殺意と調和のダストシャングリラ


『殺意と調和のダストシャングリラ』(冬木冬貴著/角川スニーカー文庫)★★★☆☆

殺意と調和のダストシャングリラ (角川スニーカー文庫)
殺意と調和のダストシャングリラ (角川スニーカー文庫)

最近飽和状態な異世界召喚モノではありますが、終盤で明かされる様々な謎要素が結構意外なものだったりして、かなり変化球を狙ってきた印象を受けました。
少し文章やキャラがあっさりめなのが気になったものの、ストーリー構成は分かりやすいし面白い作品でした。
あらすじには「バトルロイヤル」とありますが、それはメインじゃないのでは?テーマはタイトル通り「殺意」と「調和」。そして舞台となるのは「ダストシャングリラ」です。
続刊ありきのラストなので、ちゃんと2巻が出るかどうかだけが気になるところ。

☆あらすじ☆
魔女vs騎士vs能力者vs半獣vs現代の高校生。修学旅行のバスが事故に遭い、見知らぬ孤島で目覚めた高校生・小鳥遊颯真。鬼の半獣に襲われた彼を救ったのは、リゼットと名乗る少女だった。彼女は、自分たちは魔女狩りを逃れてきた魔女で、この島で自衛している騎士団と抗争状態にあるというのだが…。獣化して自我を失ってしまった半獣、彼らと戦う能力者の陣営も巻き込んで展開する、廃棄された少年少女たちのバトルロイヤル。

以下、ネタバレありの感想です。

 

読み返して分かったんですが、あらすじが盛大にネタバレしてますね・・・・・・もう少しオブラートに包めなかったものか。

 

修学旅行中に起こったバス事故。
目覚めた小鳥遊颯真がいたのは、見知らぬ異世界だった・・・・・・という定番パターンから始まる物語。
突如現れた「鬼」に襲われた颯真は「魔女」リゼットに窮地を助けられます。彼女と行動を共にするうちに颯真は自分が今いる世界がどういうところなのか知ることになります。

 

この作品、面白いのは異世界召喚モノであるにもかかわらず「異世界の住人」というのは一切出てこないんですよね。というか異世界要素は極端に少ないんです。
颯真の対話の相手は常に、別の世界からこの場所に連れてこられた人たち。
それは颯真たち「掃きだめ」の2年F組の仲間だったり、魔女狩りに遭っていた魔女たちだったり、子どもしかいない騎士団だったり。
当初は「鬼」のようなバケモノがこの世界の原生生物かと思われていたものの、それすら実は別の世界で処分されかけていた「半獣」であることが後半に明かされます(これあとがきでネタバレしてるんですよねー。隠しといた方が面白いと思うんですが)
しかも、異世界要素っぽい「異能に目覚める」という設定すら、実は超能力者仲間を作りたかった未来人の仕業であることがわかったりして、肝心の異世界は「孤島」という場所を提供することくらいしかしていないという徹底ぶり。

つまり、異世界(もしくは異世界の誰か)がやったことといえば、それぞれの世界で居場所がなかったモノ達を集めたことくらいなんですよね。だから「ダストシャングリラ」。この異世界はゴミたちの理想郷なわけです。

 

そんな理想郷に集められた人間達が時に殺意をぶつけ合いながら、それぞれの求める理想郷を目指して調和を図ろうとする物語、というところでしょうか。
「殺意と調和」というテーマで、唯一「相互理解を図れる能力」を持つ颯真が微妙に交渉人(調停人?)として役に立っていないのが不安なんですが、大丈夫なんでしょうか(現代高校生と考えればこんなものなのかもしれませんが)。
あと、「世界にとって不要なモノ」として判定された2年F組ですが、現代日本のゴミ判定厳しすぎですね・・・・・・

 

さて、今回の話では、小鳥遊颯真と仮名七海の二人をダブル主人公のようなポジションにおいてストーリーを進めていくのですが、ラストで七海が異世界から別の世界(おそらく元の世界)へ移動してしまうという急展開が起こります。
これは七海とジューゾーがお互いを必要としたから「世界にとって不要なもの」に当たらなくなったということなのかな?なんとなくそれだけだと理由が不十分な気がするんですが、別に理由があるんでしょうか?
うーん。わからない。あとナノマシン止まったら死ぬんじゃなかったの?
いずれにせよ、作中の登場人物の中で一番お気に入りだった七海が今後出番がないとなるとかなり寂しいです。

 

1巻は結局、被召喚者同士の衝突と相互理解の話で終わってしまったので、肝心の異世界の謎に迫るのは次巻以降ということでしょうか?

色々気になるところはありますが、とりあえず2巻を待とうと思います。

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