殺戮のマトリクスエッジ1


『殺戮のマトリクスエッジ』(桜井光著/小学館ガガガ文庫)★★★☆☆

ガガガ文庫 殺戮のマトリクスエッジ(イラスト完全版)
ガガガ文庫 殺戮のマトリクスエッジ(イラスト完全版)

サイバーパンク。て何だったっけか。
ふと気になってウィキペディア先生に聞いてみたのですが(後述)、確かにこれは正しくサイバーパンク作品です。攻殻機動隊的な。このジャンルの定石を踏んでいるため、がっつりとしたSFの割には分かりやすく世界観が描かれているように感じました。
市民の電脳化が進められた電脳都市に流れる「ホラー」と呼ばれる化け物の都市伝説。主人公はそのホラーを狩る掃除屋の少年です。彼が不思議な少女と出会うことで電脳都市とホラーに隠された秘密を暴いてしまう、というお話でした。
まだまだ序章という感じで、主人公がどういう人物なのか、とか、ルルイエがどういう世界なのか、とかをふんわりと説明して1巻は終わってしまいました。1巻だけだと評価しづらい作品です。ヒロインのうち1人は顔出し程度でしたし。
でもかなり好きな世界観だったので続きに期待します!

☆あらすじ☆
西暦20××年。旧東京湾上に建設された次世代型積層都市トーキョー・ルルイエ。この都市には、電脳を喰らう獣がいる。それは、電脳ネット上、どこにも存在しない、人喰いの化け物どもだ。そして、彼・小城ソーマは奴らを狩る。鮮血と電子の満ちる裏路地で、彼は独り、獣を狩る。ある晩出会った不思議な少女と共に、彼は都市の大いなる陰謀に巻き込まれ、翻弄される。ライアーソフト「スチームパンクシリーズ」や『Fate/Prototype蒼銀のフラグメンツ』を手がける桜井光が紡ぎ出す、サイバーパンクアクション始動!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

Wikipedia先生によると、サイバーパンクとはこういうもの。

サイバーパンク(Cyberpunk)とは、1980年代に成立・流行したサイエンス・フィクションのサブジャンル、もしくは特定の運動、思想をさす。(中略)典型的なサイバーパンク作品では、人体や意識を機械的ないし生物的に拡張し、それらのギミックが普遍化した世界・社会において個人や集団がより大規模な構造(ネットワーク)に接続ないし取り込まれた状況(または取り込まれてゆく過程)などの描写を主題のひとつの軸とした。さらに主人公の言動や作品自体のテーマを構造・機構・体制に対する反発(いわゆるパンク)や反社会性を主題のもう一つの軸とする点、これらを内包する社会や経済・政治などを俯瞰するメタ的な視野が提供され描写が成されることで作品をサイバーかつパンクたらしめ、既存のSF作品と区別され成立した。(Wikipedia「サイバーパンク」より引用

本作はまさにこの定義通りの作品といえます。よく言えば定石を踏まえた王道、辛めにいうなら少し個性が薄い作品かもしれないです。ただ、まだ1巻なので、今後の展開に期待したいところです。1巻から個性満載オリジナル要素たっぷりだとSF初心者の私は途中でギブアップしてたかもしれないしなぁ。

 

物語の舞台は、電脳化した市民が暮らす都市トーキョー・ルルイエ
そこではひとりにひとつ電脳アカウントが与えられ、市民はそれに基づいて様々な公共サービスを受けることができるものの、契約によって40年間は外に出ることが制限されています。
そんな高度に発展しているのに閉鎖的な世界では、「ホラー」と呼ばれる謎の化けものが存在し、それは電脳に攻撃しながら人々を影で捕食していきます。

主人公・小城ソーマは単独でホラーを狩る掃除屋の少年。
彼はいつものホラー退治のさなか、不思議な少女・ククリと出会い、なぜか彼女と電脳アカウントが癒着し離れられなくなってしまうという状態に陥ってしまいます。

ククリは一体何者なのか。
この2年間の記憶しか持たないソーマに隠された秘密とは何か
そして、「ホラー」とは一体何なのか
少しずつ謎を出しながら物語は進んでいきます。

 

ククリの正体とホラーの正体については、1巻で概要が明らかになったもののまだまだ不明なところがちらほら。
彼らのバックにはルルイエを支配する企業複合体(レギオン)の思惑があったりして、まさしく上記に挙げた定義通りの展開でした。
レギオンの目的は何なんでしょう。人間とホラーを素材にした実験場を作って何がしたいのか。
今回レギオンのトップであるデーヴァを討ち取りましたが、どうもザコっぽいですしね。
ソーマについても、過去はまだ不明なままですが、人間じゃない??「電脳殺しの刃(マトリクスエッジ)」である腕の秘密が気になります。

 

もう1人のヒロイン(だと思う)ユーノ・柏木は意味深に登場した割には、その正体は次巻以降まで完全にお預けでした。残念。
彼女がソーマを気にするのは恋愛感情だけなのか、ソーマの秘密を知っているからかなのかもまだ不明。基本的に不気味な雰囲気が漂う本作ですが、ユノ視点の部分だけやたら可愛かったので、もっと登場してほしいですね。

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