ザ・ブレイカー2 断罪の処刑人は唄う


『ザ・ブレイカーⅡ 断罪の処刑人は唄う』(兎月山羊著/電撃文庫)★★★★☆

ザ・ブレイカー (2) 断罪の処刑人は唄う (電撃文庫)
ザ・ブレイカー (2) 断罪の処刑人は唄う (電撃文庫)

前巻の感想はこちらから
ザ・ブレイカー1 黒き天才、その名は | 晴れたら読書を

ダークヒーローが活躍するクライムサスペンス第2弾。
前回よりも主人公の異常性が浮き彫りになり、犯罪もより凶悪化しています。端的に言うと、1巻よりも面白かった!
今回は「公共の敵(パブリックエネミー)」を名乗る敵と対峙することになるのですが、犯罪そのものは残忍だし、その裏に隠された事情や目的も悲惨で重いし、それに対処するためにカナタが取った行動もアレだしで、なんか読んでいるとサイコパスが濁りそうでした。この後味の悪さはクセになりますね。
あとリセ可愛い。ラスト不覚にも萌えてしまった私は節操なし。

☆あらすじ☆
ネットで公開処刑を続ける殺人犯に史上最悪の天才と呼ばれる悪魔が挑む!
医療ミスを認めない病院の院長、車で子供をひき殺した女優……罪に問われず、ぬくぬくと生きている人間たち。
そんな「世間から反感を買っている」人々を殺してまわる連続殺人鬼が現れる。その名は「公共の敵(パブリック・エネミー)」。残虐な処刑の様子をネット上でライブ放送するという異様な手口で、多くの一般市民から熱狂的な喝采を浴びていく。「公共の敵に死を」とうそぶく彼の真の狙いとは――?

以下、ネタバレありの感想です。

 

CIROの民間顧問(コンサルタント)として捜査協力をすることになったカナタとリセ。
そんな彼らを新たに加えたCIROが今回対峙するのは、連続するインターネット公開処刑事件の首謀者「公共の敵(パブリックエネミー)」
裁かれない悪を断罪するという「公共の敵」を捕まえるため、CIROは捜査を開始するのだが・・・・・・という話でした。

前回は学園立てこもり事件で犯人がさらに密室に立てこもるという閉鎖的な犯罪だったのに対し、今回は本拠地が見つからないままネット上に神出鬼没に現れるという広範囲な犯罪
当然、「公共の敵」や血盟団の捜査を進めるCIROの活動範囲も広範となり、捜査員達も前回よりガンガン動いていきます。前回の圧迫感のある展開とは違う、広範囲すぎる故の緊張感が良い!
着地点が見えないからゆっくり手近なところから攻めていこう、という感じにとてもドキドキしました。

 

あと今回も近未来テクノロジー的なものが出てはきたものの、それがあまり重要な要素を占めなかったのも良かったです。
1巻のオチはSF色が強すぎてちょっと置いてけぼりを食らってしまいましたからね( ´ ▽ ` )
今回は「公共の敵」の正体と過去、彼の犯罪の動機と真の狙いという、より心理的なところに比重を大きく置いていたように思えて、こちらのほうが私は好みでした。あと推理シーンがちゃんと推理しているのも良かったです。でも骨格とかごまかせるものなのか気になりましたけど。

 

それにしても動機が重かったですねぇ。
「公共の敵」という題材を扱う場合に必須のテーマではあるものの、「何をもって犯罪者とするのか」は難しすぎる問いかけです。
悪の悪は正義?何が悪で何が正義?
わからぬ・・・・・・(´・ω・`;)

今回で言えば「公共の敵」自身は間違いなく殺人を犯した犯罪者=「悪」のはずですが、彼が最も断罪したかった敵は果たして悪ではないのかは・・・ちょっと何とも・・・・・・。
動画見ただけで殺されたんじゃたまらないよ、って気持ちは否定できないんですが、かといって他人の不幸を喜ぶ者は悪じゃないなんてことも思えないし。
こんな問答が始まってしまうと結局は「人間は生来罪深き者なんだ!」とかいう宗教的な答えが出てきてしまいそうです。そして色相が濁る。

 

そんな小難しい話はおいといて。

今回のカナタは前回以上にダークヒーロー的活躍をしてくれてすごく格好良かったです!
彼がリセを守るためなら手段は選ばないというのもよく分かりました。家族に家族を殺させろとか(・・・既視感)、ヤクザのところに生首持参とか。
カナタの言動は異常ですが、全部はリセのためなんですよね。怪物だらけの世界からリセを守るために、自ら怪物になろうとするカナタの悲壮感が切ないです。
リセと抱き合ってるシーンは素敵でしたが、「公共の敵」との違いを分けた「紙一重」の存在であるリセにすがりついているようにも見えました。
この兄妹はこれから相互依存が激しくなっていきそうな予感。

 

そんな(社会に適応できなさそうな)カナタがリセとルークの高校に転入したところで次巻に続く。
なんという面白い展開してくれちゃってるんですかーーー!続きが早く読みたいです。

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兎月 山羊,ニリツKADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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