物語です。
テーマの割に心理描写が少々粗いようにも思えましたが、全体的に読みやすく、亜人差別問題を中心に構築された世界観も魅力的でした。
次巻出てくれないかなー?シリーズ化して、ラブロマンス方面にさらに舵を切ってほしいw

☆あらすじ☆
王への復讐。それが全てに勝る、騎士生ジュダの目指すもの。異端の種族の生き残りであるジュダは、母を処刑した王に近づくため、騎士学校に通っている。桜竜の吐息吹く、エイレン騎士学校。力を隠し怠惰な騎士生を演じるジュダのクラスに、眉目秀麗な王子ラウディが転入してくる。突然の仇敵の登場に、暗殺の機会を窺うジュダ。だが偶然にも、ジュダは知ってしまう。ラウディ王子の本当の姿は女の子だということを……。運命に翻弄されながらも惹かれ合う二人。恋を知った少年は、殺すのか、愛するのか。

以下、ネタバレありの感想です。

 

不死身の魔獣と恐れられ、天敵であるレギメンスの一族が率いる人間に抹殺された種族スロガーヴ
主人公ジュダは最後のスロガーヴであり、母を処刑した国王へ復讐するために正体を隠して騎士学校に通う少年です。

 

そんなジュダの前に同じ騎士生として現れたのは、レギメンスの一人である王子ラウディ
ラウディの勘違いでその正体が女であることを知ってしまったジュダは、それ以降、彼女と友人として親しい関係を築いていくことになるのです。

 

国王への憎悪をたぎらせながらも、ラウディ個人には好意を抱いていくジュダ。
復讐を果たすことは彼女の父親を殺すことであり、さらに性別を偽っているラウディに王としての重責すらも負わせてしまう。
ラウディに惹かれるほど、復讐を迷い、葛藤するジュダの姿はなかなか良かったです。

 

ただ、個人的にはもうちょっと葛藤してくれても良かったかなーとは思ったり。
1冊で綺麗にまとめるためには、さっさと国王の前に立たせて、復讐を貫くべきかどうかの選択に直面させるしかないのかもしれませんが・・・・・・

 

「種族皆殺し+母親を目の前で処刑+亜人の仲間を不当に殲滅された」という壮絶に重い過去に根ざすジュダの復讐心。
それと天秤にかけられ、競り勝つことになるのが「ラウディへの想い」というわけですが、うーん、ちょっと説得力に欠けるかなぁ・・・・・・ラウディとジュダの関係についての掘り下げが物足りないためか、終盤でラウディが迷いを振り切るまでが若干性急に感じました。

 

とまぁ、復讐絡みの心理描写は少し物足りなく感じたものの、ジュダとラウディのキャラ自体はとても好みでした。
皮肉屋の騎士と理想家の王女(王子)という組み合わせが良い。
二人の会話もキャラが立っていて読んでいて楽しかったです。
最初は敵対意識から皮肉ってるのに、それが徐々に「好きな子をからかってる」みたいになっていくジュダに萌えますw
ジュダの言葉にいちいち素直に反応するラウディは可愛い( ´艸`)

ただまぁ、あとがきであるように最初からお姫様として出会うってことでも良かった気はするなぁw(そっちが読みたいだけ)

 

世界観もとても魅力的でした。
亜人差別主義者が亜人を迫害し、亜人解放戦線はテロを起こして亜人へのヘイトを集める。
そんな泥沼化した社会問題を、復讐に燃える亜人の主人公視点で丁寧に描きだした物語でした。
これはシリーズ化して突き詰めていけばかなり面白くなりそうです。

 

ラウディとジュダの恋の行方も気になりますし、亜人と人間との共存というラウディの理想にジュダがどう関わっていくのかも読みたい。
ジュダの復讐については国王を見逃した段階で結論が出たようにも思えますが、それはおいても、そもそも体質的に天敵関係なジュダとラウディ。
触れ合えない男女の恋物語かぁー・・・・・・めっちゃ読みたいんですけど!

 

ぜひシリーズ化してほしいです。
主役2人はもちろん、今回ちょっと動きがぎこちなかった脇キャラたちも続刊が出ればもっと掘り下げられるはず。
2巻待ってます!(^^)/

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