二度めの夏、二度と会えない君


『二度めの夏、二度と会えない君』(赤城大空著/小学館ガガガ文庫)★★★★★

二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)
二度めの夏、二度と会えない君 (ガガガ文庫)

うあぁああああ・・・・・・。あらすじでヤバそうな雰囲気は分かってたんですけどね。
開始50ページいく前に涙が出てきて、その後ラストまでずっと泣きながら読んでました。
こういう話すごく好きです。でも切なくて読み終わった今も思い出して泣きそう。外では読めません。
「伝えてはいけない気持ち」があるということを知ってしまった少年が送る二回目の夏の物語。
「今、この瞬間」が本当に「このときにしかない瞬間」だということを心から理解して送る青春というものは、こんなにも胸をしめつけるんですね。
素晴らしい青春小説でした。ぜひ男女問わず広く読んで欲しい作品です。

☆あらすじ☆
突如転校してきた森山燐は不治の病を患っていた。俺は彼女と共に、ライブを演り、最高の時間を共に過ごし…そして、燐は死んだ。俺に残されたのは、取り返しのつかない、たったひとつの後悔―決して伝えてはいけなかった言葉。俺があんなことを言いさえしなければ、きっと、燐は最後まで笑顔でいられたのに…。―二度めの夏。タイムリープ。俺はもう一度燐と出会う。あの眩しい笑顔に再び。ひと夏がくれた、この奇跡のなかで、俺は自分に嘘をつこう。彼女の短い一生が、ずっと笑顔でありますように…。

以下、ネタバレありの感想です。

 

死にゆく少女に告げた「好き」という気持ちが、彼女の笑顔を壊してしまった。

そんな後悔を抱く少年・篠原智に、突然の奇跡が起こります。
二度目の夏。もう一度辿る森山燐との思い出。
智は、燐の笑顔を最期の瞬間まで守るために、文化祭のライブに向けて懸命に駆け抜けた日々を繰り返すことになります。
間違っても、自分の気持ちが燐に知られることがないように想いを抑え込みながら。

 

・・・・・・切なすぎる!!
もう設定だけでウッ(´;ω;`)と泣けてくるのですが、もちろんそれだけではありません。
恋と後悔を同時に抱えた少年の複雑な心理描写が、ほんとうに素晴らしかったのです。

冒頭の甘酸っぱい智と燐の距離感。そこから奈落に突き落とすような燐の拒絶と彼女の死。
現実を受け入れきれず、後悔に苛まれてぐちゃぐちゃに潰れてしまった智の心。

本題のタイムリープに入る前なのにボロボロに泣かされてしまいました。まさかこんなに繊細な心理描写ができる作家さんだとは思ってなかった・・・・・・(失礼)。先入観ヨクナイね。

 

智の恋心と、それを燐に告げたことへの後悔がしっかりと描かれた上で始まる「二度めの夏」。
燐の短い生を笑顔で終わらせることができるように、間違っても最期に自分がそれを壊すことがないように、智は必死に記憶に従って過去をなぞっていきます。
文化祭でライブをするという目標に向かって、仲間を集め、周囲の理解を得ようと努力する智たち。それだけを切り取ってみれば、爽やかな青春のワンシーンなのでしょう。
しかし、そこに智の後悔と、燐が死んだ後の仲間達の姿が差し込まれるのです。
仲間が増えたやったー!と盛り上げた直後に、その仲間が燐の死後どういう行動をとったのかという回想が入るんですよ。これがほんとにもう辛い。やめて・・・テンション上げさせといて泣かせにかからないで・・・・・・
上げて落としてを繰り返しつつ、すでに決まってしまっている結末に向けて物語は進んでいくのです。

 

時折、燐の行動が過去と違っていき、それが徐々に大きな違いへと発展していくのですが、これはどういうことだったのかな。
燐もタイムリープか?とか一瞬思っちゃったんですが、そういうわけではなさそうでしたし。
燐も本当は智を想っていたんだよ、という証左だったのかもしれませんね。

 

一度めとは違う燐を見ていくうちに、疑問に思うのは、どうして燐が、あの病室で智の想いを拒絶したのかということ。
その答えのひとつは、楽器店の店長の過去を通して示されます。
死んでいく自分が智の想いを受け入れれば、智は燐の死後もそれに縛られるかもしれない。そんな恐怖を燐自身が感じていたのかもしれません。
それは「前を向いてほしい」という燐の願いからはかけ離れていて、だからこそ燐のあの悲痛な拒絶と「ごめんなさい」と書かれた手紙が生まれてしまったのでしょう。

 

「伝えてはいけない気持ち」というのが本当にあるのかどうか、私にはよく分かりません。
あるような気もするし、それでも伝えることで変わるということが必ずしも悪いとは限らないようにも思えるし。

でもこの物語で智と燐が出した答えは、未来がある彼と彼をおいて逝く彼女にとって選ばずをえない必要なものだったのでしょうね。
「ごめんなさい」から「ありがとう」に変わったメッセージと、「バンド、やろう!」という智の言葉はどちらも、明るくて、切ないながらもふっと笑顔になれるものでしたから。

 

タイムリープによって燐の死が変わるわけではなかったけれど、それを乗り越えて前を向こうとする智の姿にとても心を打たれました。
エピローグも良かったですね。燐の分まで智が歌う、というのがまた良い締め方だったと思います。

 

本当にすごく素敵な作品でした。
こういうのが好きな方にはコレもおすすめしたいなぁと浮かんだ作品が何作か思いついたものの、タイトルを書いたらネタバレになりそうなんですよねぇ。難しいな。

それはそうと、こんな素晴らしい青春小説を書いた赤城大空先生。デビュー作がアニメ化するんですよね。
原作読もうかなどうしようかな。

ガガガ文庫 下ネタという概念が存在しない退屈な世界(イラスト完全版)

ほんとにどうしようかな((((;゚Д゚))))
アニメは見る予定ですけどねー。二作目で作風を広げすぎてて凄い。

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