嘘つき探偵・椎名誠十郎


『嘘つき探偵・椎名誠十郎』(二丸修一著/メディアワークス文庫)★★★☆☆

嘘つき探偵・椎名誠十郎 (メディアワークス文庫)
嘘つき探偵・椎名誠十郎 (メディアワークス文庫)

2015年4月刊。
嘘つきで女好きの探偵と元エリート堅物刑事のコンビが、依頼者のヒロインと共に失踪した彼女の親友の行方を追うというミステリー。
「嘘」がテーマとなっているだけに、登場人物の誰もが嘘嘘嘘ばかり。ちょっと混乱しそうでしたが、変わった切り口が面白い作品でした。

☆あらすじ☆
失踪した親友の捜索依頼のため、自由が丘にある「椎名探偵事務所」を訪れた千脇奏。彼女が出会ったのは、およそ探偵らしくない甘いフェイスの「嘘つき探偵」こと所長の椎名誠十郎―美人に甘いペテン師だが、巧みな話術と嘘を使うことで真実を見抜き、依頼を即解決するという元恋愛詐欺師の凄腕探偵である。彼の相棒は、堅物の元エリート刑事・明神秋馬。二人は通称「嘘憑き事件」を捜査しており、奏は捜査を手伝わされることに。親友が絡む事件は思わぬ方向に転がり…!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

料理の専門学校に通う千脇奏は、シェアメイトの親友・奥園美久が失踪したことから、その捜索を「椎名探偵事務所」に依頼しようとします。
そこにいたのは、軽薄な態度の嘘つき男・椎名誠十郎と、彼の探偵事務所に「左遷」された元エリート刑事・明神秋馬
貧乏すぎて家なき子状態だった奏は報酬代わりに住み込みで家事労働をするため、彼らと同棲しながら美久の行方を追うことになるのです。

 

イケメン2人とドキドキ同居生活の描写がやや長くて、どこぞの少女小説かと思いましたw
いつまでたっても捜索開始しないから「あれー?(;・∀・)」となったことは否めない。

 

そんな感じでユルっと始まった派遣社員失踪事件。
しかし、話が進むにつれて思いの外シリアスな展開となっていき驚きました。

 

物語の核となるのは「嘘」と「嘘憑き」、そして「女王」。
嘘憑きという設定が最初ちょっと呑み込めなかったのですが、要するに女王に懐柔され丸め込まれて犯罪を犯してしまう人々ということでいいのかな。
幽霊的な何かと思ったら全然違いました(;´∀`)

 

面白かったのは誠十郎の調査スタイル。
一野詩枝を罠に嵌めるために予め敵味方を作り出して追い詰めていく、というシーンは緊張感があって読んでいて楽しかったです。
人が嘘をついているサイン、というのはもっと固定的なものだと思っていました。人それぞれなんですねぇ。そのサインを見極めて、「今、嘘をついた!」とハッとする感じにワクワクしました。

 

事件そのものについては少しだけ後味が悪い感じでしょうか。
嘘で作られた優しい世界か、それを否定して真実を求めるか。
初見来須が捕まった段階で止まっていれば奏は優しい元通りの生活に(一時的かもしれなくても)戻れたかもしれないんですよね。それを否定して誠十郎に暴いてもらったのは、探偵に頼ってまでも救い出したかった親友の罪だったわけですから、なんとも厳しい真実。とはいえ、どんな形であれ前に進むために必要なのは嘘ではなくて真実なのでしょうけど。

 

そして、真実を暴いたことは「女王」の逮捕へとつながるわけです。
ただ、誠十郎VS「女王」はちょっと呆気なさ過ぎて拍子抜けしました。せっかく嘘つきの最高峰(?)同士が直接対決するわけだから、もっと緊迫感のある嘘つき合戦をしてほしかった気が・・・・・・。いちゃいちゃモドキの会話で終わってしまったのは残念。

誠十郎と女王の因縁についてはほのめかされただけで終わってしまいましたから、うまくシリーズ化すれば彼らがどうして決別したのかもっと踏み込んで書かれるのかもしれません。そのときにまた女王と再対決とかしてくれるのかも。

 

そういえば、もしシリーズ化するとなると、奏、誠十郎、秋馬で三角関係作っていく感じなんでしょうか。個人的に、それはあんまり望まない展開だったり。
というか誠十郎も秋馬もめんどくさい男なんで、奏は嘘を本当にして他に彼氏作った方がいいのでは・・・・・・(;・∀・)

 

終盤の展開だけ少し物足りなさを感じたものの、全体的には楽しめたミステリーでした。
もし続編があれば読みたいですヾ(*˙︶˙*)

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