実存系ドグマストラ1 勇者タケジョーの青き流転


『実存系ドグマストラ 1.勇者タケジョーの青き流転』(十文字青著/辰巳出版 T-LINE NOVELS)★★★☆☆

実存系ドグマストラ 勇者タケジョーの青き流転 (T-LINE NOVELS)
実存系ドグマストラ 勇者タケジョーの青き流転 (T-LINE NOVELS)

新創刊のT-LINE NOVELSから出版された青先生の新作ダークファンタジー。
どんなものかな?と思っていたところに飛び込んできたのがこのツイート。


読んでみたら、なるほど。
これはライトノベルレーベルではストップがかかるかもしれませんね。
薔薇マリでもちらちら顔を出していたエログロ押しな感じかなぁ?と予想していたのですが、なんだか違う方向で重い作品でした。
副題通り「勇者」の物語なわけですが、主人公が背負うものがいわゆる「勇者」のイメージとはかけ離れて重すぎるのです。
まさに「流転」としか言い様のない生き方をすることになってしまった主人公タケジョー。彼の選択と、それが引き起こす後悔や苦悩を描く第1巻でした。
物語としては、ラストの展開でようやく序章が終わったというところでしょうか。タケジョーがどうなっていくのか続きが楽しみです。
あ、公式PVもあるんですよ。

歌ってるのは声優の野島健二さん。本の巻末に歌詞が載ってました。

☆あらすじ☆
「おれは勇者になることにした」
幼いころ父母を亡くし、悪名高き七号孤児院で辛酸を舐めつくしたタケジョーは自分に残された唯一の希望――《勇者》になる道を選ぶ。
中原を支配する央国の戦士《勇者》は、煌熱魔法ドグマを操り敵を殲滅する。かつて央国を苦しめた国アルメンの異能戦士《ドグマストラ》の能力を徹底的に研究し産み出されたのが央国産ドグマストラ――《勇者》であった。タケジョーと勇者専門学校に集まった十一人の新入生は、入学初日から厳しい訓練を課せられ、勇者になるため地獄の日々が続く。ついに卒業を目前にしたある日、央国に敵対する北秋の攻撃に合う。襲撃部隊の中には、激烈な力を持つ、かつては央国の勇者だった男がいた。影修羅――反・央国の旗幟を掲げた「黒金剛の血盟」に与した勇者であった。影修羅の前に、一癖も二癖もあり実力派勇者であるはずの教官たちは次々に撃破されてしまう。
「ああ、こいつはおれたちより上だ。ずっと上の存在だ…」
影修羅の圧倒的な力の前に、降伏を余儀なくされるタケジョー。絶望に打ちひしがれたタケジョーが選んだ道とは…。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の主人公タケジョーは、「勇者」になる道を選択し、勇者専門学校に入学します。
同期とうまくいかないながらも、自分を高めようと努力するタケジョー。
しかし国や民を守る「勇者」になろうとタケジョーが決意した直後、突如襲撃してきた黒勇者影修羅によって彼は最初の選択を迫られることになります。

 

「勇者」になるのかと思いきや、影修羅に付き従いレジスタンスの仲間入り。
かと思いきや央国側に囚われて勇者・叫子に弟子入り。そして「勇者」へ・・・・・・。

 

まさに流転。
1巻の中だけでもタケジョーの立ち位置がぐるぐると変わっていくので、ついていくのがちょっと大変です。
しかし最も混乱しているのは当のタケジョー本人なんですよね。
結局、彼が自主的に選択したのは勇者専門学校に入学するということだけで、その後の彼の生き方は全て流れに押し流された結果なわけです。
最終的に「勇者」となったのも、流れ着いた先にあっただけというか。

 

そして流れに飲み込まれてただ流されている間に、タケジョーがすり減らし、失ってしまったものが大きすぎました。
親友になれたかもしれない燈。
もう少しくらい親しくはなれたかもしれない彗。
そして自分自身で奪ってしまった多くの人の命。

流されるままに取り返しのつかないことを繰り返し、摩耗していくタケジョーを情けないと思うか可哀想と思うか。
事あるごとに自分に言い訳をし続けるタケジョーはとてもかっこ悪いのですが、叫子の胸で泣き叫ぶ姿がどうにも憐れで・・・・・・。
こんなにも負の意味で人間らしさ溢れる主人公はなかなかいないですよ。ほんとに。

 

「勇者」になれたとはいえ、もはやお祭りの中で彼が考えたような「国と人を守る」という純粋な理想を掲げることができるのか・・・・・・。掲げてもいいものなのか。

 

この物語は「勇者タケジョー」の贖罪の物語となるのでしょうか。
そこはかとなく救いがなく、暗くなりそうです。だがそれがいい。

 

暗いといえば、勇者の能力である「ドグマ」も。
使って失えば寿命が減るって、使いつぶすラストとかありそうで怖い。自爆あるわけだし。

 

こんなに重く息苦しくなるような圧迫感あるダークファンタジーは、確かにライトノベルレーベルでは出せないかもしれませんね。
十文字青節全開の、タケジョーの自責の念に渦巻く内心描写はかなり人を選びそうです。
「勇者タケジョー」となった次巻からが本番かな?流される度に「自分はどうせこういう人間なんだ」と自虐してきたタケジョーですが、彼はどんな「勇者」となっていくのか。
今後の展開がさっぱり読めませんが、2巻を楽しみに待とうと思います。

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