魔法使いの召使い


『魔法使いの召使い』(陸凡鳥著/小学館ガガガ文庫)★★★☆☆

魔法使いの召使い (ガガガ文庫)
魔法使いの召使い (ガガガ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年5月刊。
なんだかとても懐かしい気持ちにさせてくれるファンタジーでした。
物語は、両親を亡くして身寄りがなくなったお嬢様育ちの主人公ビアンカが、不思議な手紙に導かれて魔法使いの元で働くことになる、というところから始まります。可愛らしい魔法や優しい人々に囲まれ、ドジを踏んで怒られたりしながらも、様々な問題に立ち向かっていくビアンカの成長物語です。
児童文学というよりも童話的(絵本的?)。小さい頃に読んだ絵本を1冊の小説として膨らませたらこんな感じになるのだろうなぁ、と郷愁にも似た気持ちになりながら読み終わる作品でした。

☆あらすじ☆
ただの人間です。不器用だけど頑張ります!両親を亡くし天涯孤独の身となった少女、ビアンカのもとに届いた差出人不明の一通の手紙。それは、とある家で召使いとして働くよう彼女に促す手紙だった。わらにもすがる思いから、その手紙に書かれた手順通りに従ったビアンカは――なんと、異世界へと飛ばされてしまう! しかも、働き口を紹介されたその家は魔法使いの家だった……。日がな一日研究ばかりしている尊大で気難しい魔法使いのエルヴィンと、小言は多いが面倒見のよい家政婦のメーネ。 そんな二人のもとで暮らしはじめたビアンカだったが、生来の不器用さが災いしての失敗の連続にメーネは呆れ気味。そこで、面倒くさがり屋のエルヴィンは、自身が編纂した魔法辞典をビアンカに手渡し、一時的に魔法を使うことを“許可”するのだが、やがて彼女は魔法界全体を揺るがすような大失態をやらかしてしまう……。 人間でありながら魔法使いの召使いとなった少女、ビアンカの失敗と成長の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

両親を亡くし伯父に屋敷も財産も奪われてしまったビアンカ
なんとか働き口を探そうとするなかで届いた1通の手紙に導かれ、ビアンカは魔法使いエルヴィンの元で召使いとして働くことになるのです。

 

ビアンカはお嬢様育ちで世間知らずを固めたような女の子。
当然、家事手伝いなどうまくこなせるわけもなく、家政婦メーネに雷を落とされしょげ返る日々。自分はこんなに使えない人間なのかと可哀想になるくらい自信を失ってしまいます。

 

そんな自信喪失状態のビアンカを救うのは、エルヴィンから教えられた魔法なのです。
この魔法がやたらと可愛い。
まず作り方(?)が完全に料理のレシピ。原材料が野菜ってww
そこから生まれる魔法も、樽で空を飛んだり、天気予報してくれる帽子だとか、空に浮かぶ遮光カーテンだとか。喋る案山子が出たりもしました。
なにこの可愛さに溢れる魔法。ちょっとときめく。
それを生み出すエルヴィンもまた偏屈魔法使いのお手本のようなキャラクターで、相乗効果でより可愛くみえるまでありました。

 

そんな感じで家事に失敗したり魔法で失敗したりして、いっぱい怒られながらもビアンカは少しずつ成長していくのです。
お皿は割らなくなり、失敗した魔法を無事に使えるようになったり。
ぽややんとした女の子の成長をみるのは、なんだか優しい気持ちになれるものです。ビアンカ可愛い。

 

しかしまぁ。魔法をうまく使えるようになって頑張り過ぎちゃった結果が最後のトラブルなわけですが。
最後の戦いもいかにも童話の悪役というキャラが出てきて、なぜかほっこりしてしまいましたw

 

そういえば、導きの魔法のかかった手紙の差出人は誰だったんでしょう?ビアンカが元いた世界から別の世界に送られた理由もわかりませんし(読み飛ばした?)、続編があるのかな?

 

全体的に児童文学や童話に近い雰囲気がある物語でした。
というより低年齢向けの絵本をそのまま小説として膨らませたようなイメージ(この本が低年齢向けだと言いたいわけじゃないです)。
ビアンカの失敗と成長やメーネさんの小言の影にちらちらと子どもに言い聞かせるべき教訓めいたものを感じましたしね。
困難はあれど苦痛はないところや、エルヴィン含む魔法使い達のコミカルな台詞回しとかも、とても懐かしい雰囲気で好ましかったです。

 

とてもノスタルジックな優しいファンタジーでした。
ガガガ文庫のラノベにしてはアクがちょっと足りませんでしたが、たまにはこういう本も良いですね。

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