ひとりで生きるもん! 〜粋がるぼっちと高嶺の花〜


『ひとりで生きるもん! 〜粋がるぼっちと高嶺の花〜』(暁雪著/MF文庫J)★★★★★

ひとりで生きるもん!  ~粋がるぼっちと高嶺の花~ (MF文庫J)
ひとりで生きるもん! ~粋がるぼっちと高嶺の花~ (MF文庫J)

素晴らしかった!
第10回MF文庫Jライトノベル新人賞《佳作》受賞作です。何で佳作?ほんとに何で!?
あとがきによればかなり試行錯誤しての改稿作業だったらしいですが、それでこのレベルの作品が生まれるなら世の新人賞受賞作は名作だらけになってしまうじゃないですか・・・・・・

というわけでかなりピンポイントに私好みだった本作。
「美少女をみたら詐欺師と思え」が座右の銘のぼっち男子高校生に、学校一の美少女が文化祭でやる漫才の相方になってほしいとお願いしてきて・・・、というお話でした。ド直球な王道ラブコメです。
泣けるくらいまっすぐで、不器用だけど一生懸命な高校生の青春に心を打たれてしまいました。
漫才をやろうっていうコメディな話なのに、肝心のシーンは感動して笑うどころじゃなかったぞ!どういうことだ!
最後の最後まできらきらした恋の物語。1冊で過不足なく、一切の不満なく綺麗に終わっています。
砂糖注意。青春バカップル万歳!

☆あらすじ☆
「性格のいい美少女なんてものは、地球上のどこにも存在しない」そんな信念を持った結果、クラスヒエラルキーの底辺にいるお笑い好きの少年・織田慶人。彼の心のよりどころは校内で唯一交流を持つ文通相手・手紙の君だ。ある日慶人はその手紙の君と会う約束を交わし―強く後悔することになる。そこに現れたのはなんと学校一の美少女・湊千紗だった。たとえぼっちになろうとも、美少女とは決して関わらない。そう誓っていた慶人に、千紗はとんでもないお願いを口にする―「わたしの相方になってください!」第10回新人賞“佳作”受賞、ぼっち×高嶺の花で贈る、「ひとりでだって生きられるけど、やっぱそれって難しいよね」系ラブコメ!

以下、ネタバレありの感想です。

 

一体、過去に美少女に何をされたの?と心配になるくらい美少女不審な高校生・織田慶人
美少女に偏見がありすぎてぼっちになるという筋金入りです。なんでこんなに美少女が怖いんだろう?卑屈なメンタルが外へ変な形で向いてしまった結果なのでしょうか。
そんな彼が謎の文通相手に会ってみたら、その正体はよりにもよって学校一の美少女・湊千紗

美少女であるだけで無条件に警戒する慶人に対し、千紗は文化祭でやる漫才の相方になってほしいと頼んできます。
もっとも、慶人の性格は前述の通り。
美少女と関わりたくないし、千紗と親密になれば他の男子の嫉妬が怖い。
当然、千紗と漫才を組むなんて考えられなかったものの、食い下がる千紗にほだされ、慶人は「爆笑がとれると確信できるネタができること」をコンビ結成の条件とすることに。

 

そうして、慶人と千紗の漫才のネタ作りという名目のラブコメな日常が始まります。

ネタ作り?いやこれデートでしょ!と突っ込みたくなるようなイベントの数々。
お笑い好きという共通の趣味があるからこそ、急速に親密になっていくふたりにニヤニヤが止まりません。喫茶店デートにおうちデート、そしてトドメとなったプールデート。
MFらしくない(偏見?)純情さが光っていたと思います。ラッキースケベとか無理無理無理!手をつなぐどころか腕が触れあうのすらドキドキしてしまうのに!と胸をバクバクさせる慶人がめちゃくちゃ可愛かったです。なんというか女の子に慣れていない等身大の少年ぽさがとても良かった。そんな慶人がおっかなびっくり千紗との距離を縮めていく様子がとても微笑ましかったです。

