やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10


『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10』(渡航著/小学館ガガガ文庫)★★★★☆

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫)
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫)

前巻の感想はこちらから
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6.5 | 晴れたら読書を

高校2年生の3学期スタートですね。
となれば本格的に考えなければならないのは高校卒業後の進路。そのための文理選択。
今回は、それに絡む葉山回でした。やっとここまできたかー、という感じです。9巻のエピソードを経なければ踏み込めなかった領域に話が進んでいき、このシリーズのラストも近いのだと実感してしまいます。

☆あらすじ☆
新しい年、新しい関係、新たなる想い。
冬休み。のんびりとした年の瀬、そして年明け。合格祈願の初詣や買い物など、予定外の外出が重なる八幡が新年の街で出会ったのは、雪ノ下陽乃と葉山隼人、そして……。教室で、部室で過ごしてきた時間で、お互いのことを少しは知ったように思えた。でも知らないことの方がたくさんあるのだろう。今も、そしてこれからも。冬休みが終われば、2年生とという学年ももうあとわずか。新学期にざわめく教室にはある人物の「噂」が流れていた。望むと望まざるとに拘わらず、同じ場所で過ごす時間は刻一刻と減っていく。そんな雰囲気だからなのか、奉仕部に持ち込まれた、ある依頼……その依頼は今までに知ることのなかった彼ら、彼女らの別の一面を映し出すことに。自分のしたいことが、相手の望むことは限らない。本当の気持ちが伝えたい気持ちとも限らない。誰かが知っているその人が、その人の本当の姿とは限らない。今を大切にしたいと思えば思うほど臆病になって、考えているのに答えは見つからないし、走っているのにゴールが見えない。
彼ら彼女らの、新たなる季節、新たなる関係。

以下、ネタバレありの感想です。

 

1年の計は元旦にあり。
ということで仲良く揃って奉仕部メンバー(+小町)で初詣からスタートする第10巻。
今までよりも雪乃や結衣に対して八幡の抱く精神的距離感が近い気がします。なんかラブコメぽくなってきたじゃないですかー。
八幡は9巻を経て本当に変わったと思います。少しずつ、おそるおそるといった感じですが。
今までの彼では見ることの出来なかったいろんな景色が、八幡の視点から読者にも与えられ始めました。今回のメインである葉山たちのことにしてもそうですが、個人的には戸塚のエピソードが印象的でした。何気に八幡の本質をしっかり見て、その変化にも理解を示しているという圧倒的ヒロイン力。さいちゃんマジ天使。

 

そんな八幡の変化をふまえた10巻は、今まで見て見ぬ振りをして不可侵の領域だったところに話を進めるための、新章のプロローグのような話でした。

 

新学期早々、学校で話題となった雪乃と葉山が付き合っているのではないかという噂が広まり、同時に、葉山の文理選択を知りたいという三浦からの依頼が奉仕部に持ち込まれます。しかし八幡達がいくら探っても、頑なに教えようとしない進路を教えようとしない葉山。そこで八幡はある作戦をとることにして・・・・・・という内容でした。

 

やっと葉山の話に踏み込んだなぁと感慨深くなってしまいました。
以前の八幡なら依頼を引き受けて当たり障りなく解決策をでっち上げるかしていたかもしれませんね。しかし今の八幡は三浦の「それでも知りたい」という叫びを無視できない。
だからこそ、葉山のプライベートにあえて土足で踏み込むようなことをして、これまでは見て見ぬ振りをしてきた葉山の本心を剥き出しにしようと泥臭くあがいたのでしょう。

 

万能型ハイスペックイケメンな葉山隼人。しかし完璧でありすぎるゆえにどこか違和感を覚えるような存在である彼。
葉山という男がどういう人間であるのかを掘り下げた回でしたね。
周囲から無遠慮な期待を寄せられても、それに応え続ける葉山。何が彼をそうさせているのか。彼の生まれがそうさせるのか、あるいは彼自身の本質的なものがそれを強いるのか。
葉山が頑なに進路を周囲に教えなかったというのも、彼のあるべき姿・求められる姿からの帰結というのが何とも切なかったです。その分、また少し見えてきた彼の人間くささが光ったわけですが。はや×はち待ったなしか。
葉山の闇はまだまだ深そうですが、葉山回はこれでおしまいなのでしょうか。
好きな人のイニシャルの話がやっと掘り起こされましたが、回収されず・・・・・・ここらへんは次回以降に持ち越しか。
それにしても今回は高校生にとっての人生の選択に大きく焦点を合わせた話でしたねぇ。
私の高校では2年生にあがるときに文理が分かれるのでそんなに悩まなかったというか、悩んだときには遅かったというか。
私の進路や将来に対するヴィジョンが完全に八幡と被ってて耳が痛かったです・・・・・・私文女子ですが、何か!?文句あるのか材木座!!(ʘ言ʘ╬)

 

そういえば、今回は三度「手記」という形で誰かの思いが語られいくという構成がとられていました。
最初は葉山かな?と思ったのですが、最後は陽乃かな?とわからなくなってしまいました。
手記のタイトルが「或いは、それは誰の独白でもない」「もしくは、それは誰しもの独白である」と続いたので2人のどちらでもあるのかと思ったのですが、最後は「であるならば、それは誰の独白だったのか」となっているんですよねぇ。第三の手記も内容的には葉山でもありえそうですが、一人称が「自分」から「私」に突然変わってるし「本物」という言葉を使うあたり、第三の手記だけは陽乃なのか。
まさか雪乃という可能性もあるんでしょうか?「おためごかしのお道化」やら「私は信頼されている」やらの言葉が雪乃らしくないように感じたのですが、よくよく考えてみれば「雪ノ下雪乃」という人間性はまだ全て明らかにされてはいないんですよね。雪乃の事情に踏み込むのはこれからなわけですし、そういう意味では手記の主体が雪乃である可能性もあるのでしょうか。
・・・・・・よくわからん!とりあえず中学生くらいの頃に私も読んでいたはずなのに、全く内容を思い出せない「人間失格」と「走れメロス」はいずれ再読しようと思いました。

 

葉山回は、ここから雪ノ下家へ踏み込むための足がかり的な位置づけなのだと思います。
葉山と同じような闇を抱えていそうな雪乃。徐々に奉仕部に馴染んできたものの、彼女についてはわからないことだらけです。
雪乃の八幡や結衣への距離感というものは、本質的には最初から変わってないのかもしれないなぁと思わせられましたし。葉山の最後のセリフが意味深すぎる。
雪乃と雪ノ下家の話がこのシリーズのクライマックスとなるのでしょうね。
家の事情に首を突っ込んでいくことになるなんて、初期の八幡からは想像できません。返す返す9巻というのは重要な山場だったのだと再確認しました。

 

次巻以降は本格的に雪乃回となるのでしょうか。
陽乃さん怖いんですが、ついに直接対決か。
あと、何気に雪乃に留学フラグが立った気がするんですが、そちらも気になります。

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「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10」への2件のフィードバック

  1. 3つの手記
    1は八幡
    2は葉山
    3は陽乃だと思います

    まぁこれと言った根拠があるわけではないですがwww当てはめればなんとなく理解できるような気がして……
    俺ガイル面白いですよね!

    1. コメントありがとうございます!
      最初が八幡っていうのも確かにしっくりきますね…。手記の主体については色んな意見があるみたいで、他の方の意見を聞くと「ああ、確かにそうかも!」って感じに私見がぐらぐら揺らいでなんだか楽しいですw
      俺ガイルはこういう感覚を味あわせてくれるから本当に楽しい作品だと思います(*゚▽゚)ノ

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