筺底のエルピス ー絶滅前線ー


『筺底のエルピス ー絶滅前線ー』(オキシタケヒコ著/小学館ガガガ文庫)★★★★☆

筺底のエルピス (ガガガ文庫)
筺底のエルピス (ガガガ文庫)

とても面白かったです!ものすごく私好み!
異能バトル+伝奇譚+SFってとこでしょうか。それらの要素がうまく噛み合って壮大な物語が組み上げられていました。
「鬼」という異次元のプログラム。これに感染してしまった人間は同族殺しを唆され、強烈な殺意をもって残虐な人殺しと化してしまいます。
主人公は、この鬼を封じ、滅ぼすことを生業にする《門部》の封伐員である青年と少女。ダブル主人公なのかな?男女の相棒ものというだけでもストライクです。
ちなみに表紙で座り込んでる男性は22歳です。一瞬おじさんに見えますけど22歳です。口絵は若かったのに何で!立ってる女の子は16歳女子高生です。
専門用語は多いしSF要素も強いのですが、ストーリーは分かりやすく複雑な設定にもかかわらずとても読みやすかったです。作中における説明のタイミングが絶妙でした。
そしてサブタイトルの「絶滅前線」。これの本当の意味はあまりにも過酷なものだったりするのですが、ちょっと希望が見えたりもするこのバランス感覚が憎い。
ぜひ続きを出して欲しい新作でした。

☆あらすじ☆
人類の存亡をかけた影なる戦い。
殺戮因果連鎖憑依体――古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。日本の暗部である《門部》は、不可視の存在を網膜に投影する改造眼球『天眼』と、時を止める超常の柩『停時フィールド』を武器とし、そのプログラムを追い立て、狩り、そして葬り続けてきた鬼狩りの組織だ。
時は現代。百刈圭(ももかり・けい)と、乾叶(いぬい・かなえ)――心に傷を抱えて戦う二人が遭遇したのは、歴史上、たった六体しか確認されていない《白鬼》だった。叶の親友に憑依したその鬼を巡って組織が揺れる中、黒ずくめの刺客《ゲオルギウス会》が動き始める。それは日本を守護する《門部》と同じように、ヨーロッパで連綿と戦い続けてきたもうひとつの鬼狩りの組織――バチカンの狩人たちだった。
《白鬼》とは何か。二つの組織の衝突はいかなる戦いを引き起こすのか。そして、滅亡を防ぐ希望はあるのか。
人類の存亡をかけて戦う、影なる戦士たちの一大叙事詩が、いま語られる。
気鋭・オキシタケヒコが描く異能バトルアクションシリーズ。イラストは各方面で活躍中のtoi8が担当。

以下、ネタバレありの感想です。

 

男女のダブル主人公(だと思う)ってイイですよね。もっと増えてほしい。

本作は2人の男女を中心として物語が進みます。
ひとりは《門部》の筆頭封伐員・百刈圭。もうひとりは圭の後輩である新米封伐員・乾叶
このふたりが対峙するのは、人から人へと殺意を感染させて凶行に及ばせる殺戮因果連鎖憑依体、「鬼」と呼ばれる異次元のプログラムです。

 

圭も叶も、「鬼」に憑依された人間によって家族を奪われた過去を持ち、どちらもその過去に苦しみながら鬼を倒す務めを果たしていきます。
しかし、叶が唯一守りたい存在である朋之浦結に《白鬼》が取り憑いてしまったことから、物語は、白鬼を確保しようとする《門部》と、動き出したバチカンの狩人「ゲオルギウス会」の祓魔師たちとの戦いへと発展していきます。

強すぎる「鬼」に対抗するため《門部》のメンバーには、目視できない鬼を見破るための「天眼」と、時間を包み込んで止める「停時フィールド」と呼ばれる二つの能力が与えられます。
停時フィールドの形には個人差があり、「時間を包んで止める」という要素は同じにも関わらず使い方は千差万別。よくもここまでバリエーションを作れるものだと感嘆してしまいました。
それぞれの「停時フィールド」がぶつかり合う祓魔師たちと圭たちの戦いはまさにSF異能バトル。重複不可のルールをうまく利用した駆け引きの応酬もすごく興奮しました!
そんなハラハラする戦いの最中に、さらに超凶悪な赤鬼が乱入してきたりして、終盤の展開は息つく暇もないほどでした。

 

前半は穏やかに物語世界へと導いていき、少し込み入った設定をよく飲み込ませた上での後半の怒濤のバトル展開。
こういう構成がとてもうまくハマッていた作品だと思います。

 

そんな感じで「停時フィールド」を使う者たちの異能バトル的展開があった本作ですが、あくまでメインは鬼退治。
因果を辿って憑依を繰り返す鬼を完全に消滅させるためには、宿主が自殺するか、他に憑依できる人間がひとりもいなくなればいい。
・・・・・・こんな設定から出てくるのは、なんと1万年後の未来の地球
ワームホールの先にある未来を知り、そこで初めてサブタイトルの「絶滅前線」の意味になるほどと唸ってしまいました。
まだ1万年後に滅びていたとかなら良かったんですけどね・・・・・・滅亡へのカウントダウンが近すぎる。必死で戦っている人間に突きつけられる事実としては重すぎます。
それでも未来は絶対に変えられないわけではないのです。たとえ幾万通りの未来のうちひとつとして人類が生き残れたものがなくても。
わずかでも希望が残されているからこそ《門部》のメンバーは戦い続けていくことができるんでしょうね。悲壮な宿命です。

 

さて、圭の仇討ちは果たせたものの、物語としてはまだまだ続きそうです。壮大な物語を展開してほしいところ。伏線もまだ残ってますしね。一回り大きく成長した圭と叶のコンビが活躍するところももっと見たいです。
あと、オーバーテクノロジーを与えた異星知性体は3体のうちのひとつである「裏切り者」の意味が気になります。先代のセリフが意味深すぎるよ・・・・・・。

 

ラストは、ドキドキ女子高生二人と一つ屋根の下!というラブコメよろしくな展開になってしまいましたが、作風的に全然ラブコメになりそうになくて笑えますw
圭はヘタレくさいからなぁ(´・ω・`)
真剣に続きが出て欲しいです。2巻発売が待ち遠しい!

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