海波家のつくも神1


『海波家のつくも神』(淡路帆希著/富士見L文庫)★★★★☆

海波家のつくも神
海波家のつくも神

大事な物が勝手にどこかへ行ってしまうため、大事な物に手を伸ばせなくなった少年・海波大地。亡き両親と暮らしていた生家へと戻った彼を待っていたのは、美少女をはじめとするたくさんの「つくも神」たちとの同居生活だった、という物語です。
喪失感を抱えた少年の再生を中心に描くハートフルな日常物でありながら、「つくも神」というファンタジー要素が入っている童話的な作品。特に終盤の雰囲気は最高に好みでした。

☆あらすじ☆
両親を事故で失い、田舎の一軒家で独り暮らしをすることになった高校生・海波大地。他人との関わりを避けていた彼だったが、その家には、つくも神を名乗る少女・リリィが住んでいた。彼女は、絵本作家だった大地の両親が書いていた物語に登場する少女だという。だが、その物語は未完のまま。リリィは、大地に続きを書くよう頼むのだが…?リリィをはじめ、掛軸の少女やしゃもじの爺さん、ティーカップの新婚夫婦など、賑やかなつくも神たちに囲まれた、大地の不思議な毎日が始まる―。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語は、「物に魂を宿す力」を持つために、大事なものほど失ってしまい、大事な物に手を伸ばせなくなってしまった少年・海波大地(かいなみだいち)とつくも神たちの交流を描いていきます。

 

生家に戻ってきた大地を待っていたのは、様々な物から生まれたつくも神たち。
母が書いた童話のノートから生まれたリリィベルをはじめとするつくも神たちが優しく大地を迎え取り囲んでいく様子には思わずほっこり。

特にリリィは大地の自称お姉さんにふさわしく、とても包容力のあるヒロインでした。魔法使いでもあるリリィは、幼い頃に傷ついたまま迷子になっていた大地の感情を取り戻してあげます。
リリィの使う魔法がとにかく素敵。そして優しさに溢れていて心が温かくなります。
両親の死後、初めて大地が涙を流す図書館のシーンには思わず目が潤んでしまいましたが。
両親の馴れ初めエピソードもどこかセピアな青春を感じて素敵でしたね。彼らの幸せな人生が長く続かなかったことを思えば、その儚さは胸にくるものがありましたが。

 

まぁでもまさかリリィが大地と一緒に高校へ通うことになるとは思いませんでしたw
大地やリリィの同級生のうち、つくも神が見える石水冴華については今後波乱を呼びそうな気もしますけど。彼女の力とリリィの魔法のせめぎ合いみたいになりそうだなぁ。

 

後半は、父親の残した壁の落書きにまつわる騒動が描かれていくわけですが、最後のシーンはそれこそ児童文学的で素敵でした。星空を駆ける黒馬と、それにまたがる少年少女。最高です。
こういう雰囲気はたまらなく好きなんですよねぇ。夢がある。

それにしても、先生の失恋エピソードが何気に一番切なかった気がします。つらい。ラブレターを後ろ手に隠したまま、好きな人が他の女性と仲良くしている姿を見てるだけってつらすぎる。先生がこじらせちゃっても仕方ないかも。

 

いやぁ、とても良かった。
2巻も近日発売予定なので、とても楽しみです。

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淡路 帆希,えいひKADOKAWA / 富士見書房
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