東雲侑子は短編小説をあいしている


『東雲侑子は短編小説をあいしている』(森橋ビンゴ著/ファミ通文庫)★★★★☆

東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)
東雲侑子は短編小説をあいしている (ファミ通文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2011年9月刊。
次回作にあたる「この恋と、その未来。」から先に読んでいるのですが、本作カップルがチラッと顔見せしてきたので慌ててこちらも読みました。
「付き合っているフリ」から始まる主人公とヒロインの、少し辿々しく、初々しい距離感が描かれる物語。
性同一性障害のルームメイトへの想いに悩む姿を描く「この恋」に比べれば、かなりストレートな恋愛小説といえるのかもしれません。
でもそのストレートさが微笑ましく、まっすぐ素直に胸に響く作品でした。こちらもとても良いなぁ(´∀`*)

☆あらすじ☆
何事にも無気力、無関心な毎日を過ごす高校生、三並英太。楽そうだからという理由だけで図書委員になった彼は、ともに委員を務める東雲侑子の熱のない静けさに、自分の空虚さに似たものを感じていた。しかし偶然彼女の秘密を知ってしまったことから、自分との違いを思い知らされる英太。だが、その秘密のために、彼女と距離を縮めることとなり、失ったはずの感情に胸を締めつけられていく…。早熟な少年少女に贈る、もどかしく苦いラブストーリー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公は図書委員の三並瑛太
三並は偶然に、同じ図書委員の東雲侑子が「西園幽子」というペンネームで活動している小説家であることを知ってしまいます。

経験がないから長編小説が書けないという東雲の頼みにより、恋愛小説の取材のため、三並は東雲と恋人の振りをすることになるのです。

 

三並の恋心は、思春期特有の未熟に揺れ動く心がすごく初々しく、もどかしいものでした。
兄の彼女への報われない初恋と、偽りの関係から生まれた東雲への想い。
どちらも、悩み戸惑うには十分な状況です。ニヤニヤしてしまいます←

 

とはいえ、有美への想いについては物語開始時点で、ある程度彼の中では整理されつつある恋だったのですね。もう少し出張ってくるのかと思ってました。

 

時間によって癒されつつも、それでも完全には消えていなかった失恋の傷。
そこに現れたのが、東雲だったわけです。

 

東雲への想いを自覚した後は、彼女との偽りの関係がネックになって三並はさらに悩み戸惑うのです。
もうっ、ほんっと、もどかしい!!!w

こんな迷える青少年をラブホに連れ込んじゃだめですよ、侑子ちゃん・・・・・・

 

三並の、初恋への哀愁や新しい恋への懊悩は、もどかしすぎて読んでるだけで身もだえしそうだったのですが、一方で気になるのは東雲の気持ち。
行動だけはやたらと可愛いのですが、彼女は何をどこまで考えているのかは三並視点からではいまいち見えてこないのです。

 

唯一の手がかりは各章冒頭で少しずつ語られる「ロミエマリガナの開かれた世界」
東雲の気持ちだろうなぁと当たりは付けていたのですが、途中から三並の気持ちとも思いっきりリンクしだして、彼同様に混乱してしまいましたw
つまりは似た者同士だったということか。

 

全て読み終わると、プロローグにある「彼女は、女と言うにはまだ幼く、少女と呼ぶ程には無垢ではなかった。」という言葉がすっと胸に落ちてきました。
恋を知らなかった東雲は、大人の女性ほどには成熟していない。
だけど、有美を見る三並の様子に傷つく程度には複雑な感情を胸に秘めていたんですね。

 

東雲自身の物語なのだと改めて最初から「ロミエマリガナ」を通して読むと、三並の恋と負けず劣らずに初々しくてもどかしくて切ない恋心が収められていて、なぜか思わず叫び出したくなってしまいました(´;ω;`)
この胸を掻きむしりたくなるような感覚・・・・・・どうしようニヤニヤするのに苦しい・・・・・・

 

すれ違いを乗り越え、もう一度「お付き合い」を始めた三並と東雲。
なんだか微妙にまだすれ違ってるような気もするのですが(三並はどうして告白に期限をつけたんだ!まだ取材か!)、次巻以降どうなっていくのか楽しみです( ´ ▽ ` )ノ

 

余談ですが、電子版は表紙・口絵だけでなく中の挿絵までフルカラーでした。すごい。これ、他の作品でもやってくれないかな。

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「東雲侑子は短編小説をあいしている」への3件のフィードバック

  1. 自分も同様に前作を読んでなかったので、本屋で探そうとしていたところでここを見まして
    Kindle で3作とも買って読んでしまいました。フルカラー嬉しいですね!
    東雲シリーズを読みおわってから2巻のあとがきを読んだり、2巻ペーパーの「孤独の器」 を読んでニヤニヤしておりますw

    1. asymさん、コメントありがとうございます。
      電子版のフルカラー挿絵とても良いですよね!
      ペーパー読めてないので羨ましいです(>_<) 東雲シリーズは本当にニヤニヤできる良い恋愛小説でした。外では読めませんww

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