『ハーフ・クラウン 秘め公爵といばらの輪舞』(御永真幸著/コバルト文庫)★★★★☆
面白かったです!
事情があって男装する公爵と、彼女に恋する公爵。王位を賭けて争う立場にあるものの、彼らが友情(一方的だけどw)を育む姿がとても良かった。 雰囲気がベル薔薇というかヅカっぽかったんですが、こういう男性よりの凜々しさを持つヒロインは最近見かけなかったので新鮮でした。
タイトルでオチがばれてるようにも思ったのですが、予想以上にヒロインが往生際悪くて楽しかったです。ヒーローが不憫すぎるww
☆あらすじ☆
シエラ公爵家の跡取り男子として育てられたユフィは、誰よりも強く賢く凛々しい美青年。突然の王太子出奔により、彼女は次期王の候補者として挙げられる。そこに現れたのがもうひとりの候補、クロヴナー公爵家の貴公子ヴィンセント。そして彼は、ユフィの真実を知っており、彼女をひそかに愛していた…。無二の親友として絆を深める2人だったが、ヴィンセントの一途な想いは止められなくて!?
以下、ネタバレありの感想です。
主人公は、事情があって女であることを隠して公爵として生きている次期国王候補のユーフェミア。
彼女の王権争いのライバルとなるのが元虚弱少年だった公爵のヴィンセントです。
実は幼い頃に出会っていて、その時からユーフェミアに恋をしていたヴィンセント。
彼の執念の恋心のためか、それとも股に詰め物をしていなかったのがいけなかったのか、あっという間にユーフェミアの性別の秘密を知ったヴィンセントは、彼女が自分から秘密を打ち明けてくれるのを辛抱強く待ち、鈍いユーフェミアはそんなヴィンセントの想いも知らずに初めての男友達に浮かれて・・・・・・というお話。
ヴィンセントの辛抱強さというか執念強さは健気で、そんな恋する男子を愛でる作品でしたw
ユーフェミアのほうは男装生活が長すぎるせいか、久しぶりにここまで凜々しいオスカル系ヒロインをみました。
男装ものって少女小説では割と確立したジャンルだと思うんですが、ここまで突き抜けているのは他に思いつかないですねー。
美少年系は多いけど美青年系は珍しいというか(言いたいことが伝わっているでしょうか・・・)
ユーフェミアは可愛いものが好きだし着飾るのも好きだけど、根っこの部分が男性的すぎて、なんだろう、れっきとしたヒロインなのに女装少年を見てる気持ち?
そういう感覚が新鮮で楽しかったです。
物語としてはヴィンセントを担ぎ上げようとする勢力によってユーフェミアが窮地に陥り、結果、なぜか味方のはずのロイドに性別をバラされるという、予想できたようで予想できなかった形に着地してしまいました。
ロイドさんの思考回路が一足飛びすぎてびっくりしました。バレたら犯罪ってわかってたはずですが、かなりの勝算があったんでしょうね(国王になるヴィンセントがユーフェミア大好きだから大丈夫と思ったんだろうな)。
ロイドのユーフェミアに対する愛はちょっと厳しすぎやしませんか。
騒動はあったものの、ヴィンセントが国王になり、ユーフェミアが王妃になったことで一件落着。
と、思いきやそこからヴィンセントの受難の日々が始まることになるとはww盛大に笑いましたw
ほらー。ユーフェミアの弱点つつくような形で求婚するからー。変なスイッチ入れちゃったからー。
なんだか両想いになったんだか違うんだか微妙な感じで終わりましたが、続きがあるということなので、これからの進展に期待です。2巻も楽しみだー(ヴィンセントの受難が)
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