Elysion 二つの楽園を廻る物語(上)


『Elysion 二つの楽園を廻る物語(上)』(十文字青著/角川書店)★★★★☆

Elysion 二つの楽園を廻る物語 (上)
Elysion 二つの楽園を廻る物語 (上)

SoundHorizonのStory CD「Elysion~楽園幻想物語組曲~」(通称「エリ組」)を、「薔薇のマリア」「灰と幻想のグリムガル」の十文字青がノベライズするという企画作品。
実はサンホラはよく知らないんですよね・・・・・・。この本を読むまで、進撃の巨人のやつしか知りませんでした。でも青先生だからきっとサンホラ知らなくても面白いでしょう、と思って読んでみました。
いやー、すごかったです。万人におすすめできるかはともかく、面白い作品でした。何というか、青先生が童話を書いたらこうなっちゃうんだろうなぁって感じで。読んでいるとメンタルをガリガリ削られる系の美しくも恐ろしい物語でした。
サンホラファン(ローラン)の方が読むとどう受け取られるのか気になるところ。
原曲をよく知らなくても楽しめる本だと思います。たぶん。ちょっと自信ない。
ちなみに私は本を読んでから曲を聴いてみました。小説とあわせて曲を聴くと、より頭がおかしくなりそうでおすすめですよ!
連作短編のような構成の作品で色々謎が多いのですが、これは下巻で明らかになるのか各自の解釈に任せることになるのか。

☆あらすじ☆
Sound Horizon10周年記念特別企画。
如何にして楽園の扉は開かれたのか……。真摯なる策略が無垢なる呪いを招き、男は仮面を被り、女たちが嘆き、少女は笑う。否応なく罪を背負わされ、肉体の檻に閉ざされた者たちの魂の軌跡はどこまで続いてゆくのだろう。その先に楽園はあるのか?そして楽園の正体とは?終わりなきパレードを率いる仮面の男の目に映った狂気と愛憎の世界が、今描かれる!

以下、ネタバレありの感想です。

 

「魔女とラフランツェ」
各話まんべんなくメンタル削ってくるのですが、これが一番辛くて面白かったです。
オルフェの狂気とラフレンツェの無垢な愛の落差が、恐ろしい歪みを生んでいてゾクゾクしました。
オルフェって、ギリシア神話のオルフェウスのことか!って気付くと、ラストの「振り返ってしまうだろう」にゾっとするわけですね。ほんとに、馬鹿だなぁ・・・・・・。

 

「Lの肖像」
A.E.0が年代を表すなら(After Elysion?)、1話目ラストから1072年後の奴隷少年の話。
これ、よく分からなかったんですよね。
エリスが1話目の娘と同じなら、「O」はオルフェか。くらい・・・・・・原曲の歌詞を見る感じ、絵の中のエリスに恋した少年が1話のオルフェのような感じになっちゃうってことなんでしょうか?繰り返し?
それにしてもオルフェが産ませた娘がラフレンツェそっくりというのが何というか、怖い。

 

「Ark」
A.E.2015。
ダントツで頭おかしかったお話。読んでるこちらの頭もおかしくなりそうな狂気的な話でした。目を開けて悪夢みてる気分。こんな感じの回が薔薇マリでもあったなぁ。
監視卿の実験にどんな意味があるのか。彼が言う「大災禍」ってこの後の話でしれっと出てきてるんですよね。下巻でもうちょっと突っ込んだ話が出てくるのでしょうか。
あとエロかったー。
最初から最後まで「妹」の狂気に翻弄された「兄」に切なくなりつつ、繰り返されるフレーズが徐々にリアルを侵食していくような演出にゾッとしました。

 

「Lの天秤」
A.E.1568。
仮面の男と、最愛の娘の話。
伯爵令嬢の逃避行がどうなったかについては結局書かれていなかったのですが、原曲を聴くと結末まで歌われているんですね。下巻で描かれるのでしょうか。

 

「Baroque」
A.E.2103。
ついに「エリス」出てきた!・・・・・・のかな??
百合な感じの話だなぁ、と思っていたら衝撃的ラストを迎えた話。つらい。
これが他とどうつながるのか検討もつかないです。あと「大災禍」って何だろう?
これの原曲、歌じゃないんですね。ほんとにそのままノベライズしてるんだなぁ、と青先生のサンホラ愛を感じる1本でした。

 

「Lの絵本」
A.E.1820。
「エルの絵本」は「魔女とラフレンツェ」「笛吹き男とパレード」の副題ありで2曲あるんですよね。
でもこれ内容的にアルバム1曲目の「エルの楽園[→SIDE:E→]」っぽいような。
ここに出てくる女の子が「Lの天秤」の女の子だとしたら「A.E.」は年代じゃないってこと??繰り返し続ける物語っぽいので、よくわからないですが。

 

読んでる間は「頭狂いそう!怖い!」って思いながらも楽しかったのですが、こうやって感想をまとめるとワケわかんないですね。まぁ、関連させて考えるとよくわからなくなるだけで、1本1本は独立した話として面白かったです。
あとがきには「この物語組曲を一本の筋が通った小説にするのは・・・」と書いてあったので、おそらく下巻を読めば全貌が明らかになるのでしょう。
あるいはローランが読んだらわかるのかな?

サンホラは今回初めてちゃんと聞いたんですけど、結構好きな感じでした。「エルの絵本【魔女とラフランツェ】」が一番好きかな。

頭がおかしくなりそうな鬱童話的雰囲気が最高だったので下巻も楽しみです。

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