吉原夜伽帳 鬼の見た夢

『吉原夜伽帳 ー鬼の見た夢ー』(ミズサワヒロ著/小学館ルルル文庫)★★★★☆

ルルル文庫 吉原夜伽帳-鬼の見た夢-(イラスト完全版)
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「天外遊戯」シリーズ(感想記事:旧ブログ)のミズサワヒロさんのデビュー作。
読んでみて驚きました。これが新人賞作品であることと、レーベル名に。こういう作品をポンっと出してくるのが少女小説の恐ろしいところですが、少女小説らしい甘さを求めて読んではいけません。
この作品が描き出すのは、江戸の苦界・吉原遊郭という箱庭の中で生まれる女と男の情念。
伎有の主人公のもとに舞い込んだ「顔のない仏像」と「顔のない死体」という不気味な事件を通して描かれる愛憎劇は、どこまでも醜悪で残酷。けれどそこから見えてくる、苦界を生きる人々の刹那的な美しさと色香に心惹かれずにはいられませんでした。
何処からおしろいの匂いがしてくるような吉原の情景描写もとても素晴らしい。
幻想的に歪んでいて、悲しくも美しい物語を読みたいときにオススメしたい作品でした。

☆あらすじ☆
異色の新人デビュー!遊郭の華と陰を描く!江戸の遊郭――吉原。外道菩薩と呼ばれる美貌の青年・弥太郎には、”死んだ人間が見える”という噂があった。ある日、奇妙な来客を受けた弥太郎は、一人の元遊女の不審な死について調べ始める。その矢先、彼が廓内で唯一気にかける少女に異変が起きて!? 胸に秘めた恋心、愛憎入り混じる肉親への情。吉原に生きる者達が抱える、心の闇に「鬼」が憑く――。死者を映す瞳が暴く、鬼の正体とは?美しき吉原幻想鬼譚!

以下、ネタバレありの感想です。

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