エルトゥールル帝国シリーズ1 囚われの歌姫 政変はウードの調べ


『囚われの歌姫 政変はウードの調べ』(貴嶋啓著/講談社X文庫ホワイトハート)★★★★☆

囚われの歌姫 政変はウードの調べ エルトゥールル帝国 (講談社X文庫ホワイトハート)
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モデルはオスマン帝国という少女小説では珍しい舞台設定ですが、シンプルな世界観でとても読みやすいです。
最悪な出会いから始まる波乱に満ちた恋という読み応えのある内容も素晴らしく、物語の核にクーデターをもってくるところも面白い、良い少女小説でした。
ただ、この策略家系ヒーローは人によっては苦手かも?一目惚れゆえに恋に狂ったと考えると可愛いんですけどね(*´∀`)

☆あらすじ☆
この国の第二宰相の娘でありながら、義母と異母妹に虐げられて暮らすセルマは、まるで使用人のように扱われていた。そんな日々のなか、少年になりすまし、街の珈琲館で楽器ウードを弾くことだけが、彼女生き甲斐だった。ウードは、母の大切な形見なのだ。だが、いつものように屋敷を抜け出したある日のこと、珈琲館で出会った男に拉致され、乱暴に犯されそうに……。

以下、ネタバレありの感想です。

 

家族に虐げられるセルマはいつものように気晴らしに珈琲館でウードを弾いていたとき、そこでクーデターを思わせる不穏な会話を耳にしてしまい、逃げ出した先で男に囚われてしまいます。
セルマを捕まえたのはエルトゥールル帝国第五宰相のラフィーク
彼は自分が仕えるジハンギル皇子のためにクーデターを画策しており、それを耳にしたセルマを屋敷の中に閉じ込めてしまう・・・・・・というところからセルマとラフィークの恋の物語が始まります。

 

序盤の出会いからの一連のシーンがTLめいていてびっくりしました。なかなか少女小説でここまで描写しないような??
そんな最悪の出会い(ほんとに最悪だった)ですが、そこから少しずつふたりは惹かれ合っていくようになるのです。

 

というか、これラフィークはほぼ一目惚れですよね?
尋問(拷問?)中の泣き顔に欲情したみたいなことを書いてあって、あなたどれだけドSなんですかぁー!?と戦々恐々してしまいました(((゜Д゜;)))
そんな感じでサクっと落ちたラフィークは幽閉中のセルマをなんとか懐柔しようと必死にプレゼント作戦。最初にあれだけ怯えさせていたこともあって、恐る恐る距離感をはかろうとするラフィークの姿はなんだか可愛かったです。

 

まぁ、腹黒でもあるんですけど。

 

政敵の娘であるセルマを政変後も妻として迎えるために、一体ラフィークはどれだけ手前から画策していたのか・・・・・・。
それが明らかになるのは終盤。

セルマとラフィークが心を通わせるようになって、ようやく想いが通じたところで政変勃発。
愛した男のためを思ってやった事が、自分の家族をどういう目に遭わせるものだったのかを知ってセルマが絶望するシーンの盛り上げ方は本当に素晴らしかったです。
荒れ果てたわが家で雨に打たれながら絶望するセルマと、そんな彼女を迎えに来たラフィーク、というシーンの詩的な美しさと切なさといったら、もう・・・・・・(´;ω;`)
ラフィークは全てを知ってて黙っていたわけで、そんな彼に苛立ちと憤りを感じずにはいられません。しかし、そうやって落としてくるから、ラフィークの狙いが明らかになる終盤の展開の爽快感が跳ね上がるわけです。

 

これぞ大団円。やはり少女小説はこうでなくては!

 

政変という一見堅苦しいテーマを、ラフィークとセルマの恋物語のスパイスとした良い少女小説でした。面白かったー!

ほんの少し残念だったのは、ジハンギルハイレッティンといった強烈なサブキャラの動きが小さかったことでしょうか。もっとも、本作は「エルトゥールル帝国シリーズ」(世界観共通で主人公が交代する連作シリーズなのかな?)の第1作なので、今後彼らが主人公となる巻が出てくるのでしょう。というか既刊のあらすじをちらっと見た感じ、たぶんそう。そちらも読むのが楽しみです( ´ ▽ ` )ノ

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