蓮華鬼譚 宿命と恋の始まり


『蓮華鬼譚 宿命と恋の始まり』(瑞山いつき著/ビーズログ文庫)★★★☆☆

蓮華鬼譚 宿命と恋の始まり (ビーズログ文庫)
蓮華鬼譚 宿命と恋の始まり (ビーズログ文庫)

安心と信頼のラブコメレーベル・ビーズログ文庫。ですが、たまにこういうダークファンタジーを放り投げてきます。良いぞもっとやれ!
鬼退治を生業としながら鬼に滅ぼされてしまった里の生き残りたちが、仇の鬼を求めて旅をする和風ファンタジー。凜々しくも可愛いヒロインがとても良かったし、設定も好み。
少しコンパクトにまとめすぎたかなと思うものの、終盤はなかなか悲壮感漂う展開で読み応えがありました。
伏線を残すことなく1冊で綺麗に物語が終わっていますが、続けようと思えば続けられそうです。シリーズ化してほしいなぁ。

☆あらすじ☆
十七歳の少女・蓮華は、大切な人たちを奪った『鬼』に復讐する旅に出る。それこそが、残された蓮華にとって唯一の、生きる意味だからだ。だが、鬼の行方を捜す道中、同じ目的を持った青年・出雲と出会う。軽薄で軟派。しかも、蓮華が忘れようとした過去の記憶を刺激してくる嫌な男―そう思っていたのに、彼と接するうち、閉じていた蓮華の心はかき乱されて!?宿命が織りなす和風幻想譚!

以下、ネタバレありの感想です。

 

鬼を殺すことのできる真実の一族
主人公蓮華は、真実の一族の里のひとつ「雨の里」で生まれ育ち、鬼退治を生業にする少女です。

ある日、姉の夫籐二と共に仕事から戻った蓮華は、鬼に襲撃され壊滅した里の悲惨な姿を目にしてしまいます。そうして、蓮華は籐二と共に仇の鬼を求めて復讐の旅に出ることになるのです。

里や家族を失った蓮華を苛むのは燃え上がる復讐心と、それと同じくらい重い絶望感。
しかし蓮華は、別の里の生き残りである出雲鳥羽に出会ったことで、少しずつ凍てついた心を癒やしていきます。

 

全体的に暗鬱な雰囲気を漂わせつつも、蓮華が旅の仲間たちとの交流を通して前を向いていこうとすることで物語が重くなりすぎないのは良かったです。
特に鳥羽との会話で、初めて蓮華が剥き出しの絶望感や不安感をさらけ出したシーン。あそこは本当に印象的でした。その鳥羽が・・・・・・っていう終盤の展開込みで。

里を襲った鬼の正体や目的が明らかになる終盤は、この蓮華と鳥羽の会話や感情の動きを下地にしているせいで、より悲壮感が増すんですよね・・・・・・自分の死んだ息子に鳥羽を重ねていた籐二のことを考えても辛いものがありました。

 

ダークなストーリーそのものは面白かったのですが、サブタイトルの「恋の始まり」についてはちょっと駆け足気味に感じられました。

序盤で幼馴染み&許嫁的な存在である浅沙への恋(もしくはそれに近い感情)を丁寧に描いていたことから、私はてっきり「死んだ浅沙への思い」と「今傍にいる出雲への思い」の間で蓮華が揺らぐ展開がくると思っていたのですが・・・・・・。

蓮華の「浅沙への想い」がどこにどう納まったのかよく分からなかったのが少しモヤモヤとしてしまいました(´・ω・`)
「最初は出雲に浅沙を重ねて見たけどいつしか出雲自身に惹かれていた」って話なのでしょうけど、そこらへんの描写にもう少しページ数が欲しかったかなぁ。

 

出雲が蓮華に惹かれていく描写も弱冠の唐突さを感じたり。
ただ、出雲は軽快な感じが小気味良くて素敵なキャラクターでしたし、彼が蓮華を気にかけている様子は読んでいて楽しかったです。でもいつ蓮華を好きになったんだろ?

 

恋愛面がいまいち腑に落ちなかったものの、全体的には面白く満足でした。

鬼退治の旅は続けるようなので、続編は出せそうな感じではありますね。続きが出ることに期待したいです。

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