『棺姫のチャイカⅥ』(榊一郎著/富士見ファンタジア文庫)★★★★☆
航天要塞編後編。
「チャイカ」の謎に迫ったり、あの人がこの人と共闘したり、最後の最後にあの人が大変なことになったり、となんだかお祭り騒ぎのような下巻でした。雰囲気はひたすらダークなんですけどね。
トールとチャイカにとってもターニングポイントとなったエピソードだったのではないでしょうか。
このシリーズ、ほんとに面白くなってきて、早めに切らなくて正解だったなとしみじみ思っています。
☆あらすじ☆
「―トール!トールッ!!」
天翔る城砦での戦いの果てに、大空へと投げ出されたトール。チャイカの叫びも虚しく、彼の生命は散った―かに見えたが、窮地を救ったのはジレット隊のヴィヴィとズィータだった。ズィータは「あなたに『お願い』があります」と告げる―。
そして捕らわれたチャイカは、銀の髪と紫の瞳を持つレイラと邂逅する。彼女は「棺担ぐ姫君。貴女に『チャイカ』の真実を教えてあげる。貴女が本当に絶望できる―真実を」と言って、意味ありげに微笑むのだが…!?
航天要塞“ソアラ”を巡る死闘、宿業のクライマックスへ。
以下、ネタバレありの感想です。
前回、航天要塞から放り出されてしまったトール。ヴィヴィたちに助けられた彼は、一時休戦し、協力して航天要塞脱出をはかります。
その一方で、チャイカはレイラ改め蒼チャイカから「チャイカ」の真実を聞かされ、また、航天要塞同士の「戦争」も始まってしまいます。
ほんとに、見所盛りだくさんの下巻でした。
軍人たちが嬉々として臨んだ戦争は、蓋を開けてみればグラートの策略によって戦いとも呼べない一方的な殺戮行為であったり、
トールは目的と手段を取り違えてしまった殺人鬼リカルドとの戦いを経て自分の道を再び見つめ直すことになったり、
レイラの口から、「チャイカ」たちは「遺体を集める」ためだけに誰かの思惑によって存在するものであることが明かされたり、
最後の最後でジレット隊が大変なことになったり。
アルベリック、まさか死んではいないと思いますが、片腕キャラになってしまうのか・・・?
消えた女たちの行く末が想像以上にエグいものだったり、媚薬のような体臭という「特性」を備えたレイラの人生(?)がかなり悲惨だったりと、今回のお話はどこまでも暗くて救いがなかったですね。面白かったですけど。
チャイカとトールが自分たちの関係を改めて見直す一方で、物語そのものの根幹にかかわる謎が一斉に提示された重要なエピソードでもありました。
「チャイカ」たちの謎には棄獣も絡んできそうです。第一世代とは??「チャイカ」は8番目?
ギイがつぶやいた「能動的干渉体」とは?
「チャイカ」たちの首に浮かび上がる傷跡の正体は?
ここからどういう真実が導かれていくのかとても楽しみです。
ちょろっと出てきた赤チャイカの再登場も近いのだろうか。
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