夜蝶の檻


『夜蝶の檻』(瀬那和章著/メディアワークス文庫)★★★☆☆

夜蝶の檻 (メディアワークス文庫)
夜蝶の檻 (メディアワークス文庫)

明治維新の起きなかった日本が舞台。ですが、近代化西洋化は進んでいるため、作中の雰囲気は明治維新後という感じです。
主人公は幕府が組織した妖魔退治組織の女剣士で、彼女が各地を放浪して妖魔と戦ったり妖魔関連の曰く付きのあれこれを探したりというお話。
雰囲気はかなり暗いです。ずっと絶望感が漂っているというか。
ダウナーな気分になりたくて維新前後の時代が好きという方には良いかもしれません。
私は読み終わってちょっとへこみました。

☆あらすじ☆
激動の時代が過ぎ、文明開化の音がそこかしこから聞こえても、未だ江戸時代は続いていた。妖魔と戦うため幕府が組織した退魔衆の女剣士・桔梗。百人を斬ることで願いを叶える妖刀を手に旅を続ける侍・殿江静馬。幕府への復讐を誓う軍服の鬼。愛するものを奪われた神凪の巫女。交錯する生き様が浮世の闇を走馬灯のように照らし出す。明治維新が起きなかった仮想の日本を舞台にした、新時代浪漫エンターテイメント小説、ここに開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

物語は、2人の人間に焦点を当てつつ、幕府を脅かす「軍服の鬼」の行方を追っていきます。

一人は主人公である桔梗
妖魔を退治する「退魔衆」の女剣士で、相方のと共に「妖刀・百贄の刀を回収し、封印すること」という指令を受け、行動を開始します。

もう一人は、桔梗の探す百贄の刀を持って、妖魔を狩り、悪人を殺していく侍・殿江静馬
静馬には百贄の刀を使って叶えたい願いがあり、物語は彼の回想を通して、5年前に彼が犯した罪と「軍服の鬼」の関係を少しずつ明らかにしていきます。

 

維新は成らなかったものの、文明は開化した江戸時代。そして主人公たちは妖怪退治のプロフェッショナル、ということで割と好みな作風でした。

ただ、(表紙から少し想像できるとはいえ)思った以上に暗かったですね。
メインの2人がどちらも生きながら死んでいる状態だったせいもありますが、全体的に湿っぽい。
静馬の罪はどう言い繕っても愚かとしかいいようがない救われないものだし、彼が悪人を100人切ってまで叶えたかった願いも救いがなさすぎて呆然としました。
いや、なんとなくそうなんじゃないかとは思ってましたが。
しかも、彼が100人目を切った瞬間のどうしようもなさは本当に言葉を失うレベル。ぼんやり分かってたって・・・・・・それが彼女の望みでもあったとしても、もやもやする気持ちが止まりません。
さらには最後に死ねば会えたのに的な感じで締めてきて、どこまでも救いがないというか。

主人公の桔梗にしても、彼女の負っている宿命は重すぎるし、それをすでに諦めきっているところが切ないしもどかしい。
人を食らわなきゃ戻れないって・・・・・・きつい。きつすぎる。描写もちょっとエグい。

さらには作中唯一明るいでさえ、他の人物たちに劣らず惨い宿命。
どんどん増えるから命を軽く扱われるけど痛みの記憶は全て共有、って・・・・・・そんな非道な状態なのに無邪気に笑おうとする楓が痛々しすぎました。

 

なんかキャラクターだけでもすでにダウナーな気分になるのに、ストーリーそのものもかなり鬱展開が続きます。
好きな人はすごく好きなんでしょう。ネガティブ方向に振り切った作品ですが、普通に面白かったですしね。
私も読んだ日が違えばすごく好きな作品になったかもしれません。が、人にはおすすめできないですw

 

設定的に続刊出せそうな感じですが、果たして続くでしょうか。
もし出ても様子見するかもしれませんが、なんとなくクセになる世界観なので「怖いなぁ」と思いながら買っちゃっているかもしれません。

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