猫にはなれないご職業1


『猫にはなれないご職業』(竹林七草著/小学館ガガガ文庫)★★★☆☆

ガガガ文庫 猫にはなれないご職業(イラスト完全版)
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主人公は猫又の陰陽師!
という素晴らしくチャレンジャーな異色作。
個人的にはコメディパートがちょっと合わなかったものの、陰陽バトルは熱く、そしてラストは感動的でした。
まさかにゃんこを渋格好いいって思う日がくるとは・・・・・・。

☆あらすじ☆
『吾輩は猫又である。化け猫などとは一緒にしないで欲しい』吾輩が暮らすのは代々、陰陽師として名を馳せた藤里家。その末裔は女子高生の桜子なのだが…吾輩たちが隠していることもあって本人は陰陽師について、何も知らないのだ。当然、吾輩が人語を話せることもな。ある日、桜子の祖母・春子が寿命で亡くなったことをきっかけに、彼女が封印した妖異が解き放たれてしまった。このままでは桜子が危険にさらされてしまう!春子もおらん今、もう吾輩が守るしかなかろう。絶対に守り抜いてみせようぞ!第6回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。

以下、ネタバレありの感想です。

 

当代随一の陰陽師だった春子が死に、その孫・桜子と飼い猫のタマだけが残された藤里家。
実は藤里家は代々陰陽師を家業とする一族であったものの、その事実を桜子は知らず、藤里家に残された最後の陰陽師は猫又であるタマだけ。
何も知らない桜子を守るため、タマは桜子の友人・を巻き込みながら、桜子の命を狙う怪異に立ち向かう、というストーリーです。

 

猫又が妖狐や犬神と戦うという突飛すぎる展開には驚いたものの、いざバトルに突入すればタマがとても頼もしくて格好いい。
タマ自身は強い陰陽師ってわけでもなく、自分より格上の敵を前に内心冷や汗をかきながら、虚勢を張って立ち向かっていく姿が印象的でした。常にギリギリのピンチをすり抜けるような戦い方は、まさに手に汗にぎる迫力を感じるのです。
タマの言動も戦い方もハードボイルドな男気を醸し出しているせいで、うっかり猫又であることを忘れそうでしたw格好いいんだよなぁ。

 

特に良かったのは犬神・清十郎との戦い。
自分が拾い育てた「息子」への苦渋あふれる内心描写は圧巻。
桜子を守りたいけれど、もう清十郎を手にかけたくないという葛藤に苛まれるタマの姿がとても人間くさくて、それだけに悲壮感がひしひしと伝わってきて切なかったです。

 

ラストは「奇跡」な結末だったわけですが、ハッピーエンドというのは大事なので満足です。

 

ただコメディはあんまり合わなかったのは残念
命の腐女子設定の活用法にはびっくりしましたけどね。その娘は腐ってるぞ!で妖狐がちょっと引いていたのはクスっときました。
でもパンツ連呼とか3日ルールの不潔設定は必要性がよくわからなかったなぁ。他が良かったのだけにコメディパートのとってつけた感が気になりました。
あと作中でコメディパートの大半を担うのは桜子のちょっと変わった感性からくる言動だったのですが、桜子というキャラクターをラストシーン以外あまり好きになれなかったのも大きいかなぁ。事情はわかるけど心配してくれる友人をグーで殴っちゃだめだよ(´・ω・`)

 

そんな感じで、一部合わないところもありましたが、全体的には面白い作品でした。
2巻も読んでみようと思います!

 

余談。本作でデビューした竹林さんは最近「お伽鬼譚」(感想記事)という作品を出版しているのですが、こちらはコメディ控えめのシリアスなダークファンタジーです。おすすめ。かなりおすすめ。

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