『花神遊戯伝 あさき夢見し、かぐやの戯』(糸森環著/角川ビーンズ文庫)★★★★☆
クライマックス直前巻!
いよいよ物語は最終局面です。ところどころシリーズ初期の頃のエピソードに触れられていて、花神遊戯伝も終わってしまうんだな、と何とも寂しい気持ちになりました。女神として覚醒した知夏ですが、最初の頃よりも何倍も強くなりました。それなのに事態はどんどん混乱し、悪化し、過酷になっていきます。うう、苦しい。色々きつすぎて・・・・・・
☆あらすじ☆
もと女子高生。異世界で“女神”になると心決めたはずが―
神力をもって復活し、大好きな暴君・胡汀との再会を果たした知夏。一方、都では悪鬼や疫神がはびこり、荒廃が進む。そんななか、護剣士『緋剣』の一人、伊織の救出に向かうことに。だが、知夏達の前に『緋剣』の朝火が立ちはだかる。引き裂かれる絆、そして、敵対する帝・司義が仕掛けた恐るべき罠が!?
「私は定めじゃなくて自分の意思で選ぶ!」激動の第9弾!!
以下、ネタバレありの感想です。最終巻直前なので見返し用にちょっと細かめに書いていきます。
捕らわれた伊織を救出するため都に戻った知夏の前に立ちはだかったのは朝火でした。
覚醒した知夏の神性に惹かれつつ、滸楽への憎しみから彼女を受け入れられない朝火。
滸楽との共生を訴える知夏に対し、女神の死後に予想される混乱の問題をつきつけます。
平行線をたどりそうな押し問答のなか、洲沙の母が自分の妹であることや、何者かによって都が故意に穢されようとしているという事実が次々と明らかになり、朝火は混乱と絶望の末、知夏に一時的に従うすることを誓います。
ふぅー、ようやくデレたか。手間かけさせやがって!
それと、デレた朝火と知夏のほのぼのシーンをまるっとカット(あとがき談)ってどういうことですか、糸森先生!?(号泣)
朝火を従えた知夏は、穢れた都を清めながらさらに行軍を続けます。
途中、変態貴人の藤郎と手を組み、因縁の相手である咲耶を出し抜いたりしつつも、帰鼓廷を目指す一行。
そんな知夏たちの前に最後に現れたのは未不嶺と倶七帝でした。
倶七帝は、今の疲弊した蒸槻に知夏の神力は強すぎると言い、知夏を殺そうとします。そして、彼がとった手段は穢主に堕ちてしまった伊織に知夏を殺させることで神世と同じ運命を辿らせ、香気根呪法を完成させて知夏を贄にし、その怨みを守護の力に変えようとすることでした。
正気を失い、人の姿さえも崩れてしまった伊織に弓を引く知夏。彼女の脳裏にかつての伊織の姿がよぎる場面は本当に切なかったです。どうしてここまで過酷なのか。
しかし、知夏の力をもってしても伊織を元に戻すことはできず、事態はどんどん混迷をきわめていきます。
そんな中、今回やたら目立っていた穂野さんが、洲沙をかばって戦死。
穂野さん、ダメだと思ってましたよ。良いキャラだから信じたくなかったけど、やっぱり予想通り・・・・・・あれだけ死亡フラグを立てるなと・・・(ry
朝火に向かって洲沙は俺の隠し子発言したときくらいまでは、人と滸楽が共生する未来への予兆なのかと思っていたんですけどね。こんな結末はきつすぎる。
物語は、倶七帝が謎の声に従って姿を消し、知夏たちが穢主の大群に囲まれ絶体絶命という状況で神々の援軍がきた、というところで終わってしまいました。ああ、続きが気になる・・・!
朝火や兵士たちに穢れた神酒を飲ませ、都を壊滅的なまでに悪鬼で埋め尽くそうとしている黒幕は一体誰なのか。
この人物がラスボスということでしょうか。誰にせよ、次巻でいよいよ決着です。
本筋はおいといて。
今回は胡汀さんがすごくデレていてびっくりしました。破壊的セリフのオンパレードww
胡汀は星神のせいでヒーローとして何とも複雑な立場になってしまっていたのですが、このデレ具合はハッピーエンドに向けた布石だと信じたいですね。ちょっと不穏な空気があったものの(知夏も胡汀も、花神なのか星神なのかの境界があやふやになってきたような・・・)、それは気のせいだと思いたいです(´・ω・`)
そういえば遠凪さんは滸楽の未来を選んだとか言っていたんで、三角関係は無事解消ということでいいんでしょうね。遠凪さん、正直胡汀より好きだったので残念です。
好きなシリーズだけに終わってしまうのは寂しいですが、それ以上に知夏がどんな結末を迎えるのかが気になります。最終巻がとても待ち遠しいです。
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