棺姫のチャイカ5


『棺姫のチャイカⅤ』(榊一郎著/富士見ファンタジア文庫)★★★★☆

棺姫のチャイカV: 5 (富士見ファンタジア文庫)
棺姫のチャイカV: 5 (富士見ファンタジア文庫)

正直、4巻までは作者の熱意に疑問があったのですが、ここにきて面白くなってきました。エンジンがかかってきたのか、ようやく「戦後」という舞台設定に奥行きが出てきたのではないでしょうか。
とはいえ、今回の話は前後編?なのか、この1冊では終わりません。次巻を読んでみないことには何とも言えないものの、この後の展開が楽しみです。

☆あらすじ☆
「…あれは―」
美しい銀の髪と、紫の瞳を持つ『棺担ぐ姫君』チャイカ・トラバント。彼女が指をさす方角に浮かぶ、「塔」のような建造物。かつて『禁断皇帝』との大戦争で、最強無敵と呼ばれた魔法兵器。その名は―「航天要塞!」『禁断皇帝』の遺体を持つガヴァーニ公爵は、その天穹高く舞う城砦に住まうという。チャイカの望みを叶えるには、何人も侵入できない、絶死の要塞を攻略せねばならない。しかし、公爵を狙うのは、チャイカとトールたちだけではなかった!?
天空を舞台に、今、三つ巴の激闘がはじまる。

以下、ネタバレありの感想です。

 

三つ巴の激闘・・・・・・・・・始まらなかったですね 。

 

今回の舞台は、「遺体」を買い付けたと噂のガヴァーニ公爵のいる航天要塞〈ソアラ〉。

 

領地の娘たちを次々と攫っていく不審なガヴァーニ公爵から「遺体」を回収 するため、トールたちは航天要塞への潜入を決行。その一方で、ガヴァーニ公爵に謀反の疑いありとして、ヴィーマック王国をはじめとしうる列強諸国は討伐軍を編成し、進軍を開始します。

 

今回は前巻までのような1巻完結形式のストーリーではなく、どちらかというと次巻への下準備のような話で、トール墜落という大変な終わり方をしてしまいました。
ただ、準備回ではあるものの、面白さは今までで一番だったのではないでしょうか。

 

このシリーズは「戦後」を舞台とするものであり、「長すぎる戦争が終わったが、人々は平和に慣れず混乱している」ということが随所で描かれてきました。しかし、トールたちもジレット隊のメンバーもそのほとんどは戦争を経験していない世代であるため、どこか「戦後」という舞台設定が浮いている印象がありました(各巻で出てくる敵キャラ等は戦争を経験しているものの、すでに死者だったり人間じゃなかったりでいまいち「戦後の平和になじめない人々」ということを実感できなかったんですよね・・・)。

 

その点、この巻では戦争を終わらせた立場にある大人たちが大きく物語に介入し、彼らが「ガヴァーニ公爵討伐」という名の戦争に胸を躍らせるシーンが出てきます。戦争を生きてきたせいで平和に満足できない人々が描かれたことによって、混乱期である戦後という舞台設定が活きてきたように思えます。物語の世界観に深みが出てきたように感じました。

 

世界観の充実という点でも満足だったのですが、航天要塞潜入という今回のストーリー自体もとても面白かったです。
空飛ぶ巨大要塞という舞台装置もわくわくするものでしたし、黒幕の魔法師グラートの裏にいる少女レイラも色気たっぷりでよかったです。彼女はやはりチャイカなのかな?
まぁ、リカルドの罠にあっけなくはまっちゃったトールは説教ものですが・・・トールはよくわからんところで迂闊ですよね、いつも。

 

それにしても、表紙に出てきたヴィヴィは、アカリと接触した後で全く登場しませんでしたけど、なぜ表紙を飾ったのでしょうか。もっとヴィヴィに出番を!

 

今回は、トール一行、ジレット隊、討伐軍がそれぞれ航天要塞に終結し、いざ戦争が始まる!というところで終わってしまいました。墜落したトールの運命は?様子のおかしいアカリの安否は?レイラの正体と目的は?というかなり気になる感じに物語が止められてしまったので、早く続きを読もうと思います!

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