むしめづる姫異聞 王朝スキャンダル


『むしめづる姫異聞 王朝スキャンダル』(七穂美也子著/集英社コバルト文庫)★★★☆☆

むしめづる姫異聞 ―王朝スキャンダル― (コバルト文庫 な 6-38)
むしめづる姫異聞 ―王朝スキャンダル― (コバルト文庫 な 6-38)

雑誌コバルトで連載されていた作品の書籍化。七穂美也子さんの本を読んだのって「占い師SAKI」シリーズ以来かな。
堤中納言物語「虫愛づる姫君」(ナウシカの元ネタ)をアレンジした平安ミステリーです。
白銀の髪であることために周囲から疎まれている今上帝と、虫が大好きで変わり者のクールな姫君が、宮廷や都で起こる様々な謎の真相を暴くというもの。
糖度は低い、というかほぼ0。ですが博識な姫君が魅せる推理や解決策はとても面白かったです。現代知識での注釈が地の文で入っているのも読みやすかったですし。
ただちょっと残念だったのはヒーローである今上帝がヘタレすぎて格好良くなかったところでしょうか。もう少し見せ場があれば良かったのですが。まぁ、可愛い系ともいえるのか。
なんだか昔ながらのコバルト文庫の風情を感じる1冊でした。こういうのもっと増えてもいいんだけどな。

☆あらすじ☆
「しろがねの宮」と呼ばれる帝が後宮を散歩しているときに出逢ったのは、少年の姿をした姫君。愛らしく賢い彼女がこよなく愛するもの、なんとそれは誰もが忌み嫌う「虫」!おののきながらも、帝はいつしか彼女に魅了されていく・・・!しかし姫はまったくつれない返事ばかりで。すべての謎は「虫」に通ず!?そして帝の片想いはどうなる・・・!?ときめきの「虫系」平安コミカル・ミステリー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

病気が原因で髪が真っ白になり、それを怨霊のたたりとみなされて疎まれている今上帝「しろがねの君」
そんな彼が恋に落ちたのは、虫を探すために後宮に入り込んでいた変わり者の「虫愛づる姫」愛姫でした。

世間体にも地位にも名誉にも興味はなく、ただ虫だけに惹かれる愛姫。そんな愛姫の関心をひこうと一生懸命アピールするもまるで通じていないヘタレ帝。
そんな二人が宮中や都で起こった様々な事件の解決に奔走する連作短編でした。

 

各事件はどれもオカルトテイストなのに、その解決は現代にも通じる平安時代の知識で全てすませてしまうのが本当に面白かったです。
特に幽霊検非違使の真相や、悪徳官僚の腹の傷の治療の話なんか面白かったです。ウジ治療とかアリ治療とかは以前にも別の本で読んだことがあったのですが、平安時代でも知識としてあったのかぁ。ジャコウアゲハや黒いバッタの話は完全に知らなかったので素直に「へぇ〜」と感嘆しました。姫様博識すぎる。
地の文で細かく注釈解説をしてくれるのでとても読みやすかったですし、それらをサラっとやってしまう愛姫はとても格好良かったです!

 

惜しいのは、帝の活躍の場がほとんどなかったことでしょうか。必然、愛姫も帝に惹かれることなく物語は終わってしまいました。
少女小説に糖分は必須要素だと思うんだ・・・それがメインじゃなくても良いんですが、もうちょっと愛姫と帝のロマンス的なのが欲しかったです(・ω・`)
帝は最後までヘタレのままでしたしねー。最終話で見せ場がくるかと思いきや、譲位のあげく空腹で行き倒れ・・・・・・これはちょっとあまりにもヘタレすぎて悲しいです。
世間知らずの若様なんだし、これが普通なのかもしれませんけどね(他の少女小説の帝みたいに博識&喧嘩も強いの方がありえないことは分かってる)

 

シリーズ化はするのでしょうか。
虫を中心に据えたミステリーというのは目新しくて面白かったので、続きが出るなら読みたいです(`・ω・´)ノ

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七穂 美也子,なかしろ リリコ集英社
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