灰と王国4 忘れえぬもの


『灰と王国4 忘れえぬもの』(風羽洸海著/エンターブレイン)★★★★★

灰と王国4 忘れえぬもの
灰と王国4 忘れえぬもの

素晴らしかった!
最終巻となる今巻は2冊分かのような厚みがあったものの、内容の濃度は負けていません。ここに至るまでにじっくりと積み上げてきた数々のエピソードが、ゆっくりと一つの終着点に至っていく様には鳥肌が立ちました。
世界観も登場人物もストーリーも文句なしの壮大なファンタジーでした。本当に読んで良かったです。

☆あらすじ☆
安息を取り戻したナナイスで、夫婦の契りを交わした“竜侯”フィンと“天竜”レーナ。だが、世界には恐るべき“災厄”が迫っていた…。民衆を導く者たちは、人々を救うため立ち上がり、竜に選ばれし者たちは、“古に封じられた闇の眷属”と対峙する。決戦の時―竜と人の絆が、いま試される!

以下、ネタバレありの感想です。

 

前巻でついに北部への帰還を果たしたフィン。あれから3年。
ようやく落ち着いてきたフィンに、最後の試練が立ちはだかります。

末期的な帝国をさらに追い詰めるかのように現れた〈飢え〉。
レーナと夫婦となり、さらに一歩「竜侯」として人から離れた存在になったフィンは、〈飢え〉の驚異から人々を守るために帝国の空を駆け抜けます。

この物語は、フィンが〈飢え〉とそれがもたらす混乱を乗り越える力を得るための物語だったのだと私は思います。
フィンを支える周囲の人々と作り上げた絆や、彼と共に戦う他の竜侯たちとの出会い、そしてフィン自身の竜侯としての成長があったからこそ、〈飢え〉の驚異に対抗できたのではないでしょうか。
1巻から積み上げた世界観と伏線、登場人物たちそれぞれの物語を見事にまとめ上げた、完結巻にふさわしいストーリーだったと思います。

 

そんな感じで、壮大かつ濃厚な物語にふさわしい完結巻だったのですが、さて、何から感想を書こうか・・・・・・。
色々と感慨深くて長くなりそうですが、ちょっとまとめきれないのでお気に入りの登場人物にスポットを当てながらちょこちょことした感想を書いていこうと思います。

 

まずはやっぱり主人公カップル
フィンとレーナがちゃんと結婚してくれて安心しましたw
墓石兄貴は自分の気持ちに踏ん切りつけるのに時間かかりすぎです!もどかしかったー!
それでも結婚を決意してからはフィンもレーナに対して(フィン比で)率直に愛情を見せるようになったし、満足です。しかし初夜の翌朝にあんな恐怖を抱かなければいけないなんて、竜と人との結婚は想像以上に大変でしたね(;´Д`)
あれからさらにレーナと一体化するかのように人から外れていったフィンが、オルフェウスたちに「人間とは違うから、王になれない」と悲痛な想いをぶつけたシーンはとても切なかったです・・・・・・でも大丈夫。「嘘つき姫」で結構良いキャラするようになってるから。たぶん心配していた通りにレーナの性格がどんどんフィンに影響を与えていったに違いないw

 

前巻で追い詰められていた竜侯エレシアも華麗に復活を遂げました。
「灰と王国」の世界で、エレシアの存在というのは北部とは違う面で帝国の崩壊を象徴しているように感じていたので、彼女の物語の着地点はある意味で予想通りでした。
予想外なのは愛人の存在ですが。愛人・・・・・・愛人なの!?再婚じゃなく!?でもグラウス将軍はなんか幸せそうにしている姿が簡単に想像できたので、まぁいっか。純情将軍の想いが遂げられて良かったですw

 

そしてファーネイン
登場人物の中でも、特に過酷な運命にたたき落とされた少女の再起には、胸が熱くなりました。
竜の力で心身を成長させたとはいえ、あの少女にこんな力強い選択ができるとは最初を思えば想像できませんね。
立ち上がるきっかけが、小セナトに対する淡い想いというのも良いですね。やはり少女を強くするのは恋でなくては。

 

そして予想以上のキーパーソンだった魔術師オルジン
彼が何を思って命がけの魔術を完成させたのか・・・・・・。彼の過去については短編がある・・・んだっけ?何かそんな情報をどこかで見かけたようなあやふやな記憶があったりなかったり。
それはともかく、作中でフィンに次いで格好いいキャラといっても過言ではない人でしたね。そして強い人です。
あれだけ誤解され、猜疑心を向けられても揺らがずに目的を達するなんて、どれだけの心の強さが必要だったことか。それだけに、そこに至るまでの彼の孤独を想像すると切なくなりますが・・・・・・。

 

多くの出会いがあり、成長があり、生き様がある物語だったと思います。
壮大な世界観の中で、生き抜くために必死に足掻く人々の脈動を感じられる、良質なファンタジー作品でした。
ここまで読んできて本当に良かったです。書籍化されなければ出会わなかった作品でしたので、最近のウェブ小説書籍化ブームにも感謝しなければ。
風羽さんのこれからの作品にも期待しています。

 

と、締めたいところですが、「灰と王国」はウェブ上でけっこうたくさん短編が公開されているとのこと。
今から読む予定ですが、まだまだ「灰と王国」を楽しめるのだとワクワクしています。
当ブログは書籍となった小説のレビューのみを扱うことにしているので、ここで感想を書くことはない(予定)ですが、書籍版で「灰と王国」世界に触れた同志のためにリンクを貼っておきます。
著者公式サイト→図書館→「灰と王国」→番外SSで見ることができるそうです。
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「灰と王国」以外のシリーズもあるようですし、時間をみつけて読んでいきたいなぁと考えています。そして、何より本編を読み終わった今こそ次世代編の「嘘つき姫と竜の騎士」(ビーズログ文庫)を読み直したい欲求がむくむくと・・・・・・っ!!!

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