螺旋時空のラビリンス


『螺旋時空のラビリンス』(辻村七子著/集英社オレンジ文庫)★★★★★

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)
螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)

2014年ロマン大賞の大賞受賞作。
新人作品ですよ。これ書いたの新人さんなんですよ・・・・・・嘘でしょ!?
タイムマシンが発明された近未来と、19世紀のパリを舞台とするタイムリープ&タイムループなSFミステリー作品。
複雑に組み上げた設定や伏線が光る、予想以上にSF色が強い内容でした。同時に切ないラブロマンス作品でもあり、それらの調和がとても素晴らしかったです。
不穏すぎる謎に動揺する前半、テンポ良く伏線が回収され明かされる真実に驚愕する後半、そしてロマンチスト大爆発な結末。どれをとっても最高でした。
これを機に少女小説界隈にSFが流行らないかなぁ、と夢見てしまうくらいの良作。男女問わずめちゃくちゃオススメです!!

☆あらすじ☆
時間遡行機“アリスの鏡”が開発された近未来。喪われた美術品を過去から盗み出す泥棒のルフは、至宝インペリアル・イースターエッグを盗み19世紀パリに逃亡した幼馴染・フォースを連れ戻すことに。だが彼女は高級娼婦“椿姫”マリーになりすまし、しかも不治の病を患っていた。頑なに帰還を拒否する彼女が秘めた真意とは!?時の迷宮に惑うタイムループミステリー!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

時間を超えて喪われた美術品を盗み出し、金持ちに売りさばくジャバウォック時間遡行会社
主人公はこの会社に所属する泥棒のルフ
ルフは、会社を裏切って逃亡した同僚のフォースからインペリアル・イースターエッグを取り戻すため19世紀パリへと時間遡行することになります。
しかしそこで彼を待ち受けていたのは、彼が予想もしていなかったほど残酷な真実だったのです。

 

序盤は、唐突にルフを襲うフラッシュバックや、意味深なフォースの言動にひたすら戸惑ってしまったのですが、ループが始まる中盤からはこの物語の世界に深く囚われてしまいました。
ジャバウォック社が隠していた真実、これまでルフが見てきた様々な出来事の意味、そしてフォースの真意が次々と明かされ、その緻密すぎる伏線の数々にただただ圧倒させられるばかり。
あれもこれも何もかもが伏線だったとか、ほんとに頭おかしいです(褒め言葉)

 

オレンジ文庫のメインターゲットは若い女性だと思うのですが、そんなレーベルでここまでがっつりとしたSFを読むことになるとは(SFは果たしてメイン読者層にウケるのだろうか)。

同じ時間でループを繰り返すことにより発生する「過去の自分」。SFでしばしば扱われるこの要素の扱いは軽くホラーでしたね・・・・・・。
「1843-1847。君の死を、永遠に繰り返す。」
帯の文言が意味していた、ルフの狂気的ともいえる愛と行動に戦慄が走りました。
あれもこれもお前かよ!!って。
弱冠ホラーではあっても、そこにあるのはどこまでも献身的なルフの愛なんですよね。

あのループの必要性は終盤で明かされるわけですが、そこらへんの設定も実に周到で素晴らしかったと思います。

 

どの時点で何が起こっていて、それにどんな意味があったのか。
それを気にしながら2度めにこの本を読めば、伏線の多さにさらに驚くこと間違いなしですよ。ほんとによく出来てる。

特にフォースのセリフは、ちょっとした一言への印象が一度目に読んだ時と二度目で大きく変わってきます。「これも?ここも伏線!?」って驚いてばかりでした。
「中身はおんなじ」(46頁)とか、「あなたがここで何日過ごしても、何年過ごしても、会社としては同じことよ」(57頁)とかね。・・・・・・意味を考えると怖いっ(((゜Д゜;)))

延々とループを繰り返すルフに付き合い続けてきたフォースも凄まじいですよね。私だったら気が狂ってしまいそう。だって、いっぱい、いっぱいいるんだよ・・・・・・?
それでもフォースは全てを受け入れ、そしてルフと共に足掻いたのです。思い返せば、彼女は最初から最後まで一貫して高潔な女性だったわけですよね。全てを知りながらルフを助け続けたフォースの愛は本当に美しいものでした。

 

怒濤の如く明かされる悲惨な真実と、極悪非道すぎる元凶の存在に一体どういう結末を迎えるのかドキドキし続けた本作。
素晴らしい読後感をありがとう!本当にありがとう!!
繰り返される死の果てに、最高に素敵なエピローグを持ってきてくれました。心底ホッとした。
ほんとにもー、ルフさんってばロマンチストですね(´∀`*)
250年モノのタイムカプセルとか粋すぎるじゃないですか。なんてイケメン。

 

どこまでも私好みの作品でした。最高に面白かったです。
SFのことばかり書いてしまいましたが、本作のヒストリカルロマンな部分もとても良かった。
新説「椿姫」も素敵でしたし、少女小説ではきらびやかに描かれがちな19世紀パリを、悪臭が漂ってくるかのように生々しく描いていたのも特徴的でした。これは確かにコバルト文庫じゃ出せない(笑)

 

これでデビュー作とか本当に信じられません。辻村七子さんの次回作には大いに注目していきたいですね。
願わくば少女小説界隈にSFの風を呼び込んでほしいところ。応援しています!

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