占い師ティアリス・セーブル 誰が王子を殺したの?


『占い師ティアリス・セーブル 誰が王子を殺したの?』(小野上明夜著/集英社コバルト文庫)★★★☆☆

誰が王子を殺したの? 占い師ティアリス・セーブル (コバルト文庫 お 8-1)
誰が王子を殺したの? 占い師ティアリス・セーブル (コバルト文庫 お 8-1)

「死神姫の再婚」シリーズの小野上さんのコバルトデビュー作。
占いの才能がない占い師の少女が、皇太子暗殺事件の犯人を暴くミステリーです。
ミステリーそのものは可もなく不可もなくといった印象。ただ、色んな人物が隠し持つ秘密が少しずつ暴かれていく展開や、それぞれのキャラはなかなか魅力的でした。ぜひシリーズ化してもっと掘り下げていってほしい。
あとカタコト敬語って道化師的イメージが個人的にあるんですけど、ヒーローにそんなキャラ付けするのは珍しいような?

☆あらすじ☆
三年前に起こった王子殺害事件。高名な占い師だったレティシアの娘ティアリスは、その犯人探しを頼まれた。依頼主は王立憲兵隊付属特別室の室長、クランツ。妙にティアリスを気に入ったらしい彼と、その部下であるルディアスとともに、容疑者をひとりずつ当たっていく日々。だが、疑うべき人物は最も近いところにいて・・・・・・!?誰が犯人でもおかしくない、この殺人事件の意外な真相とはーー!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

三年前の王子殺害事件の犯人を見つけて欲しいという依頼を受けた占い師ティアリス
かつては高名な占い師だった母の名誉を取り戻すチャンスと意気込むティアリスですが、事件の真相にはエルマーという国と王家が抱える闇が関わり、またそれはティアリス自身も無関係ではなくて・・・・・・というストーリー。

 

正直に言えば、王子殺しの真相に関してはまぁ予想の範疇だったかなぁ。ありがちといえばありがちなので。
何らかのトリックがあるわけでもないですし、ミステリーとして読むにはいまいち満足できなかったです。

 

あとキャラクターの掘り下げ、とくに王妃絡みが不透明すぎてモヤモヤ
まず、なぜティアリスが王妃に対して母を助けてくれなかった人、というイメージを持ってるのか・・・・・・。
王妃とレティシアの関係って結局親友だったの?ていうかレティシアって庶民?貴族?
なんかあんまり仲良くなさそうなこと書いてあったのに、どういうことだろう。

 

そしてラストに明かされたティアリスの出自について。
完全にネタバレなんですけど、結局ティアリスは王妃とカールマン侯爵の娘で、サフィア王子はレティシアと国王の息子ってことなのでしょうか?
それなら王妃が王家の血筋のために子供を取り替えることも分かる。
いやでもそれだとこの一文がおかしい。

「サフィア王子は本当ハ、国王陛下の血を引いてイナイ。よその女性が生んだ王子ト、取り替えたのではないカト・・・・・・」(240頁)

よその女性というのがレティシアなのは良いです。じゃあ父親は誰?国王の血は引いてないけど「王子」?国王の血を引いていないとしたら、どうして自分の子供とあえて取り替えたの?
明かされたタイミングがあれなので、もしかしたら次巻以降への伏線なのかもしれませんけどね(;・∀・)

 

なんだかすっきりしない終わり方でしたが、謎に絡めてエルマーという国が抱える差別問題を展開していくのは面白かったです。
特に被差別民である「根無し草」を一方的な被害者とするのではないというのが良いですね。興味深く複雑な世界観ができあがっていたと思います。
全く関係ないだろうけど、レストランのシーンはGACKTの騒動を連想してしまいました。仕切りつけられるとか。ああいう差別が重なった結果、クランツは自分と普通に話してくれるティアリスを気に入ったのかな?

 

それにキャラの掘り下げはともかく、キャラ自体は魅力的。
カタコトで敬語なヒーローという珍しいキャラ付けのクランツはなかなかの珍ヒーローだったのでもうちょっと見ていたいかも。
ティアリス自身はなかなか勇敢で好印象なヒロインでした。この子絶対病んでるなーと思っていたら大当たりでにんまりです( ̄ー ̄)。早く現実に戻ってこないかな?←

 

ちなみに本作一番のお気に入りはお姉様でお兄様なアンドレアです。
なぜ男装時の挿絵がないし!!!

 

というわけでアンドレアの男装挿絵ありでの次巻発売を期待します!

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小野上 明夜,宵マチ集英社
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