我がヒーローのための絶対悪〈アルケマルス〉


『我がヒーローのための絶対悪〈アルケマルス〉』(大泉貴著/小学館ガガガ文庫)★★★★★

我がヒーローのための絶対悪 (ガガガ文庫)
我がヒーローのための絶対悪 (ガガガ文庫)

これはやばいです。変化球でどストライクきました。
登場するのは悪の怪人と正義のヒーロー。ヒーローものを悪の側から描くピカレスクロマンな作品は多いですが、それをここまで切ないラブストーリーに仕上げてくるとは。
主人公は怪人達を束ねる悪の結社の総帥。そんな彼が戦うのは、怪人達の天敵として「正義」を振るう最愛の幼なじみなのです。
彼らの闘争と、その裏に隠された愛に衝撃を受けました。もうほんと、切なすぎて動揺するレベル。
ダークヒーローものとしても終始緊張感のある展開が続き、とても面白かったです。
最高だよ!こういうの大好きだ!!

☆あらすじ☆
街の平和を守るため、ヒーローに変身し日夜戦う少女・ミア。そんな彼女を見守る幼馴染の少年・武尊。平凡な高校生である彼には秘密があった―。それは、彼こそがミアの倒すべき悪の組織の総帥なのである。武尊が悪に身を落とす理由。それは正義の味方として悪と戦うことを宿命づけられてしまったミアのために、敵として立ちはだかり続けることだった。悪の首領とヒーローの関係は二人をどんな運命へと導くのか。最愛の者を守るため、最愛の者と戦い続ける、正義と悪に彩られた青春ヒーローピカレスクロマンここに誕生!

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、異形の怪人「オルタ」が出没し、正義の味方であるガイムーンとの闘争を繰り広げる街・月杜市。
主人公は、そんな月杜市の高校生・沖名武尊です。
物語は、武尊が3年前にガイムーンによって壊滅した「禍嶽社リヴァイアサン」の総帥・ヘルヴェノム卿を二代目として引き継ぎ、オルタたちをまとめ、天敵であるガイムーンを打ち倒そうとする姿を描いていきます。

実はこのガイムーンの正体は、武尊の幼なじみ・天羽ミア
武尊はガイムーンの正体を知りながら、それでもなおガイムーンを倒すために「絶対悪」へと身を堕としていくのです。
自分の正体をミアに知られないように、最大限の気を配りながら。

 

なぜ武尊は正義を執行するミアと敵対しようとするのか?大切なはずの幼なじみを攻撃するのはなぜなのか?彼の目的は何なのか?
最初は不可解だった武尊の行動理由は、物語が進むにつれて徐々に明らかになっていきます。
そしてそこに隠された真相は、あまりにも切ないものだったのです・・・・・・。

 

おかしくなってしまったミアの「正義」と、その呪縛から彼女を解放するためにミアと戦う道を選んだ武尊。
幼なじみのふたりが互いへ抱く愛情と、そのために生まれるすれ違いに涙を禁じ得ません。
読む前には想像していなかった悲痛な純愛の物語でした・・・・・・。

途中で挟んできた武尊とミアのデートで、仲の良い幼なじみのあるべき姿が描かれたせいで余計に辛い。あのシーン、ニヤニヤさせてくるのに切なすぎるんですよ。泣かせる気か。
そんなデートの直後に武尊が罪を犯したことによって、ふたりの「あるべき関係」はもう取り戻せなくなってしまったのではないかと思うと、さらに切なさが募ります。思えばあの殺人が最後の分岐点だったのでしょうか。

武尊の闘争の理由、彼の罪、そしてミアへの想いが明らかになった後では、冒頭のヘルヴェノム卿が発した「我が親愛なる正義のヒーロー」という言葉がどうしようもなく重く、切なく、言葉通りの愛に満ちて聞こえてくるのです。
あそこで私の涙腺は決壊しました。武尊・・・・・・っ!おまえってやつは!!

途中まで武尊はミアの正義を安定させるために「悪」を演じて均衡をはかろうとしているのかと思っていたのですが、方法がより過激なものだったのには驚きました。
意志を挫くまで戦うって、それバッドエンドフラグ・・・・・・いや、この切なさがたまらないのですが。でも残酷すぎる宿命ですよね。ミアの正義の原型を作り出したのが当の武尊だったっていうのを考えると、なんとも言えない気分になってしまいます。

 

結局、物語は武尊の希望とは裏腹に、ミアがヒーローとして生きる道を受け入れてしまったところで幕を降ろしてしまいました。
武尊とミアの、愛と闘争の物語はまだまだ続いていくのです。

 

ほんとにもう最高でした。
もちろんシリーズ化しますよね?最近はナンバリングのないラノベが多くて不安。
【結社】や【オルタ】については詳しく語られずに終わってしまいましたし、ぜひ続きを出してそこらへんの伏線を回収してほしいところ。

それに今回はサポートに徹した新生リヴァイアサンのメンバーの活躍も見てみたいですしね。最後に打ち解けた彼らには胸が熱くなりましたし。

特に、今回武尊が犯してしまった最大の罪の共犯者となったエコールが、今後どういう関係を武尊と築いていくのかも気になるところ。
「これから先も敵対せざるを得ない愛しい幼なじみ」と、「許されない罪を共有した仲間の女」に挟まれての三角関係とかできちゃったら、なんというか、ゾクゾクしませんか?w

 

というわけで2巻を楽しみにしています!

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