神ノ恋ウタ1 あめ つち ほし そら


『神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら』(石和仙衣著/講談社X文庫ホワイトハート)★★★★☆

神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら (講談社X文庫ホワイトハート)
神ノ恋ウタ あめ つち ほし そら (講談社X文庫ホワイトハート)

古事記を大胆にアレンジした古代ラブファンタジー作品。
日本神話ベースの世界観も、そこで生まれた神と巫女の恋物語もとても素敵でした。
萩原規子さんの勾玉三部作が好きな人とかにはたまらないんじゃないでしょうか。この児童文学と少女小説のいいとこ取りをしたような雰囲気、最高です!!

☆あらすじ☆
古代、神と人とがまだ近しく生きていた時代。太陽を司る昼女神が失踪して以来、里には太陽の光が届かない。病弱に生まれた巫女・雪荷は、長く生きられないといわれる身。それでも役に立ちたいと躍起になる彼女の前に目映いほどに美しい若き男神が現れる。美貌の神は雪荷の歌声をいたく気に入り、ひとときも離したくないと言う。無邪気に甘えてくる男神に戸惑いを感じながらも、彼に仕える決意をした雪荷。だが、運命を変えるもうひとりの男神が現れて……!賢明に生きる一人の少女が神々を突き動かし、世界に光が取り戻される――!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

古事記ベースの物語ということでモチーフになっているのは、三貴子、天岩戸伝説、八岐大蛇討伐などなど。
元ネタが分かりやすい設定でありながら、元ネタとは全く別の物語を作り上げているのは素晴らしいですね。こういうアレンジ大好きです。

 

主人公は病弱な巫女・雪荷
太陽を司る昼女神の行方の鍵を握ると予言された彼女は、月を司る伊布夜(いふや)に見初められ、彼の巫女として育った里を出て月神殿へと行くことに。しかしその道中で何者かに命を狙われ連れ去られた場所で、雪荷は荒々しい気性の男神・(かがり)と出会うことになるのです。

 

最初は伊布夜がヒーローかと思ったのですが、予想が外れてしまいました。
雪荷が自ら巫女として仕えたいと望んだのも、恋に落ちてしまったのも、炬ただ一人だけ。
自分の死を受け入れてしまっていた雪荷が、炬のために人生を前向きに考えていく姿はとても清々しく、素敵でした。

意固地になりながらも巫女として懸命に頑張り、炬へ愛を捧げた雪荷。
時に荒ぶりつつも自分の短所を見つめ、雪荷のために立派な土地神へと成長していく炬。

互いを高め合う恋物語というのは読んでいて気持ちの良いものです。

 

しかし、本来、生きる時間が異なる神と人との恋。
さてどうなってしまうのか、とドキドキしながら読んでいたら後半から一気に展開が加速。
最初から怪しさMAXだった巫女のせいで、雪荷と炬がすれ違ってしまうシーンはとても切なかったです。なんで信じてやらないの!?と炬を怒鳴りつけたくなりました。
その分、迎えにきてくれるシーンには感動したんですけどね。

 

それにしても後半は本当に濃かった。
昼女神の行方とか、炬の出自の秘密とか、三角関係の決着とか、雪荷の寿命の問題とか。全部一気に解決してしまいましたね。それでいて急ぎ足感がそこまでなかったのがすごい。
まぁ「姉上にできてわたしにできないはずがない」って発想にはびっくりしましたけどw
そういえば、古事記では三貴子は男神であるイザナギから生まれてるんですよね。ありっちゃありなのか。

あのラストで、なんだかんだで伊布夜は純粋に雪荷が好きだっただけなんだなぁ、と実感してしまいました。でも、そうか。パパになることで満足することにしたのか。そうか・・・・・・。

 

一瞬本気で悲恋エンドかと思って泣きかけたので、完全無欠のハッピーエンドを迎えてくれて本当に満足です。
炬の子育てが見たいなー、とかちょっと思ってしまったんですけどw

 

1冊に詰め込んでしまうのはもったいないくらい良い物語でした。
2巻も出ているんですよね。主人公は違うようですが。読んでみよう。

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