悪誉れの乙女と英雄葬の騎士


『悪誉れの乙女と英雄葬の騎士』(夏野ちより著/ビーズログ文庫)★★★☆☆

悪誉れの乙女と英雄葬の騎士 (ビーズログ文庫)
悪誉れの乙女と英雄葬の騎士 (ビーズログ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

第16回えんため大賞ガールズノベルズ部門優秀賞受賞作。
海賊の少女と過去に傷をもつ騎士の青年が、衝突しつつ魔物絡みの事件の捜査をすることになるというストーリーです。
読む前に私が期待していた海賊ものとはちょっと違っていたかな。文章は読みやすくて内容も悪くはないんですけど、展開は早々に読めてしまいました。
ただ、設定は面白いのでシリーズ化を期待したい作品でした。

☆あらすじ☆
海賊姫×邪道騎士――最凶すぎる二人の衝突(コンフリクト)ラブ!
海賊の娘クレアは、仲間と共にシェランド国の有する島に降り立つ――【海賊】として“奪う”ために。ところが、突如現れた黒づくめの男に殺されかけた!!男の名は【英雄騎士】アドルフ・フォード。超絶美形だが、凄まじく口の悪い男にあっさりと捕まったクレアは、仲間の命と引き換えに、彼と共に事件の解決を命じられるハメになり……!?えんため大賞優秀賞作!

以下、ネタバレありの感想です。

 

海賊船の船長の養女・クレアは、次期船長候補となるための「試験」に挑む最中、英雄騎士アドルフ・フォードに捕らえられ、そこで自分の義父の秘密と「試験」の意味を知ることになります。

 

王家と海賊の同盟関係っていうと、私掠船とかドレーク船長とかあんな感じの話なのかな。本作の説明によるともうちょっと密偵っぽい感じですが。

 

次代の影の騎士となるべくクレアに課された本当の試験の内容は、船員が虐殺され「魔物の卵」が持ち去られたクイン・ローゼ号の事件の真相を究明すること
失敗すれば仲間の命がないという条件のもと、クレアは監視役のアドルフと2人で事件の謎を追うことになります。

 

全体的にミステリ調なストーリーになっているのですが、期待していた海賊モノの雰囲気はなかったです
海賊といえば、自分がやっていることが悪であっても「だからどうした!」と笑い飛ばす陽気な豪快さを持つイメージ。そういうわけで「海賊姫」が主人公の本作にもコミカルでシニカルな物語を期待していました(某カリブの海賊に毒されすぎ)。

しかしいざ読んでみると、本作は「正義」や「信頼」という概念に対する主人公2人の葛藤を描く物語。かなりシリアスなストーリーでした。
これはこれで有りですし、まぁ、海賊にしては真面目すぎるクレアと過去のトラウマから影が濃いアドルフの組み合わせだと、シリアス色が強い物語になるのは仕方ないのかもしれません。もう少し海賊的に陽気なコメディパートや地の文の軽快さがあっても良いかなぁとは思いましたが。

「正義」という言葉にとらわれすぎたクレアはあまり海賊向きではないようにも思えたものの、終盤で本人もそのことに気づき、「悪誉れ」というタイトルを回収する展開は良かったです。

結局、本作は「悪だけど、それがどうした!」とクレアが笑い飛ばせるようになるまでの物語だったわけですね。彼女が海賊的な陽気さを備えるのはこれから。今後の成長に期待したいです。

 

それにしても残念だったのは、展開の読みやすさ。
真犯人は初登場時(唐突な出会い方)から怪しさMAXで「これはさすがにミスリードだろう」と思っていたのにそのまま大正解でした。もう一捻りほしかったなぁ。
途中で出てくる謎の男「シュガー」の正体も同じく。どちらも意味深に登場させるのは良いんですが、それに付随して先の展開が読めてしまうのはちょっと・・・・・・(´・ω・`)

 

ストーリー展開にやや難がありましたが、これはぜひシリーズ化して世界観を膨らませてほしいところ。もし次巻があれば今度こそ海賊船を舞台にした活劇が見たいですし。あと糖度はもうちょいほしいかな。

ということで続刊に期待します!

悪誉れの乙女と英雄葬の騎士 (ビーズログ文庫)悪誉れの乙女と英雄葬の騎士 (ビーズログ文庫)
夏野 ちより,涼河 マコトKADOKAWA/エンターブレイン 2015-04-15
売り上げランキング : 4694Amazonで詳しく見る
スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。