エスケヱプ・スピヰド 七


『エスケヱプ・スピヰド 七』(九岡望著/電撃文庫)★★★★★

エスケヱプ・スピヰド 七 (電撃文庫)
エスケヱプ・スピヰド 七 (電撃文庫)

前巻までの感想はこちらから。
エスケヱプ・スピヰド シリーズ感想一覧: みかこの読書日記

最終巻です。ついに終わってしまいました。
どこまでも熱い鬼虫たちの最後の戦いを、ぽろぽろ泣きながら見届けさせてもらいました。
激戦の果てに迎えたラスト。
これ以上ない、文句のつけようのない、本当に本当に素晴らしい物語の終わりだったと思います。
最高のシリーズに出会えたことに感謝。

☆あらすじ☆
雪解けの始まった落地では、鬼虫と甲虫の最後の戦いが始まった。剣菱の前に立ちふさがるのは、戦闘狂の烏帽子。上空では、竜胆が虎杖と兄弟の因縁の戦いを繰り広げていた。叶葉たちも、神鯨の乗組員の説得に当たろうと艦橋へと赴く。そして、九曜と朧の戦いもまた―。譲れない信念を掲げた鬼虫と甲虫、果たして生き残るのはどちらか。人間から、兵器となった“鬼虫”シリーズたちの、戦中から続く長い戦いがついに終わりを告げる。兵器の少年・九曜と人間の少女・叶葉の向かう未来とは―?最強の兵器たちの神速アクション、本編感動の完結!

以下、ネタバレありの感想です。長いかも。

 

鬼虫と黒塚部隊の最終決戦。

繰り広げられる戦いのひとつひとつが、譲れない信念と信念のぶつかり合いで、その熱量にただただ圧倒されるばかりでした。
菊丸と機械兵たちの決死の奮闘、剣菱と烏帽子の狂気を孕んだ死闘、竜胆と虎杖の壮絶な兄弟喧嘩、そして九曜と朧の肉弾戦にまで至った激闘。
どれもこれも気を散らすことや目をそらすことを許さない、強烈な引力を感じずにはいられない場面の数々。悲しいとかじゃなく、興奮のあまりに涙が出てくるような戦闘シーンを読んだのは初めてかもしれません。

 

実際に戦っている男たちだけじゃなく、これまで彼らを支えてきた少女たちも彼女らの戦場を駆け抜けていました。
鴇子も、菘もそれぞれの出来うる最大限の活躍を見せてくれました。
そして叶葉。
誰よりも彼女が一番辛い戦いを強いられていたのではないでしょうか。
過ごしたのは1年ほどとはいえ家族同然だった伍長と、大切な存在の九曜。ふたりが戦う姿を、目をそらさずに見届けた叶葉の強さに感動しました。

 

そんな熱い最終決戦の間に度々挟まれるのは、虎杖をはじめとする黒塚部隊の歩んできた軌跡
彼らには彼らの信念と、それを譲ることができない理由があったんだよなぁ、と切なくなりました。

人間の有用性と、その証明にどこまでもこだわり、実弟と訣別しても自分の道を貫こうとした虎杖。彼は、最期に何を思ったのでしょうか。
次に繋ぐために戦うのだという竜胆に失望を見せた虎杖が、死の間際に空閑の名を呼んだあの瞬間に、かつての兄弟の喧嘩の勝敗が本当の意味で決まったように私には感じられました。

 

ようやく黒塚部隊との戦いが終わり、訪れる休息の時間。
修理明けの鬼虫たちにすごく和みました。竜胆と巴(大きくなった!)のなんだか夫婦みたいな会話にはニヤニヤw
井筒の号泣にはコーヒー吹きました。あやうく本を汚すとこだったじゃないか!w

巴のはからいで、人間だった頃の記憶と名前を取り戻した鬼虫たち。同時に、虫との完全な分断によって本体のみで行動が可能となり、良い感じにエピローグが展開されていっているなぁ、としみじみ。

 

それなのに、巴が明かした帝国との取引の内容のせいで一気に血の気が失せました。

おおおおお・・・・・・なんだよこれ展開が予想外すぎる・・・・・・
ていうかそばにいるって言ったのに!!!
と憤慨しながら読み進めて・・・・・・・・・おや?と雲行きをいぶかしんで・・・・・・・・・巴の腹案とそれに対する鬼虫たちの反応と行動に思わずにやにやと笑ってしまって、・・・・・・でも半身との別離を寂しく感じたりもして。

 

そして「今日は君を攫いに来たのだ」のセリフで、最後の最後にトドメの涙腺決壊。

 

ああっもうっ!文句の付けようがない素晴らしいラスト!
これ以上ない見事な大団円!!
最高だ!最高すぎる!!!!!

 

読み終わってしばらく、興奮をもてあましてジタバタしてしまいました。
なんというシリーズに出会ってしまったんでしょう。本当に読んで良かった。
「エスケヱプ・スピヰド」の1巻を手に取った昔の自分を褒めてやりたい気分です。

 

改めて集まった鬼虫のメンバーの談笑がすごく微笑ましくて読んでいて楽しかったので、本当は彼らの旅をもっと見ていたいです(というかこのまま大陸編を始めてくれても全然OKなんですが)。
でも、ここで終わるのがきっと最も美しいんでしょうね。
ここまで見事なラストシーンはなかなかお目にかかれませんよ、ほんと。感嘆のため息しかでないです。

 

イラストの吟さん、最初から最後まで本当に素晴らしい仕事ぶりでした。
最終巻の表紙、カラー口絵、挿絵の一枚一枚、どれをとっても最高でした。特にラストの真一と叶葉の笑顔は、この作品の最終ページを彩るものとしてこれ以上ない素晴らしさでした。きっとずっと忘れられないです。
そして、本編ラストまで読み切ってもう一度表紙を見たときの、この震えるような感動をありがとうございました。

そして九岡望先生、本当にお疲れ様でした。
デビュー作なのに、この完成度。まさに神。私は神を見た。
素晴らしい物語を本当にありがとうございました。エスケヱプ・スピヰドは間違いなく疑いようもなく名作です。全7巻、ずっと大事にします。
九岡先生の次回作に大きな期待を抱きつつ・・・・・・・・・エスケヱプ・スピヰド短編集の発売日はいつですか?(あるよね!?あるって言ってくださいお願いします!!!!)

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九岡 望,吟KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
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