掟上今日子の備忘録


『掟上今日子の備忘録』(西尾維新著/講談社)★★★☆☆

掟上今日子の備忘録
掟上今日子の備忘録

西尾維新さんの著作は戯言シリーズしか読んだことがないのですが(物語シリーズはアニメだけ)、初の電子化ということで新作を買ってみました(特別価格&BOOK☆WALKERのセールで半額以下でしたし)。
記憶が1日ごとにリセットされる忘却探偵と、トラブル体質の青年のコンビが様々な事件に巻き込まれる連作短編です。
最近の西尾維新さんの著作を読んでいないのでアレなのですが、戯言に比べればかなりアクが抜けたような印象を受けました。良くも悪くも想定していた「西尾維新らしさ」はなかったです。真面目に推理小説していて、普通に楽しめました。
あとがきに原点回帰か新境地か、と書いてありましたが、西尾維新ファンの方が本作を読んでどう感じたかはちょっと気になるところです。
物語シリーズとコラボした紹介PVなんてのもあるくらいですし。シャフ度はいつ見ても不安になりますね。

☆あらすじ☆
掟上今日子(おきてがみきょうこ)――またの名を、忘却探偵。
すべてを一日で忘れてしまう彼女は、事件を(ほぼ)即日解決!
あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介(かくしだてやくすけ)は今日も叫ぶ。
「探偵を呼ばせてください――!!」
スピーディーな展開と、忘却の儚さ。
果たして今日子さんは、事件の概要を忘れてしまう前に解決することができるのか?

以下、ネタバレありの感想です。

 

本作の語り部となるのは、ただ難事件に巻き込まれ、ただ凶悪犯罪と遭遇する、ただそれだけの人物・隠館厄介(かくしだてやくすけ)。
そんな彼は自衛のために複数の探偵を知っているのですが、忘却探偵・掟上今日子(おきてがみきょうこ)もそのひとり。

 

忘却探偵、というのはまた面白い発想ですね。1日しか記憶を保持できず、寝たら全てを忘れてしまうそんな人間が探偵業なんてできるのかと思いきや、そのメリットデメリットがしっかりと描かれているのが興味深かったです。
情報漏洩の心配はないが、継続調査は果てしなく困難。特に、第四話、第五話での四徹した末の記憶喪失は彼女の脆さが出ていました。その日に積み上げた努力があっけなく無に帰るというのがどうしようもなく切ない。

そんな今日子さんだから、厄介とも常に初対面。厄介が今日子さんに恋心を抱いているだけに、この面でも切なさや儚さが苦しかったです。
ただ、今日子さんの「脳」は厄介を忘れていても、体が彼への信頼を覚えているというのは救いでした。厄介くんが徐々に今日子さんへの想いを募らせていたようなので、少しでも報われてくれてほっとしました。

 

そんな厄介と今日子さんが挑む数々の謎。
本当に普通に推理小説でしたね。言っちゃ何ですが、予想外でした。
特に第四話の宝探しが面白かった!鉛筆でくるくるやるっていうの懐かしすぎです。カセットテープとか、私の中学時代にはもう見かけなくなったような気がします。あんな使い方もあったんですね。
第三話もなかなか。札束の使い方が「その発想はなかった!」と目からうろこでした。私もやろうかな。でもそのお札を使えないのが痛いから無理か。
そして最後の第五話はなかなか心温まるストーリーでした。こっそりと人生を描くっていうのがとても素敵です。結婚しなかったという理由もきっとそこらへんにあるんでしょうか。

 

割と楽しめた本作ですが、シリーズものだそうです。
最後にちょっとゾッとする感じで伏線が出ましたしね。
誰が「掟上今日子」を探偵にしたのか。彼女は何者なのか。
紺藤さんの言っている女性との関係も気になりますね。本人だとしても年齢が合わないところにどんな秘密があるのか。
続きも発売されたら買おうと思います。

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