さまよえる本に結末を ウィルブック・ハンターあるいは甘い憂鬱


『さまよえる本(きみ)に結末を ウィルブック・ハンターあるいは甘い憂鬱』(秋杜フユ著/集英社コバルト文庫)★★★☆☆

さまよえる本に結末を ウィルブック・ハンターあるいは甘い憂鬱 (コバルト文庫 あ 25-1)
さまよえる本に結末を ウィルブック・ハンターあるいは甘い憂鬱 (コバルト文庫 あ 25-1)

新装丁になったコバルト文庫。真っ白背表紙が、旧装丁に慣れた私にはちょっと寂しくも感じたり・・・・・・。
それは置いといて、本作は2013年度ノベル大賞受賞作家さんの新作です。
人を襲う「未完の本(ウィルブック)」を追うハンターの青年と、その「未完の本」に狙われた少女のお話。閉鎖的な村における自分の生き方に疑問を持つ少女の、自立と旅立ちの物語でもあります。
ところどころわかりにくい描写があったり、設定がよくわからないところが気になったものの、全体的には可もなく不可もなくといった感じでした。少女小説的な甘さもあるにはあったものの、少し心理描写は雑かも。

☆あらすじ☆
自分探しの真っ只中、村娘のエステルは、追い詰められていた。その心の隙に、美しい青年の姿を取ったウィルブックの影がーー!?彼が主人公の未完の物語を完結させるべく、エステルは狙われたのだ。その危機を救うのは、美しくも哀しげな瞳をした来訪者ベルナール。またの名をウィルブック・ハンター。悲しみの過去を越え、そして・・・・・・初めての恋を知る。未完の本が動き出す、旅立ちの物語!

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語のキーワードとなるのは「未完の本(ウィルブック)」
正直言うと、このウィルブックの設定自体がよくわかりませんでした(;・∀・)
魔力を持つ書き手の想いが込められた本が未完のまま放置され、結末を求めるその本が魔法(魔物?)となって現実世界の人間を本に取り込んで登場人物に当てはめることで、結末に導く新しい流れを作ろうとしている、という理解でいいのかな・・・・・・?

勝手なことを言わせてもらうと、ウィルブックの書き手のエピソードを入れるとか、そもそもウィルブックに絡む騒動自体を本の内容自体か何らかの童話をモチーフに使ったりとかしてもらえたらもっと理解しやすかったんじゃないかなーと思ってしまいました。ウィルブックが魔力を持つ理由がふんわりしすぎてうまく呑み込めなかったんです・・・・・・。今回のウィルブックにしても、どうしてその未完の本が「ウィルブック」になってしまったのか、という説明はなかったですし。

ちなみに、今回のウィルブックは「不思議の国のアリス」をモチーフにしているようにも思えたのですが、だからといってそれが本筋のストーリーにとって重要というわけじゃないのも少し気になりました(そもそもアリスっぽいだけでアリスじゃないのですが)。
というかそのアリスっぽい子の代わりにエステルが選ばれた理由も、一応の説明はありましたが・・・・・・うーん。「登場人物に当てはめる」という設定がやっぱりよくわからないです。当てはめる登場人物と共通点があるとかじゃなくて本のフィーリングなのか(@@;)

そんな感じで、今回のストーリーを読んだだけでは魔物を生み出すのが「本」である必要性を感じられなかったのは残念でした。ただの魔物退治の話でも良かったんじゃという気が・・・・・・。あと、ラストでさらっと現実の人間がウィルブックになるとか言われて、それもちょっと混乱しました。

 

ネガティブな感想から入ってしまいましたが、主人公エステルの自立の物語とみればなかなか面白い話だったと思います。
閉鎖的で一方的な常識を押しつけてくる村の中で、窮屈な思いをしていた少女が、ある日現れた青年によって自分の人生を見つめ直し、外の世界に旅立とうと決意する。少女小説らしい、良い流れだと思いました。特に、お互いを大事に思うのに確執も抱える叔母と姪の関係にきちんと決着をつけたところがすごく良かったです。エステルが目覚めないあのシーンで、ちゃんと叔母さんを重要ポジションにおいてくれたのは私的にかなり好印象でした。
ベルナールとの関係についてはちょっと進展が早いようにも感じましたが、エステルを村から連れ出すためには仕方なかったのかな。エステルとベルナールが距離を縮めていく過程はもう少し丁寧だったほうが好みだったかもしれません。

 

なんだかとりとめのない感想ですね。すみません。
ちょっとネガティブな意見になってしまいましたが、全体的には可もなく不可もなくという感じなので、続きが出たら買うと思います。親バカの匂いを感じるエステルパパに期待。

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