化け猫島幽霊分校の卒業式


『化け猫島幽霊分校の卒業式』(上野遊著/メディアワークス文庫)★★★☆☆

化け猫島幽霊分校の卒業式 (メディアワークス文庫)
化け猫島幽霊分校の卒業式 (メディアワークス文庫)

挫折した元高校教師と、天災によって捨てられた島に残された4人の幽霊の子供たち。
彼らの交流を描くハートフルストーリーです。
展開がやや読みやすいものの、穏やかで優しい、良い物語でした。

☆あらすじ☆
ある事情で子供の頃からの夢だった教職を辞め、フリーター生活を送っていた青年、生田覚は、友人から離島の教師の職を勧められる。島を訪れた覚を待っていたのは、たくさんの猫と美しい巫女。そして、天国に旅立ち忘れた4人の子供達の幽霊だった。そう、覚が頼まれたのは、『幽霊の子供達の先生』になることだったのだ。最初は拒否する覚だが、子供達と交流するうち、彼らを新しい世界へ卒業させる決心をする。青年と子供達の心の再生を描いた優しい愛の物語

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公は、元高校教師・生田覚
トラウマを抱える彼は、台風によって住民に捨てられた孤島で、1人の美人巫女と4人の幽霊の子供、そしてやたらと賢いたくさんの猫たちと出会います。
幽霊の子供たちが「この世界から卒業」するために、教師役を引き受けることになる覚。
この作品は、覚と子供たちが過ごした1年間の学校生活を描く物語です。

 

子供たちの未練となっている様々な物事を一緒に乗り越えながら、覚と子供たちは穏やかな時間の中で確かな信頼関係を築いていきます。
ひねりのきいた展開やどんでん返しがあるような作品ではないですが、覚と子供たちの交流を穏やかに楽しげに描いていくため、読んでいる間とても優しい気持ちで物語に浸ることができました。

 

覚が本当に良い先生なんですよね。
彼は決して仏のような人物ではなくて、むしろ割と怒りっぽいし、めんどくさいものはめんどくさいと苛立つし、なんというかとても人間くさい。ですが、疲れ切って熱を出すまで子供たちの未練に付き合うし、とことん子供達に向き合おうといつでも一生懸命な男なのです。
きっと、そのまま高校教師を続けていたらとても人気のある先生になっていたことでしょうね。「美男」らしいですしw

 

そんな覚を受け入れた子供達もひとりひとりがとても良い子で・・・・・・(ノД`)。
母への優しい想いを抱えた晴真、不器用な幼い恋に翻弄される貴大、漫画家の夢を秘めていた忍、死んで初めて「学校」の楽しさを感じた彰子。それぞれが輝くように生き生きとしているだけに、彼らにすでに未来がないこと、卒業をしなければならないということが、どんどん切なくなって仕方なかったです。その卒業のシーンはほんのりと目頭が熱くなるようでした。

「人と人はつながっている。死ですら人の絆を断ち切ることはできないんだ。いつかの再会を約束して、今日の門出の挨拶に代えようと思う」(364ページ)

ゆっくりと積み上げられた覚と子供たちの物語を締めくくるに相応しいセリフだったと思います。世界からの卒業=成仏という必然の別れを惜しむ気持ちを先に十分に描かれていただけに、じんわりと胸が温かくなる言葉でした。

 

しかし浅緋さんは幽霊だったかー。人の振りした化け猫だと思っていたので予想が外れてしまいましたw

化け猫島幽霊分校の卒業式 (メディアワークス文庫)化け猫島幽霊分校の卒業式 (メディアワークス文庫)
上野遊KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
売り上げランキング : 12877Amazonで詳しく見る
スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。