ニーナと精霊の扉 黒衣の公務員と碧の秘密


『ニーナと精霊の扉 黒衣の公務員と碧の秘密』(羽倉せい著/角川ビーンズ文庫)★★★☆☆

ニーナと精霊の扉 黒衣の公務員と碧の秘密 (角川ビーンズ文庫)
ニーナと精霊の扉 黒衣の公務員と碧の秘密 (角川ビーンズ文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2015年1月刊。
第12回角川ビーンズ小説大賞読者賞受賞作です。
カメラマンのヒロインと公務員のヒーローという、ちょっと珍しい組み合わせ。精霊の力というファンタジー要素を中核とした物語ですが、スクーターやエレベーター、路面電車などが出てくる近代ヨーロッパ風の世界観です。
ヒロインもヒーローも苦労してきた社会人ですので、全体的にとても落ち着いた雰囲気で話が進みました。それでいて盛り上がるべきところではしっかり盛り上がる良作。一応話は完結していますが、きっと出るだろう続きが楽しみです。

☆あらすじ☆
精霊の力を使う人々、ヴェーダが暮らすサンルノン共和国。写真館を営むニーナは普通の少女だが、カタブツ公務員グラフォードに違法のヴェーダではと疑われている。ある日、ニーナは偶然、幻影伯爵という凶悪なヴェーダを写真に撮ってしまい、命を狙われる身に…!危機を救ってくれたのは、苦手だった彼で!?読者審査員絶賛!!近代西洋風ミステリアス・ファンタジー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公ニーナは、ある日、異様な男の写真を偶然撮ってしまいます。男の正体は精霊の力を使える『ヴェーダ』の犯罪者組織のボスである幻影伯爵
幻影伯爵の素顔を見てしまったニーナは、命の危険にさらされながらも、違法なヴェーダを取り締まる公務員・グラフォードと共に幻影伯爵逮捕のために動き出す、というのが本作のストーリーです。

 

近代ヨーロッパ的風景の中に、普通に精霊の力が共存しているという世界観はとても素敵でした。
ちょっとした手品のような能力から、凶悪な力、さらにはニーナの出自に関わる神秘的な力まで、バリエーション豊かにファンタジーを描き出しているのも読んでいて楽しかったです。

 

ストーリーもなかなか良かった。
あらすじを読み間違えて勝手に「ミステリー・ファンタジー」だと思い込んでいたんですが、ミステリアス・ファンタジーだったんですね。
ミステリー要素全然ないじゃん!って途中まで思ってしまっていました・・・・・・神秘的なファンタジーなら納得です。特にラストの門番のくだりとか、精霊の王とか。
全体的に丁寧に伏線を張って、それを着実に回収していく堅実な作りだったと思います。とても読みやすかったです。

 

ニーナが初めて出会った「ヴェーダ」の少年の正体は結局分からずじまい?幻影伯爵はニーナの過去を知っているような素振りを見せた気がしたんですが、入れ墨が違うようですし。
でもグラフォードでもなさそう?続刊が出れば分かるのでしょうか。

 

キャラも好印象でした。
天涯孤独なニーナも、実家から放逐されてしまったグラフォードも、苦労しまくっている社会人なだけあって物事への対応がとても大人。
憎しみにとらわれて感情が揺れ動いても、割とすぐに自分でおさめてしまいます。
そのせいか、というか、その割には、というべきか。
恋愛面に関してはじれったすぎるくらい動きがなかったですね。糖度はあってないようなものでした。
ここらへんは続刊で進展を期待したいところです。グラフォードは無自覚で色々とやらかしてしまうタイプのようですが、もっと派手にやらかしてくれてもよかったなw

 

全体的には満足のいく新作でした。
新人賞受賞作ですし、続刊もきっと出るはず。続きを読むのが楽しみです。

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