元気でノリのいい千紗にツッコミまくる慶人、という構図がそもそも可愛いんですよね。この時点ですでにかなりのバカップルだし。
というか、美少女だろうがなんだろうが、ここまで会話のテンポが合って一緒にいて楽しい相手に惚れないはずないじゃないですかー。慶人の見通しの甘さにこそツッコミを入れたい。文通の段階で気付けと。

 

そう。好きにならないはずがないんですよ。

千紗への想いを自覚した直後、慶人は千紗が隠していたある事情を知ってしまいます。

あれだけ警戒していたのに、恋を自覚するくらい好きになった段階でどん底まで落とされてしまった慶人の苦しさがとてもリアル。
考えすぎて堂々巡り。これ以上関わりたくないのに会いたいし顔が見たい。何をやっても脳裏に浮かぶのは彼女の笑顔。
抑えきれない恋心の描写は本当に勢いがありました。思わず慶人に感情移入して辛くなってしまうほど。
ラノベの良さは変にこねくりまわさないストレートな心理描写にあると個人的に思っているのですが、本作はその良さが十二分に発揮されているように感じました。

 

迫り来るタイムリミット。これ以上好きになれば苦しくなるだけなのに、彼女と漫才コンビなんて組んでしまって良いのか?
葛藤の果てに、慶人が漫才コンビ結成を決意する終盤の展開は本当に素晴らしかったです。
好きな女の子の笑顔のためだったら何だってやってやるよ!という男の子の意地みたいなものが、もう、なんというか、凄く良かったんですよ!こういうのダメなんです。弱いんです。
吹っ切れた慶人は最高にカッコイイ男の子でした。青春だぁあああああああ!!
深川君をはじめとするクラスメイトも良いヤツら!(この部分を変にこじらせずに描いたところが個人的にとても印象が良かったです)

 

舞台にあがる直前のふたりの会話もすごくときめきました。
誰よりも自分たちが楽しもう!という二人の意気込みが輝かしかったです。むしろまぶしすぎる。

肝心の漫才シーンは感動しすぎて笑うどころではなかったんですけどね・・・・・・
でも、クラスメイトをはじめとする会場のあたたかな空気と、慶人と千紗の興奮が伝わる良いシーンだったと思います。何より、ふたりの大切な思い出を漫才に落とし込むのが憎い演出でした。ドキドキと高揚しつつ漫才をやる慶人と千紗のバックに、ふたりが一緒に過ごした時間が垣間見えるような漫才シーンでした。こういうの大好き!

 

そして、ラスト。
最後の最後まで最高に盛り上げてくれました。

漫才をやりきった充実感に浸っていた慶人を避ける千紗。
慶人視点で描かれてきていたこの作品において、ヒロインである千紗の慶人への想いを最後に爆発させるのは上手すぎる構成ではないでしょうか。
慶人の葛藤を先に丁寧に描いているからこそ、千紗も同じくらい強い想いを向けていたことが分かった瞬間の感動が素晴らしかった。
ふたりとも泣かないで・・・私まで泣いてしまうから・・・と切なくなる感じがたまらないんですよ。
一緒にいたいという千紗のわがままを、彼女の夢と家族のためにやんわりと諫めた慶人に千紗への想いの深さを感じました。

吹っ切れたあとのふたりはダダ甘でしたけどね!
このバカップル末永く爆発してください!と足をじたばたさせること間違いなしですよ。
甘い!甘い!!もうなんなんですかこれ!?(大歓喜)砂糖吐きまくったわ!

エピローグのお手紙も最高にニヤニヤしましたwおよめ券かわいすぎるww

本当にごちそうさま!

 

過不足ない素晴らしい青春小説でした。良い意味でMF文庫Jらしくないラブコメだったと思います。
蛇足になりそうですが、もしもシリーズ化したら嬉々として買ってしまいそうです。
本作でデビューの暁雪先生、今後の活躍も期待して注目しようと思います。

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暁雪,へるるんKADOKAWA/メディアファクトリー
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