『惑いの鳥籠 〜身分違いの恋人〜』(貴嶋啓著/講談社X文庫ホワイトハート)★★★★☆
惑いの鳥籠 ~身分違いの恋人~ エルトゥールル帝国 (講談社X文庫ホワイトハート)【Amazon】/【BOOK☆WALKER】
前巻の感想はこちらから
2014年1月刊。
政変から始まったエルトゥールル帝国シリーズ第4弾。
時系列的には「囚われの歌姫」の同時期。やはり物語のヤマ場にクーデターがあると物騒ですが華やぎますね。面白かったです!
前3冊の登場人物も絡んできているので、ところどころニマニマしていたのですが。ちょっと看過できないところがあるぞ!どういうことだ!?(((゜Д゜;)))
☆あらすじ☆
貧しい家に生まれたエミーネは、エルトゥールル帝国の後宮で皇太后に仕える女官。美しいと評判の姉の代わりに後宮へと差し出されて以来、コンプレックスを持ち、煌びやかな後宮で常に目立たぬようにふるまってきた。新帝の即位を祝う宴で、ラレンデ君侯の世子バヤジットから皇太后の情報を教えてほしいと頼まれる。彼の大胆さに驚くエミーネだが、後宮を一生出られないという絶望の中、バヤジットの間者となる決心をする!
以下、ネタバレありの感想です。
主人公は皇太后付きの女官エミーネ。
皇帝の代替わり後も後宮を出られず自分は籠の鳥なのだと疲れ切っていたエミーネは、彼女に何かと絡むバヤジットに情報を流すよう求められ、彼の間諜として動くことになる、というストーリーです。
第1作「囚われの歌姫」のまさに裏側といった雰囲気の作品でした。
イェシルが疑心暗鬼から拒否した女官ってエミーネのことだったんですね。エミーネが失敗したからセルマが出てくるわけです。こういうつながりがわかると世界観に奥行きを感じて面白いです。
本作では「囚われの歌姫」では詳細が語られなかった政変の具体的段取りも明らかに。1作目ではあっさりと流しただけの政変時のゴタゴタですが、本作ではより詳細に詰められていました。これはエミーネが後宮に居残ったからこそ描かれた内容ですよね。気になっていたところだっただけに、読んでいて楽しかったです。
エミーネとバヤジットの恋については、セルマとラフィークの恋と似ているような印象を持ちました。
政変を企むヒーローにヒロインがなし崩し的に協力していく流れが特にそっくり。
・・・・・・それにしてもラフィークよ。
協力を求めるならエミーネに事情を話しとけってどの口が言うんだ?ブーメランかな?(・∀・)
似ているのは恋だけではないんですよね。
セルマ同様に自分の身近な人を陥れる結果を生んでしまったエミーネ。
セルマと違うのは、エミーネはまさに政変が始まるというタイミングで事実を知ってしまったところでしょう。
自分がしたことへの贖罪のために後宮へと居残るというエミーネの悲壮な決意に胸が詰まる思いでした。真面目で誠実な人柄が好ましいヒロインですよ、ほんと。
そして、そんなエミーネを救い出すために戦場へ飛び込んできたバヤジットの想いも熱い。このカップルが今のところ一番好きかもしれません。
オチのつけ方も大変好みでした。自分が他人にしてしまったことの責任を取ろうという気概が格好良かったです。
そんな感じでめでたしめでたしとなった本作ですが。
いや、ちょっと待って。
途中、皇太后のところでエミーネが見た麻袋に詰められた死体(?)。
あれってハディージェじゃないですか!?
妃そっくり云々とか髪の色的にもハディージェですよね!?
2巻ヒロインがサクっと死んでるぞ!どういうことですか!?(((゜Д゜;)))
・・・・・・死亡をしっかり認したわけじゃないから、きっと生きてるはず。じゃないとその後出てきたアスラーンがあんなに冷静になってるわけない。うん。たぶん。
ハディージェとアスラーンについては今のところ恋人関係に至っていない唯一のカップルなので動向が気になっていたのですが、まさかここにきてヒロイン死亡(?)とは。
嘘ですよね?生きてますよね?「隠された皇女」の続編をください!
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