ひとしずくの星


『ひとしずくの星』(淡路帆希著/富士見L文庫)★★★☆☆

ひとしずくの星 (富士見L文庫)
ひとしずくの星 (富士見L文庫)

「星の恩恵」と「星の災禍」の両方を受ける国を舞台に、神官の少年と名前のない少女の出会いと恋を描くファンタジー作品です。
どこかおとぎ話のような雰囲気のある、繊細な物語。少年と少女の出会いと、彼らの間に生まれた感情が世界に何をもたらすのか。切なさの余韻が強いラブストーリーでした。
同レーベルの「王女コクランと願いの悪魔」が好きな人とかにおすすめできそうです。ただ、あれよりちょっとダウナーな気分になってしまいましたが・・・・・・。

☆あらすじ☆
周期的に発生する天災『星の災禍』により、故郷と家族を失った少年・ラッカウス。今は聖都で神官としての教育を受ける彼だが、その心中には常に疑問があった。「『星の災禍』とは何なのか」次の犠牲者が出る前に答えを知りたい。衝動的に禁忌の森へと忍び込んだ彼は、無垢なる少女シースティと出会う。彼女に惹かれ、人目を盗んで森に通うラッカウスは知らなかった。彼女が、触れてはいけない世界の秘密に繋がっているということを…。

以下、ネタバレありの感想です。結末について色々書くつもりなので、未読の方は要注意でおねがいします。

 

物語の舞台となるのは聖ヴィリヤーラという国。
この国には、傷を癒すなどの様々な奇跡を起こす「星の恩恵」が存在し、同時に、人々を苦しめる「星の災禍」が周期的に発生していました。
主人公ラッカウスは「星の災禍」の遺児であるために、「星の恩恵」である〈蔓紋〉を操る力に優れた神官です。
ある日、彼はふとした思いつきから禁足地である「星が降る森」へと足を踏み入れ、そこで名前も感情も持たない少女と出会い、物語は動き始めます。

 

前半はラッカウスと、シースティと名付けられた少女のたどたどしい交流が微笑ましく描かれていきます。しかし中盤、ラッカウスはシースティの秘密と、聖ヴィリヤーラに隠された真実を知ることになり、雰囲気は一変して暗い影を帯びたものに。

 

隠されてきた真実が明らかになると、それまで微笑ましく見ていたラッカウスとシースティの間の淡い想いがどんな結末を迎えるのか、とても不安に思えて続きを読むのが怖くて仕方なかったです。
徐々に八方塞がりな状態に陥り、物語の雰囲気をなぞるように影が強くなっていくラッカウスの行動には不安しか感じませんでした。
徐々に感情表現が豊かになっていくシースティの方も、その可愛らしさにときめきつつも、彼女を待ち受けるであろう残酷な運命にこれまた不安が強くなるばかり。

ちょっとこれハッピーエンド無理じゃない?と悲しくなりながら、頭によぎるのは途中で出てきた薔薇の結晶
・・・・・・まぁ、嫌な予想は当たるものですよね。

 

・・・・・・これはちょっと、壮絶すぎるバッドエンドではないでしょうか。
結局、ラッカウスはシースティの解放と引き換えに自らの命を捧げ、結果として聖ヴィリヤーラは崩壊したってことですよね。
数多くの少女達の犠牲の上に成り立ってきた国家の末路としては納得のいくもの、だったのだろうか。

ラッカウスとシースティの恋の結末も私には思いっきり悲恋に思えました。保存する術って期間を設定するものなんですよね?いずれ起きたときのシースティの気持ちを考えると・・・・・・(だってラッカウス寝てるわけじゃないよね?)。

なんか涙でてきた・・・・・・(´;ω;`)

 

あのエピローグは素敵でしたが、よく考えると色々と辛すぎました。
こういう繊細な雰囲気の作品は、悲恋であっても、もう少し救いがある方が好みだったかも。いやいや、こういう終わり方も悪くはない。悪くはない、けど!
ラッカウスとシースティに思い入れが強かった分、読んだ後にダウナー入ってしまってしまいました。それだけ物語に入り込んでたってことなんですけどね。

悲しみに暮れてしまいましたが、世界観を壊さずに美しくまとめ上げたラストであるとは思います。ご都合主義を通さずに、それでもラッカウスの想いを貫くにはこうするしかなかったのかもしれませんね。

 

おとぎ話のような雰囲気のある、美しくも残酷で、切なさの余韻が強く残る物語でした。
文体が繊細で好みだったし、積んでる「花守と竜の叙情詩」も読まなきゃなぁ。

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