『アルジャン・カレール 〜革命の英雄、或いは女王の菓子職人〜 下』(野村美月著/ファミ通文庫)★★★★☆
アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人-〈下〉 (ファミ通文庫)
上巻の感想はこちらから
上下巻同時刊行の「アルジャン・カレール」下巻です。上下巻あわせて、とても綺麗に終わっています。
アルジャンのお菓子が美味しそうで、思わずケーキ屋さんに駆け込みたくなるのを堪えるのが大変でした・・・・・・。
アルジャンの作り出すお菓子によって戦争を止めることはできるのか。緊迫感のある展開で、最後まで一気に読み終えてしまいました。
☆あらすじ☆
若き女王ロクサーヌの治める平和なフロリア。王都の片隅の小さな菓子屋には、今日も劇作家がやっかいごととともに駆け込んでくる。そんな平和な日々が、不意に揺らぎ始めた。フロリアの守護神、バルトレオン将軍の遠征失敗によって。フロリアは再び混沌に呑まれるのか―。その行く末は、国際会議の席でのロクサーヌの外交、そしてその席で供されるアルジャンの菓子の力に委ねられた!!“菓聖”の伝説を綴るヒストリカル・ファンタジー、緊迫の下巻!!
以下、ネタバレありの感想です。
第5話 菓子職人と伯爵令嬢の許されない恋の真実
アルジャンの出生にそんな秘密が・・・・・・!
そしてタイトルの「許されない恋」の本当の意味に気づいたとき、胸が詰まって苦しかったです。この恋は切なすぎます。
あと、オーギュストと一緒に馬に乗ってシュゼット救出に向かうシーンですが、アルジャンがナチュラルにオーギュストを自分の前に騎乗させたのに笑いました。ヒロインか!
第6話 無駄がお嫌いな将軍閣下と菓子職人のこぼれ話
バルトレオン将軍怖い・・・・・・と思っていたのにマロン・グラッセで籠絡されているあたり可愛いとか思ってしまいました。まぁ、第4話でそんな印象も吹き飛ぶんですけどね。
第7話 おしゃべりな劇作家が無口な菓子職人に名前を呼んでほしいだけの小話
ヒロインか!
オーギュストがアルジャン大好きすぎて笑いました。そしてアルジャンも「友情」とか名前つけちゃうあたりツンデレですね。
第8話 クライスラー会議の踊る菓子職人
バルトレオン将軍の遠征失敗によって諸国から攻め込まれる窮地にたたされるフロリア。
女王ロクサーヌは開戦を回避するためにクライスラー会議の開催を決意し、アルジャンのお菓子を利用して場を支配しようとするのだが・・・・・・という話。
下巻の半分のページが割かれているだけに、とても面白く、腹の探り合いと陰謀術数渦巻く会議の雰囲気は緊迫感にあふれていました。
アルジャンが会議の空気を変えたお菓子の数々、特にラストのお菓子のお城は見てみたかったです。ここでアルジャンとロクサーヌの最初の約束が実現するというの展開、本当に良いですね。
マロングラッセ大好き将軍とロクサーヌの訣別の未来はちょっと悲しかったですが、物語自体はハッピーエンドで本当に良かったです。
特に、アルジャンとロクサーヌの関係は終始切なかっただけに、このまま信頼関係という形だけで終わってしまうのかと寂しく思っていたのですが。
あらあら。
エピローグの一文で幸せな気持ちになりました。ありがとうございました。
はぁ〜、面白かった。上下巻で綺麗にまとまった良作でした。野村美月先生の次回作も楽しみです。もちろん吸血鬼の3巻も!
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