鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常


『鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常』(梨沙著/集英社オレンジ文庫)★★★☆☆

鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常 (集英社オレンジ文庫)
鍵屋甘味処改 天才鍵師と野良猫少女の甘くない日常 (集英社オレンジ文庫)

なかなか良かったです。
野良猫みたいに警戒心剥き出しで、すぐ物陰に身を隠そうとするワケあり家出少女。そんな少女を拾った無愛想な鍵屋の青年。
そんな2人がなりゆきで共同生活を始めながら、鍵をかけられた様々な謎を開いていく、という物語です。
ライトミステリなんですが、ミステリーパートは思ったより少なめです。どちらかというと、少女と青年がおっかなびっくり距離を縮めていく、まさに野良猫と拾い主みたいな交流の方がメインだった気がします。
私としては「鍵にまつわる謎」の方に興味が惹かれたのでもっとそちらにページ数をさいてくれても良かったかなぁ、と思ったり。
でも、主役2人の関係は「甘くない日常」という副題に首をかしげるようなものだったし(笑)、脇キャラも個性的だしで、シリーズ化を期待したい新作でした。

☆あらすじ☆
冬休みに突入した午後、自分の出生にまつわる秘密を知ってしまった女子高生・こずえは母を一方的に責め、衝動的に家を飛び出した。ひょんなことから鍵屋を営む鍵師・淀川と知り合い、年齢を偽って助手として彼の家で居候することに。そこへ「亡き父が遺したものを知りたい」という依頼者たちにより、他の鍵屋で開けられなかった手提げ金庫が持ち込まれるが…?

以下、ネタバレありの感想です。

 

母から逃げ出すように家出をした女子高生・こずえ
行き場のない彼女をなりゆきで拾ったのは天才鍵師・淀川嘉文でした。

物語は、鍵屋さんとしての淀川の「日常」を挟みつつ、こずえにとって「非日常」な淀川とこずえの共同生活の様子を描いていきます。

 

オレンジ文庫はライトミステリに力を入れるようでしたので、この作品も「鍵にまつわる謎」が色々出てきます。
2つの「亡父が遺した鍵のかかったモノ」。淀川は誰にも開けられなかったその鍵を開き、そこに隠された謎を解き明かしていきます。
内容はまさにライトミステリです。人死にが出るとかの殺伐としたものではなく、解き明かして出てきた答えにほっこりするような感じ。
過去の写真を隠そうとした父親と、家族をまとめるために謎かけを隠した父親を同時に出したことには何か理由があるのだろうかw

 

ミステリーの体裁をとりながら、淀川の日常はこずえに色々な「家族の形」を見せていきます。
多感な思春期の少女ということで、こずえが自分の出自にショックを受けるのも仕方ないのかもしれませんね。
淀川との「非日常」はそんなこずえの心の傷をゆっくりと癒していくものだったのでしょう。

 

警戒心を剥き出しにし、懐いたと思ったらすぐに距離をとるこずえ。そんな彼女をため息まじりであやす淀川。実は似た者どうしなふたりの関係性がすごく好みでした。
でも、淀川さんw「猫みたい」って思ってもそれを周囲にそのまま言うのはどうかとww
初っぱなに湯たんぽ代わりにしちゃってるし、爽やかだけど犯罪臭がするなぁーと思っていたらラストに警官出てきてすごく溜飲が下がりました(?)
ギクシャクとしつつもラブコメなノリで進むふたりの共同生活は、ほんのり糖度があって面白かったです。

 

脇キャラもなかなか。
タイトルの「甘味処改」ってなんだろうと読む前から思っていたのですが、祐雨子とこずえの仕業でそういうことになったんですね。迷惑だなぁw
祐雨子と同じく淀川の幼なじみ・早川煌も良いキャラでした。ライバル的キャラかと思ったら違ってびっくり。「プライドが高いのか低いのかわからなくなる」には笑いましたw要するに大好きってことですよね。

 

作中の雰囲気やキャラも良いし、「鍵にまつわる謎」という興味深いテーマをもった本作。
ぜひ続きを出してシリーズ化してほしいですね。こずえと淀川の関係の行方も気になりますし。2巻が出ますように!

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